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紅コンプリート

 トムとフカヒレは、前日のトムとブイヤの事故(?)を参考に、平和な朝を迎える事が出来た。計画している最後のダンジョンに向かう。1日だとちょっとキツい程度の距離なのでのんびり2日掛けて移動する。出発も慌てていない。早めのランチを済ませてからの出発だった。


 何事もなく、目的の中継地に点到着。日が沈む前にテントを張って竈も準備万端。焚き火を囲んで少し飲んで早めに就寝。ゆいは一人テントで、色々気にしなくても良い状態でのんびり熟睡した。他のテントもリラックス出来たらしく、元気に朝食。急ぐ必要は無いが、長居するメリットも無いので、すぐに出発した。


 途中、盗賊の偵察と思われる馬車に後をつけられたが、馭者台に居たフカヒレが軽く殺気を放つと、馬が怯えて立ち竦み、一度停まった馬車はもうついて来なかった。

 明るいうちにダンジョンに到着。管理員が居るダンジョンなので、明日の早朝から潜れる様に手続きを済ませておいた。


 翌朝、朝日を目覚ましに起きて攻略をスタートする。ここは29階層までしか到達されていない。30階層のボスに挑んで逃げ帰った者が最深との事。そこまでの情報から委員長の予想は、50階層まで有って、神器GETの予想確率は1番高い。出現する魔物に系統性が見当たら無いので、30階層のボスが蜘蛛と言うのが最深の情報。

 今回も、サクサクと30階層まで降り、サクっとボスを倒した。それ以前も情報を記録しながら進み、予測通り50階層にラスボス、その先のパズルを解いて最後の神器と対面した。


 紅の調べ壱は、ハープに近い感じ沢山の弦が張られた琴の様な弦楽器だった。

  思った程の達成感が得られなかったゆいは

「コレでコンプね!ココもチュートリアルならクリアかしら?」

と、ぼんやり。

「取り敢えず、あの、脳にテロップ入って来る感じは無いね。」

そう答えたミンシルも似たような反応、他のメンバー達も以下同文的な表情だった。


 攻略としてはメインイベントと言っても過言では無いが、ある意味戴冠式までの時間潰し的な要素もある、と言うか、そっちがメインなので、それなりの感動しかないのは当たり前かも知れない。かなり緻密に建てられた計画をややオーバーペースで熟し、余裕を持って王都に向かう。


 偶然なのか、委員長の筋書きなのかは解らないが、今回のコースは、王都を追われた王子達の新たな拠点を巡る旅でもあった。行く先ざきで未踏破ダンジョンを蹴散らしているスープが、王妃になる聖女・郁が所属していたパーティーと言う事実を浸透させ、新王政のチカラを見せつける事になっていた。


 途中、寄り道をしながら、戴冠式の3日前に王都に到着。報告や換金等の面倒な事を済ませたいので、ギルドに直行した。

 書類との格闘を覚悟してかなり憂鬱なゆい達だったが、委員長はニッコリ笑って、

「あの冊子の通りに回った?」

「うん、お陰ですんごく効率良かったよ、ありがとね!」

ゆいは勤めて明るく返事をした。

「じゃあ、コレ!」

委員長は、書類の束をカウンターに滑らせ、

「大体記入済みだから、日付とか書き足せば完成よ。私も手伝うから、早く済ませてちょっと付き合ってね。」

手伝うと言うか、確認が必要な事項を次々に聞かれ、その回答を聞いた委員長がサクサクと書類を仕上げ、何日か掛かる覚悟だった作業が午前中でスッキリ完了出来た。

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