ツアー1軒目
東に向って10日程。途中は相変わらず、偶に狩りをしたり、盗賊を返り討ちにしながら進んだ。魔物相手でも、盗賊相手でも楽勝で、ほぼ順調に旅を続けた。ロスがあったのは、捕まえた盗賊を引き渡すギルドも騎士団も暫く無いので、半日程逆戻りした事くらい。毎晩宿に泊まれたし、ゆいは個室をキープ出来ていた。
第一目的地のダンジョンに到着。久し振りのテント泊だが、ゆいはひと張りを占有出来たので特にトラブルと言うか緊張するシーンには至らなかった。
一泊してダンジョンに潜る。10階層毎にボス戦が有り、現在39階層が最深部。40階層のボスに挑んで帰還している者は未だ現れていない。この階層の唯一の情報は、巨大な蛇らしきモノの脱け殻を見て、その大きさに恐れをなして引き返したという記録だけ。他に40階層に踏み込んだと思われる者も居るが、ここで敗れたのか、先に進んで全滅したのかは解らないが、ラスボスは倒されていない。ラスボスを倒せば、相討ちだったり、帰路で全滅しても、踏破済みになる。そこは、簡単な鑑定でも解る。現状、未踏破のままだ。
委員長の資料を有効活用し39階層までサクサクと進み、40階層も委員長の傾向と対策でアッサリとクリア。その先も、ほぼほぼ想定内の魔物を倒し50階層のボスに挑む。
資料での想定では、50階層がラスボスで多頭の大蛇。10階層が双頭大蛇、20階層がノーマルの大蛇、30階層が九尾の大蛇、40階層はまたノーマルなので、次はノーマルでは無く、多頭か多尾。先に出た多頭ではないかとの予想。体長数十メートル、レベルは800から1000と踏んでいる。全てのボス戦の舞台はジャングルだったので、次も同じだろう。
50階層に降り立った。階層全てにボスの殺気が漲っている。ラスボスで間違い無いだろう。
殺気の割には本体は現れない。殺気の源を目当てに獣道程度のやや歩きやすい筋を進んで四時間程、視界がパッと開けると、多頭大蛇が現れた。現れたと言うより、発見したと言う方が適切だろう。大蛇は襲い掛かることは無く、脱皮の最中だった。
脱皮中とその直後の鱗は柔らかく、通常の武器でもラクに貫通する。浅い層で実際に報告されていた。ボス大蛇を鑑定、五頭の大蛇でレベルは想定通りの920、それぞれの頭が違う系統のブレスを吐く。攻略法はコレまでのボスと一緒なら心臓を貫いて、再生する前に魔石を奪うとクリア出来る。心臓と魔石の位置も把握出来た。
ゆいは、風と雷土の魔法を纏わせた矢で心臓を貫いた。一撃で粉砕、大蛇は肉片になっている散らばった。早速魔石を回収しようと近付こうとしたが、紫に鈍く光る魔石に向って、肉片がじわじわと集まっていく。五つの頭は辛うじて蛇のカタチを保って居るが、自分の意思で魔石に向っているのように思えず、他の肉片と同様に魔石に引き寄せられている感じだ。
首を切っても、他の肉片と同様に魔石に向かう。炎系統で攻めると、燃えている間は進行しないが、消えれば進む。氷や土壁も時間稼ぎ程度。雷土は、感電するとパッと逃げるように散る。魔石付近に落とし、魔石を剥き出しにして、周囲を凍らせる。魔石単体を浄化し、黒に近い紫色で鈍く光っていた魔石が、ほんのりピンクの透明で光り輝く様になると、周りの肉片は塵になって地面と区別が付かなくなっていった。




