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食欲の魔女と底辺OLのダンジョン飯テロ配信~「赤字ならクビ」と言われたので、ポンコツ魔女に飯を食わせてブラック企業の売上を超えます~  作者: ダニエルさん
第2章:Sランク配信者なんて無理無理無理! でも、魔石採掘部門にはいきたくない!

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第64話「堅牢の殲滅士になる前の少女が豚の魔物を打ち抜いた話」1/2

 メッサーは空になった皿を持って、トオルに近寄ってきた。


「自己紹介ができていなかったな。俺はメッサー。このコミュニティのリーダーだ」


 メッサーは空の皿を脇に抱えると、トオルに手を差し出した。


「俺はトオル・ミヤグニだ。トオルって呼んでくれ。あと、このちっこいのがシェリー。自慢の娘だ」


 トオルはメッサーの手を握ると、顎を私の方にクイッと小さく動かした。


 私はメッサーに向かって小さく微笑む。


「シェリーデス」


 両手を体の前でそろえ、頭を下げた。


「礼儀正しい子供だな。シェリーちゃん、ここにはケーレみたいな小さな子もいるから仲良くしてやってくれ」


 メッサーは膝に手を置いてしゃがみ込み、私と目線の高さを合わせた。


 メッサーが優しく目を細めた、そのときだった。


 外から大きな爆発音が響き、建物が震えた。


「メッサー! 大変だ! また化け物たちがやってきた!」


 ガタイのいい眼帯の男が外から駆け込んできた。肩で息をしながら、入口の方を親指で指している。


「分かった、すぐに向かう! メルザーは中で状況を伝えてくれ」


 メッサーは空の皿を机の上に置くと、さっきまでの柔らかな表情を消した。壁に立てかけてあった剣をつかみ、入口へ向かう。


「俺にも手伝えることはあるか? そこそこ戦えるほうだぜ?」


 トオルは椅子から腰を上げると、腰に並んだ包丁を順番に指でなぞった。


「すまない、今は手が足りていないんだ。助かる。ついてきてくれ。シェリーちゃんはあそこに立っている女の人と二階に避難していてくれ」


 メッサーは足を止めることなく、壁際に立っている女性を指さした。


 女性は小さな子供たちに声をかけ、上層階につながる階段の方へ向かっていた。


「シェリー。お前は中の子供たちを守るんだ。できるよな?」


 トオルは私の前に片膝をつくと、まっすぐ私の目を見つめた。


「はいデス!」


 私は右手に桜の髪飾りを握りしめた。


 手のひらに緑色の闘気を込める。


 桜の花びらの形をした飾りが淡い光に包まれ、私の愛銃へと姿を変えた。


「おい、トオル、そんな小さな子が魔闘具だと……戦えるのか?」


 メッサーは入口へ向けていた足を止め、私の愛銃と顔を交互に見た。


「自分の身を守るくらいなら大丈夫だ。シェリー、無理はするなよ?」


 トオルは大きな手を私の頭に乗せ、くしゃりと撫でた。


「トオルも無理しちゃダメデスよ?」


 私は頭に乗ったトオルの手を両手で握り、その顔を見上げた。


「腹ペコ娘たちを残していなくなったりしねぇよ。心配すんな」


 トオルは歯を見せると、もう一度私の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。


 そのまま立ち上がり、メッサーとともに入口の向こうへ消えていく。


「お姉ちゃん……また、人が死んじゃうの?」


 後ろから服の裾を小さく引っ張られた。


 振り向くと、ケーレがウサギのぬいぐるみを胸いっぱいに抱え、泣きそうな顔で私を見上げていた。


「……お姉ちゃんがついてるデス」


 私は愛銃を片手に持ち替え、ケーレへ左手を差し出した。


 ケーレはウサギのぬいぐるみを大切そうに抱えたまま、その手をぎゅっと握り返した。


「ケーレ! 早く上に行くよ! お嬢ちゃんも、早くおいで」


 先ほどメッサーが指さした女性が階段の前から大きく手招きした。


 私は左手でケーレの手を引き、女性の方へ向かった。


「子供は何人いるデス? 二階の警備はどうなってるデス?」


 私は女性の隣まで駆け寄ると、愛銃を胸元に引き寄せながらその顔を見上げた。


「小さいのにしっかりしてんだね。あたしはガーベル。二階には私と同じ魔法兵が一人と弓兵が三人いて外の警備をしてるよ」


 ガーベルは少し驚いたように私を見つめたあと、杖を握り直して階段を駆け上がった。


「敵が中に入ってきたら対応するデス」


 私は階段を上りながら愛銃の握りを確かめ、人差し指を引き金に添えた。


「そうならないことを願っているよ」


 ガーベルはちらりと私の愛銃を見ると、子供たちを急かすように背中を押した。

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