09. 奇襲
父が出て行き、母が入ってきた。彼女は叫んでもいなければ、緊張している様子もなかった。その顔は奇妙で、生き残る見込みのない任務を受け入れた戦士のような表情をしていた。
私はまだベッドに座っていた。すべてがあまりにも速く進んでいた。これまで戦争に行ったことなどなかった。戦争は普通のものではない。戦争は悲劇であり、人類の愚かさであり、指導者の欲望のために命を失う価値などない。
「もう服は準備したの、カエレン?」と母は落ち着いた声で言った。
「まだだよ母さん、戦争に何を持っていけばいいのか分からない」と私は言った。
正直に言って、行きたくなかった。この二度目のチャンスを戦争で無駄にしたくなかった。もし行けば、死ぬのは明らかだった。実戦の経験はなく、母との訓練だけで、それすらうまくできていなかった。
「防寒着よ、カエレン」母は命じた。その声は低いが確固としていた。「あなたは戦争に行くのではなく首都へ行くの。すべての季節の服も必要になるわ。どれくらい外にいるか分からないから」
母は厚手の羊毛のコートを選び始めた。冬の終わりだとは分かっていたが、首都周辺の土地は予測できなかった。母が選んだコートに加えて、私は「普通」と思える服を三組選んだ。シンプルなズボンとシンプルなシャツだ。
母は見たことのない軽い鋼の短剣を持っていた。短く、細い革の柄がついていた。これは私のためだろうか?
「外では木の武器では戦えないわ」彼女は言った。「しっかりしまっておきなさい」
母は刃の先を指先でつまみ、柄をこちらに向けて差し出した。「取りなさい」と母は言った。私は短剣を受け取り、初めて本物の刃の重さを感じた。
それをベッドの横に置いた直後、母は私を抱きしめた。強く、長い抱擁だった。母からこんな抱擁は珍しかったし、あまりにも長かった。
「こんな形にはしたくなかった、カエレン」母は耳元でささやいた。
何か答えなければならなかったが、言葉が出てこなかった。母がこんなに緊張し不安そうなのを見るのは初めてだった。今日から未来は不確かだ。彼女を少しでも安心させる言葉が必要だった。
「大丈夫だよ、母さん」私は答えた。ありきたりだったが、それでも効いた。
数分後、父が戻ってきた。両肩に袋を担いでいた。中には物資や服が入っているようだった。
「もう準備はいいか?」父が言った。
「ええ」母が答えた。
まるで誰かが死んだかのように、空気は重く張り詰めていた。私たちは玄関から出た。空気は冷たく、雪はまだ降っていた。父は先頭に立った。
「ここで待っていろ、馬を連れてくる」そう言って父は雪の霧の中へ消えた。
ほどなくして父は二頭の馬を連れて戻ってきた。馬がいたなんて知らなかった。この天候で乗れるのだろうか?前世で馬に乗った記憶はない。新しい経験になる。
母は父と一緒に荷袋を馬にくくりつけた。私は特にやることがなく、それを見ていた。
「さあカエレン、馬を選んで乗れ」父が言った。
私は母と一緒に乗ることを選んだ。彼女の剣術を信頼していた。油断したくなかった。
なんとか馬に乗った。奇妙な感覚だった。前世で乗ったことはなく、今この雪と緊迫した状況で乗るのは、不快な新体験だった。
家はもはや避難場所ではなかった。離れなければならない。そしてもう戻れないかもしれない。戦争は無意味で不要だが、家はもう過去だった。
父はもう一頭に乗り、馬はゆっくり歩き出した。
「戻ってくる」父は言ったが、その声に確信はなかった。
母はうなずき、夜の闇と雪の霧が私たちを飲み込んだ。
旅が始まった。最初の任務が戦争になるとは思っていなかった。希望はほとんどなかったが、もう一度死にたくはない。この二度目のチャンスを失いたくない。危険が迫っていた。
私たちは一時間近く進んだ。雪で道は見えなかった。寒さよりも恐ろしいのは沈黙だった。私はずっと母にしがみついていた。とても寒く、温まろうとしても無駄だった。
「父さん、どこへ向かっているの?」私は尋ねた。
「灰の森を抜ける近道だ、カエレン。最速のルートだ」父は答えた。
灰の森。読んだことがある。危険な森で、敵対的なゴブリンや闇の生き物の伝説があった。
その瞬間、静寂が破られた。風ではない。左の森で枝が折れる音だった。
父は即座に馬を止めた。
「モンスターだ!!」父が叫んだ。
馬から降りる前に、灰色の影が飛び出した。小柄で石の斧を持つ存在。
ゴブリン。本に書いてあった通りだ。
「灰色ゴブリンだ!!」父が叫んだ。
さらに三体、やや大きく、破れた革鎧を着た個体が霧から現れ、前を塞いだ。
「カエレン、離れるな!!」父が叫び、魔法を唱え始めた。
私は馬から滑り降り、袋から短剣を取り出した。心臓が激しく打っていた。現実だった。恐怖していた。
三体が父へ向かい、細身の一体が剣を持って私に突進してきた。
母の訓練を思い出し戦おうとしたが、速すぎた。剣が短剣を弾き飛ばし、雪に落ちた。次の瞬間、顔を殴られた。
痛みが走り、地面に座り込んだ。目を開けると、茶色の影とゴブリンの首が落ちるのが見えた。次の瞬間、母が剣を持って立っていた。刃から黒い液体が滴っていた。
「立ちなさいカエレン!戦いなさい、強くなりなさい!!」母は二体と戦いながら叫んだ。
生きるために戦わなければならない。強くならなければならない。
私は立ち上がり、短剣を拾った。父は火の魔法を放ち、母を援護していた。
ゴブリンは多かった。一体が母の死角を狙っていた。
私は走った。
考える暇はなかった。本能だった。
近づくとゴブリンは振り向いたが遅かった。私は胸に短剣を突き刺した。驚くほど簡単に入った。叫びもせず、膝をついて倒れた。
私は後ずさりした。焼けた匂いが漂い、ゴブリンは倒れた。
私は殺した。
命を奪った。
体が震えた。私は英雄ではなかった。
意識が重く、世界は冷たい現実だけになった。私は怪物になった。
「カエレン!!」声が聞こえた。
振り向くと母だった。
彼女は雪に覆われ、息を切らしていたが立っていた。周囲にはゴブリンの死体があった。勝ったのだ。
父は木にもたれ、肩を押さえていたが生きていた。
母は駆け寄り、私を抱いた。
温もりを感じた。恐怖が安らぎに変わった。
「あなたがやったの?」母が聞いた。
「うん」私は答えた。「死角を狙っていたから」
母は静かに言った。
「やるべきことをしたのよ。でも…慣れてはいけない」
彼女は周囲を見渡した。
「もういない。セロン!」と呼んだ。
父は歩み寄った。
「肩が外れただけだ」父は言った。
「行こう、王が待っている」
私たちは再び馬に乗り、道へ戻った。
あのゴブリンは、この世界が幻想ではない証だった。
私は生きていたが、罪悪感が新たな重荷になった。




