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食欲の魔女と底辺OLのダンジョン飯テロ配信~「赤字ならクビ」と言われたので、ポンコツ魔女に飯を食わせてブラック企業の売上を超えます~  作者: ダニエルさん
第2章:Sランク配信者なんて無理無理無理! でも、魔石採掘部門にはいきたくない!

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第68話「食欲の魔女をゴリランカー跡地から助けたらマンドラゴラになった話」

 私がセラの横顔を見つめていると、セラがパソコンの画面に目を落とす。


「何だ? ツッコ? Bランクダンジョンのこと調べてるのか?」


 セラは私の隣にズシンと座り込んだ。


「うん、どんなところか詳しく知らないから。セラはAランクだよね? どうやってクリアしたの?」


 私は椅子を少しずらし、セラに画面を見せた。


「ん? 熱くて入るのが嫌だったから内部に人がいないのを確認してから、外から闘気をぶっ放した」


 セラは両腕を伸ばし、手を合わせて握り込むと私に歯を見せた。


「ごめん、人の言葉でもう一度説明してもらっていい?」


 私はゴリラ語が理解できず頭を押さえた。


「おい、失礼なこと言ってんじゃねぇよ。クリア条件が『洞窟の奥にいるボスモンスターを討伐して洞窟の外に出る』だったから外から倒しただけだろうが」


 セラは腕を組み、眉をひそめた。


「えーっと……言葉は理解できる気がするんだけど意味がわからない。それ、私の参考になる?」


 私はこめかみを押さえながらセラを見上げた。


「ならねぇな!」


 セラは大きな音を立てて両手を叩いた。


「だよね……はぁ。どうしようかな。私、全身を闘気で覆うの苦手なんだよな……またシェリーさんか、リーベさんに相談するかな」


 私はパソコンを操作し、会社のスケジューラーを確認する。リーベさんも、セクハライドおじもやっぱりしばらく不在だった。


 ――この二人ずっといないよな……何してるんだろ。そういえばLOVE美としてのコメントも見てないような……


「何言ってんだよ? 環境適応の闘気操作ならプロフェッショナルがいるじゃねぇかよ」


 セラはニヤリと笑い、親指で庭の方を指した。


「え? 誰それ」


 私はセラの指す方へ顔を向けた。


「フリードだよ。アイツの鎧、魔闘具だぜ?」


 セラの親指は庭ではなく、少し上を向いていた。


 私は庭の方に体を向けた。よく見ると松の木のシルエットがおかしい。


 目を凝らす。


 松の枝にフリードが引っかかっていた。


「ちょっと! お前! 何やった!?」


 私はセラに向き直った。


「あぁん? ケンカ売ってきたからのしただけだよ。エスルスも庭に埋まってるぜ?」


 セラはゴリランカー跡地を指さした。穴があったはずなのに何かが見える。


 上半身だけになったエスルスだった。


「え! エスルス!?」


 私は靴を履いて外へ駆け出すと、ゴリランカー跡地へ走った。


 エスルスが半身を地面に埋めて、土の上に肘を突き、手のひらに顎を乗せていた。


 もう片方の手の人差し指で地面をトントンと叩いている。


「ああ、ツッコか……情けないところを見せたね」


 エスルスは頬杖をついたまま、じとりと私を見上げた。


「エスルス……大丈夫? 抜こうか?」


 私はエスルスを見下ろすと肩に手を添えた。


「頼めるかな? 魔力が切れて自分じゃ出られないんだよ」


 エスルスは肩をすくめた。


「わかった、待ってて」


 私はエスルスをつかむと、両手を紫の闘気で包み込んだ。


 ゆっくりと力を入れる。


「ツッコ……ちょっと痛いんだけど、もう少し優しくできないかな……?」


 エスルスは眉をひそませ、顔を歪めた。


「いや、そんなこと言っても埋まってるから」


 私はさらに力を込めた。エスルスが少し持ち上がった。


「ちょっ! ツッコ、ちょっと待ってくれたまえ!」


 エスルスは顔を真っ赤にして私の肩を叩いた。


「え? ゴメン無理……」


 私は一気にエスルスを地面から引き抜いた。


 地中の土にディアンドルが引っかかり、エスルスの体だけが服の中からスポンと抜けた。


 地面から抜けたエスルスは、深い赤紫の下着だけの姿になっていた。


「ギャーーッ! ツ、ツ、ツ……ツッコ! 下ろして! 服を! ディアンドルを取ってくれーーーーッ!」


 エスルスは両手で体を隠し、体を丸めながら叫んだ。


「あー……マジでごめんなさい」


 私はエスルスをもう一度穴に戻した。


 ――なんか、穴から抜いたら叫ぶってマンドラゴラみたいだな。


「どうして戻すんだい!」


 エスルスは穴から上半身だけを出し、胸を隠しながら真っ赤な顔で私を睨みつけた。


「いや……恥ずかしいかなと思って」


 私は目をそらしながら、頬を指でかいた。


「埋められてるこの姿も十分恥ずかしいよ! キミはほんとにボクの尊厳を何だと思ってるんだ」


 エスルスは胸元を片腕で隠しながら、もう片方の手で地面をバンバンと叩いた。


 大きな声を上げるエスルスの後方で、松の木の枝がボキリと折れた。


 ドサリッ!


 何かが地面に落ちる音が聞こえた。


「ん?」


 私は音のした方へ振り返った。


 そこには枝を何本も巻き込み、仰向けに倒れたフリードがいた。


 黒い鎧が黒い霧へ変わり、フリードの胸元に小さな十字架だけが残った。

 

 月明かりに照らされた半裸イケメンの魅惑的な胸元が、私の目に襲いかかった。

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