今度こそ
『第二チュートリアルを再開します。』
と感じ、一気に明るくなった。
視覚がハッキリすると、第二チュートリアル開始時の森に居た。あたりを見渡すと、32人が種族も性別も着ている物も2回目の最新状況のまま、馬車も2台有った。
詳しく確認すると、見掛け同様、レベルやスキルもキープ、身に付けていた持ち物もキープ。馬車2台は2回目終了時に乗っていた物で、厩に預けていた3台は、持ち物扱いにはならなかったのだろう。
2回目の経験を踏まえ、状況の把握と計画を建てる。先ずはクリア条件。早速委員長が仕切る、
「クリア条件は、1回目で解っていた、王国軍の勝利と、漆黒の剣キープでしょ?それと鞘の入手ね!」
その他にも意見を出し合い、1回目と、2回目で違った事は、クリア条件から外しても良いだろうと考え、絹子を倒す事、オリジナル絹子が抱いていた魔石を壊す事がどうなのかは、結論に至らなかった。
今回は、スープとイクシーだけでシルクのアジトを攻めて、鞘を奪取する事にした。
他は最初にミュウミュウが世話になった獣人の集落、委員長が世話になったエルフの集落に留まる。
先ずは、馬車1台でスープをスーラーのダンジョンに送る。スープはダンジョン転送で王都を目指す。もう1台で獣人の集落にピストン輸送で移動、先に蜘蛛の巣に絡め取られた獣人を助けて、集落に送り届け、獣人、龍人、鬼人はそこに滞在、蜘蛛の魔物をエルフの里に持ち込んで、エルフ、ドワーフ、ヒューマンがそこに滞在する。
滞在組は、計画通りに両集落で暮らしエルフの集落で蜘蛛の魔物を売って、海産物や特産品を買って、獣人の集落で販売、またそこで買い入れして、エルフの集落で販売。両集落は全く行き来のない関係だったので、どちらでも飛ぶ様に売れた。信頼を得れば、安心して住めるし、馬車の購入の可能性も出てくる。馬車を買う位の金貨は十分に持っているが、田舎の集落で販売していない。誰かに譲って貰うしかないが、一見さんにはハードルが高過ぎる。スープがクリアすれば、次のステージに進めるので、特に焦る事はない。
スープは、ダンジョン転送を繰り返し、ツェーべに到着。乗り合い馬車で王都に乗り込んだ。
冒険者登録もせずに、シルクのアジトに向かう。結界の術式は解読済みなので、自宅の鍵の様にガシャガシャ開けてオリジナルと対面した。
今回は、魔石を壊さずオリジナルに抱かれたままアイテムバッグに押し込んだ。生きたままの生物は収納出来ないので、都合良く魔石だけが収納され、残ったオリジナルは、塵になって消えていって、小さな魔石がバラバラと散らばった。
ゆいとイクシーは、更に奥に進んで鞘を探す。他は複写が攻めて来るので、それを片付ける。
ゆいは、結界の名残りがある箱を見つけた。オリジナル若しくは魔石の魔力を利用していたのだろう、鑑定するとトラップも無く、あっさりと開いた。中には期待通りの鞘が納められていた。
絹子複写達は、魔石のチカラを失って女児の姿から、各々の年齢に応じて老けていた。オバサンになったランクSと、女児のままの規格外を拘束し、他は切り捨てる。オリジナルの様に塵になってくれると便利だが、普通に死体が残った。
鎮圧してから死体を集めると、全部で27体。鞘を手に入れて戻ったゆいが鑑定すると、
「胸にあるコレって魔石だよね?取ってみよっ!」
全員の胸にある痣にナイフを入れると、ヌルっとオリジナルが抱いていた魔石と同じ種類の小さい物が出て来た。魔石を抜かれた死体は、オリジナルと同じ様に塵になって消えてくれた。
ランクSを尋問する。
「他の手下どもはどうしたんだ?」
「・・・」
無言を貫くが、思考を鑑定しているので、隠し事はお見通し。現在進行形の作戦や今後の計画を読み取って胸の魔石を奪った。
ランクSが塵になって、規格外を連れてギルドに向かう。アジト制圧の報告と、エルフの里の襲撃計画、暗黒邪剣と呼んでいる、漆黒の剣を狙っている事、ティダコッパが帝国と組んで王国離脱を試みる事、カヒサーも寝返る事等々を話したが、全く相手にされなかった。
取り敢えず、冒険者登録を済ませ、エルフの里に向かう。
作戦決行には間に合わなかったが、オリジナルが抱いていた魔石の恩恵を受けていたシルクの構成員は、魔力ダウンに対応出来ず、エルフの防戦を突破出来なかった。苦戦中の背後をスープに攻められて全員拘束されてしまった。
エルフの里を助けた実績を、引っ提げ再びギルドへ。今度はギルマスの執務室に通された。
規格外の複写と、漆黒の剣の鞘を見せてランクSの複写から読み取った情報を告げると、
「謁見の手配をします。しばらく王都に滞在して頂けますか?」
快諾すると、寮を提案された。
しばらくのんびりしていると、王城からの呼び出しが有り、鞘を献上した。近衛隊長が漆黒の剣を鞘に納めると、
『第二チュートリアル、クリアしました。』
と、脳内にアナウンスが流れ込んだ。




