聖女?
町に入ると、
「聖女様のお仲間が戻られました!」
身に覚えの無い呼ばれ方で歓迎された。広場には自警団と助っ人の冒険者が集まっていたが、衣服はズタボロな割には皆んなピンピンしている。団長とか、おえらいさんの特等席の様な屋根付きのスペースには怪我人の列が出来ていて、どうやらヒール待ちの様だ。
「何かお手伝いしましょうか?」
ゆいは凄腕の治癒師と思って補助を申し入れたが、
「あっ、ゆい!魔力チャージして、ソロソロ限界かも。」
ヒーラーはイクシーだった。
「もしかして、聖女様って?」
「じ、自分で名乗ったんじゃないからね!アンタが貸してくれたアイテムだと、やたら良く治るし、回復剤もメチャ効いてさ、なんか、皆んなが勝手に・・・」
「喜ばれてるんだから良いじゃん!」
イクシーの肩に手を当てて魔力を送り込んだ。
「ありがと、でも、その笑い、聖女の『聖』の字が間違ってるで、思ったでしょ?アタシは性女の方がお似合いよね!」
「そんな事無いって、私も手伝うから早く済ませましょ!」
ゆいは聖女様を手伝う振りをしながらドンドンヒールしていき、怪我人の列は夜明け前にはクリア出来た。
自警団に報告に行った男子達、
「このサイズの魔石って事は、俺達がやられたデカブツか?」
仕切り屋が疑う様な口調で聞いた。
「ああ、ゲート前で倒したヤツだからそうだと思いますね。群れの中ボスって感じです。鑑定では、あの程度が10数体、その上にボスが居るようです。今夜位にボスの登場でしょうね。」
「そんな・・・」
自警団の団長はガクリと肩を落とした。騎士隊の派遣も上位冒険者の依頼も今からでは間に合わない。ゲートを閉ざし何とか持ち堪えるしか生き延びる事は出来ないだろう。
「襲われる前に襲いましょう!」
ミンシルの提案に仕切り屋は否定的だったが、
「そうしましょう!自警団から腕利きを向かわせます。」
「いえ、昨夜の様子でしたら、我々だけで行く方が効率良さそうです。皆さんは町の護りに徹してください。」
『足手まとい』と言う単語を使わないよう、慎重に断った。
自警団と他の冒険者は、ゲートを閉じて中を護り、スープは単体で、魔物が寝蔵にしている森へ攻め入る事で作戦が決まった。
日中に仮眠をとり、夕方作戦開始。イクシーは、魔力回復剤を大量に準備して町で留守番。ゆい達は、日の残るうちに森に踏み入った。
寝蔵の位置を鑑定して大きく囲って結界で包囲。少しずつ包囲を絞って、完全に取り囲んだ。
日没を待つ。西空の余韻が薄れてくると、雑魚から順に目を覚まし、町に向かって歩き出すが、結界に阻まれグルグルと寝蔵の周りを回り続ける。中ボスも、登場し、やはりグルグル。完全に暗くなると、巨大なボス狼が登場した。
グルグル回る手下達に苛ついたのか、大きく吠える。雑魚達は怯えて滅茶苦茶に走り回る、中ボス達もあたふたしたタイミングで一斉に魔法攻撃。結界内を焼き尽くしたが、一気に殲滅とはいかず、ボスは生き残り牙を剥いた。
結界を狭めつつ、辺りを消火。今度は広域に拡散させず、一点集中でボスを攻める。結界に縛られ反撃もガードも出来ないまま頭部が吹き飛んだ。魔石の回収の方が手間が掛かり、夜明けを少し過ぎてやっと完了。様子見に来た自警団と合流して町に戻った。
ミッションクリアと思ったが、完全に駆除出来ているか証明出来ないとの事で、依頼は継続。元々10日の予定だったので仕方が無い。交渉して、2日間襲撃が無ければ完了と言う事で、昼夜逆転の生活は続く。
結局、3日目の森攻めで駆除は済んでいて、様子見でプラス2日、計5日で依頼は完了となった。
待機中、イクシーがヒールの適正が思ったより高かったので、ヒール系のスキルを特殊魔石で取得。補助アイテムも工夫して、ゆいのサポートが無くても、かなり高度な治療が出来る様にしておいた。
丁度5日間で、部屋割りのローテーションも一回りしたので、王都に向けて再出発した。




