新居
いきなり新居を構え、活動拠点を定める事になった。安い買い物ではないが、今回の遠征で未踏破ダンジョンの攻略報奨金、神器以外のお宝や、アイテム、素材等々を換金した分と、盗賊を返り討ちした分の懸賞金と戦利品を換金して、ザックリ三億。委員長はソレを算出済みだったが、王都のギルドとは言え、ポンと払える金額ではない。偶々諸事情でギルドの管理下になった邸宅で現物支給の様なカタチで丸く収めた。因みに、邸宅は十数億の価値はあるが、ギルドは二億五千万で入手している。スープとしてはこの上ない優良物件だが、ギルドとしてもしっかり儲けていた。
入居3日目、まだまだ慣れるとまではいかないが、極端な違和感は無くなった。少しだけソワソワして昼食のテーブルを囲んでいるが、そこにゆいの姿は無かった。食事の時には、3人揃っている筈のメイドも雲雀だけ。その雲雀も、
「お済みでしたら、リビングにお茶をお持ちしましょうか?」
ミンシルは、
『どうも、追い出したい様だな。』
念話を送って視線で会議。
「あぁ、お茶はいいよ。ゆいの支度手間取っているみたいだから助けてあげて!」
雲雀は満面の笑みで、
「畏まりました!」
手際良く食器を下げると、猛ダッシュでゆいの部屋に向かった。
ゆいの部屋では、憩と七星がゆいのドレスアップを堪能していた。内覧の時はリビング風だった手前側の部屋は、入居の時には、メイク室兼ウォークインクローゼットに変身していた。
「私は脇役だから、そんなに気合いいれなくても・・・」
「「そんな事ございません!!!」」
反抗不可と判断したゆいは、ドレスを何着も着替え、髪型も色々と結い直したり、されるがままに、ひたすら完成を待っていた。駆け付けた、雲雀も参戦し、更に白熱。取り敢えず、タイムリミットを迎え、何とか解放された。
リビングに降りると、手持ち無沙汰の男子達。一緒に来た憩が、
「ご覧の通り、ブルーで御座います。」
「オッケー、青だね!着替えて来るね。」
階段を上がって行った。
ゆいのドレスに合わせたブルーのジャケットの5人は、アイドルグループも顔負けの仕上がりで、七星と雲雀はうっとりと見つめていた。
「馬車の用意が出来ております。」
峰に促され、戴冠式に出発した。
登城の際に門番に手間を取らせない様に、貴族っぽい馬車を用意してある。ふだんの見掛けオンボロの馬車では、検閲の列に並ぶ事すらままならない。立派な馬車で、並んで許可証を提示してやっと入城出来る。今回は、多分最大規模の招待客だろうから、列は延々と伸びていた。開式迄には通過出来そうなので、焦らずに待つしかない。




