白銀の杖
確認しながら30階層を進む。新たな魔物の発生は無く、念のためカマキリの卵を焼却処理しながら、下層への道を探した。
下層への階段を発見、慎重に降りてみると、カラフルに塗り分けられた格子の壁に突き当たった。
『宝に鍵』と書かれており、格子は10掛け10の100マス。10色に塗り分けられ、それぞれ鍵穴があり、手前の台には10本の鍵が乗っていた。
「これ、スマホでやったことある!1色に1個、1行に1個、1列に1個当たりが隠れてるんだ、落ち着いてやれば楽勝だぜ!」
ブイヤは鍵を全部持つと、
「赤はひとマスしかないから、ここはお宝確定な。で、赤の周りと、この列とこの行は空で・・・」
ブツブツと言いながら、鍵を挿し続けて数分、10本すべてが挿さった。
「うわっ!」
ブイヤが後退りすると、ゲーム板だった壁が輝いて消えていった。
その向こうは、銀色に輝いていた。瞳孔が縮んで眩しさに慣れると、床の間の様なスペースに銀色の棒。仙人とか大魔道士みたいな地面を突く様な長い杖では無く、指揮者のタクトの様な物だった。
ブイヤはそれを取ろうと近付こうとするが、歩いているつもりでも全く進まない。他のメンバーも同様だったがゆいだけは何の抵抗も無く歩み寄り、スーパーの棚から商品を取り出す様に手に取った。
「鑑定して見たらね、魔法に関して色々強化してくれるみたいなの。」
杖をイクシーに向けて軽く振り、
「やっぱ、鑑定の項目が増えてる!ペナルティだって。解除出来るのな?」
もう一度杖を振るとイクシーの身体全体が、眩しく輝いた。元の姿に戻ったイクシーは、
「な、何したの?」
「ペナルティを解除して見たの、鑑定では消えたからもう大丈夫ね。レベルが上がらなかったり、攻撃系のスキルが覚えられないのってペナルティのせいだったんだって。アイテム使ってもちょっとしか伸びなかったでしょ?」
「何も変わって無い感じだけと?」
「そうなの?じゃあ、帰り道で試してみま見しょう!取り敢えず、コレね!」
炎系の攻撃魔法を取得する魔石を試してみた。
出発前に試みた時は、攻撃系のスキルは尽く失敗して、無駄になるので取っておいた魔石が一発で成功した。
念のため、他にお宝は無いか、更に進む扉や階段は無いか確かめてから降りて来た階段を登った。
30階層に戻ると、全て倒した筈のカマキリが復活している。イクシーの攻撃魔法の試運転で手近な所から火球を飛ばした。ラスボス相手なので、ダメージはほぼほぼゼロだったが、攻撃は成功した。ゆいがブーストで魔力を増幅させると、鎌でガードさせる程度の火球になった。
降りて来た時は、スルーに近かったので、各自カマキリを倒してチカラ関係を確かめた。戦力差は充分なので、イクシーの経験に重点を置いて着実に倒していった。
29階層もカマキリだが、かなりのレベルダウン。ゆいのブーストを受けたイクシーが、軽く焼き殺した。その上も階層が浅くなる度に魔物は小型化していった。
23階層で人の気配。どうやら?子爵のおぼっちゃま率いる団体に追いついたらしい。
「会いたくないから、ゆっくり来たのにね。」
ゆいは独り言を零しながら、階層全体鑑定した。
無謀に突っ込んだおぼっちゃま救出の為、全員が29階層まで降り、武器弾薬を優先して運んだ為、食糧が枯渇。トップチームが戦闘出来るまでは回復していないので、戦力は大幅ダウン。元々ベースキャンプや中継キャンプで働いている人達を保護する必要もあるので、再発生した魔物に足留めを喰らっている。
スルーしようとしたが、ポーターらしい人達が、魔物に囲まれていた。取り敢えず魔物を蹴散らし、その場を離れようとしたが、
「コレ、若様のテントに運ばなくちゃならないんです!お礼は払ってもらえるよう頼みますから、テントまで連れてって頂けませんか?」
満身創痍で縋り付く視線には耐えきれず、テントまで送り届けた。




