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食欲の魔女と底辺OLのダンジョン飯テロ配信~「赤字ならクビ」と言われたので、ポンコツ魔女に飯を食わせてブラック企業の売上を超えます~  作者: ダニエルさん
第2章:Sランク配信者なんて無理無理無理! でも、魔石採掘部門にはいきたくない!

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第78話「スイカ女が漆黒の聖騎士に胸囲を知られて黄色い声をあげた話」

 ケーネは額に汗を浮かべ、おでこに手を添えていた。


 その体は小刻みに震えていた。


「大丈夫!? 頭痛いんですか?」


「へ、平気です……痛ぅッ!」


 ケーネはテーブルに突っ伏してしまった。

 

「誰か! ケーネが頭を痛がっているんです! 治療師を呼んでくれませんか!!」


 私は顔を上げ、周囲に助けを求めた。


 昼休みには少し早く、人はまばらだった。何事かとこちらを見る者はいたが、すぐに動いてくれる者はいなかった。


 私はカバンに手を入れ、スマートフォンを取り出して部門の緊急連絡先に電話をかけた。


 コール音は聞こえるが、誰も出ない。


 私はスマートフォンをスピーカーモードにしてテーブルに置くと、ケーネの体に触れた。


 ――こういうとき、どうすればいいんだっけ……下手に動かさないほうがいいよな……


 コール音が響く。


 相変わらず誰も出る様子がない。


「ああ……もう! 誰か!」


「ツッコちゃん? 大きい声を出してどうしたんだい?」


 私の後ろから聞き慣れた声が聞こえた。


 振り返るとフリードが立っていた。


「フリードさん! ケーネさんが頭が痛いって言ってて、どうすればいいか……」


 私はフリードに駆け寄った。


「それは良くないね……僕が診るよ」


 フリードは首元の蒼い十字架に手を添え、ケーネの背後へ回った。


 その時、コール音が消えた。


「ひぇひぇ? 宮國どうし……」


 私はすかさず終話ボタンを押して通話を切った。


 フリードが蒼い十字架を握り込むと、淡い蒼の光が広がり、蒼剣に姿を変えた。


 フリードは剣を握り、ケーネに剣先を向けた。


「フリードさん!? 何やってるんですか!?」


 私は驚き、思わずフリードの腕をつかもうとした。


「体の中を診るだけだよ。心配しないで」


 フリードの握る蒼剣の剣先が輝き、蒼い霧がにじみ出した。


 霧は光に変わり、ケーネを包んでいく。


「うん、頭痛の原因は分からないけど、体に異常はなさそうだよ。少し胃が荒れて、肩こりがあるようだから、そこは治してしまうよ」


 フリードが蒼剣を十字架に戻すと、ケーネに手をかざした。


 手から橙色の光があふれ、ケーネを包み込んだ。


「ん……はっ!」


 ケーネが飛び起きるように体を起こした。


「大丈夫かい?」


 フリードはケーネに白い歯を見せて微笑んだ。


 窓から差し込む昼の陽光が、その整った顔を照らしていた。


「だ、大丈夫です……ご迷惑をおかけして申し訳ありません」


 ケーネは顔を真っ赤にして勢いよく立ち上がると、大きく頭を下げた。


 デビルフルーツがたわみ、椅子が後方に倒れた。


「頭が痛かったんだったら、急に立ち上がると危ないよ?」


 フリードが椅子を元に戻すと、手のひらをケーネに向け、座るように促した。


「は、はい……ありがとうございます」


 ケーネは真っ赤になりながら椅子に座り直した。


 フリードもケーネの隣に座った。


「フリードさん? ケーネはもう大丈夫なんですか?」


 私は頬を赤くしてフリードに見惚れるケーネを見つめた。


「うん、大丈夫だよ」


 フリードはテーブルに肘をつき、手のひらに顎を乗せた。


「さっきの蒼い光もその剣の力なんですか?」


 私はフリードに熱視線を送るケーネを睨んだ。


「うん、体の異常を見つけることができるんだ。それだけじゃなくて身体の基礎情報も拾えるよ。身長とかいろいろね」


 フリードが黒髪をかき上げた。


 サラサラと髪が落ちた。


「へぇー、そうなんですね……」


 私はフリードのさらさらとした黒髪を見つめていた。


 視界の端に、同じように見上げるデビルフルーツ女が目に入った。


「ん? それって私が前に気絶したときも使いました?」


 私は視線を下ろし、フリードを見つめた。


「もちろん。気門の修復に体を詳細まで調べる必要があったからね」


 フリードは当時を思い出すように、軽く目を細めた。


「それってまさか……体重とかもわかります……?」


 私は恐る恐る尋ねながら、胸元に両手を当てた。


「そうだね。身体測定で出るような数値なら、胸囲や座高も含めてだいたい分かるよ? それがどうかしたかい?」


 フリードはキョトンとした。


「ぎゃーっ!」


「キャッ!」


 私がダークホラーなスクリームを上げる横で、イエローな声を上げるケーネ。


 私は顔を青ざめさせ、ケーネは頬を赤く染めていた。


「うん? どうかしたのかな?」


 フリードは私とケーネの顔を交互に見つめ、首をかしげた。


「「いえ、何でもないです」」


 私とケーネは下を向いた。


「そ、そうだケーネ! 体調は大丈夫?」


 私は顔を上げて、ケーネを見つめた。


「え、ええ。スープの匂いを嗅いだら、昔、誰かにスープをもらったのを思い出して……」


 ケーネはポトフの入ったスープジャーを見つめていた。


「それで頭が痛くなるの?」


 私は眉をひそめ、ケーネの顔を覗き込んだ。


「ええ……」


 ケーネは両手を胸に当てた。


「私、実は数か月前までの記憶がないんです」


 ケーネは胸元で何かを握り込んだ。


 チャリッという金属がこすれる音がした。


 突然の告白に言葉を失い、私もフリードも、金属音のしたケーネの胸元をじっと見つめた。

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