成功条件
一気に王都に乗り込んで、冒険者登録。エルフの里をシルクから守った事は、潜入していた冒険者経由で知れ渡っていたので、すんなりと受け容れられた。
5つのパーティーに別れて登録。ゆい達スープは、元々のメンバーに、イクシーを加えた7人構成。イクシーの監視と、シルクアジトへの潜入を目的にしている。
他の4パーティーは、個々のレベルは一般的な冒険者より高いが、経験が乏しいので、初心者パーティーの薬草採取等を請け、魔物寄せでの撹乱を調査する。ゆいが用意したアイテムでこれまでに対応した魔物であれば、防御可能でスープに救難信号が飛ぶ様になっている。前回生島が担った、魔物寄せの設置を誰かがするか、人員不足でしないのかは不明だが、用心に越したことはない。
ティダコッパの反乱は、暗黒邪剣を盗まれた事が発端なので、警備の厳守化は進言しているので、チュートリアル失敗の要因は2つとも阻止出来ている、成功の条件が解らないので、今後の進行の予想は出来ないが、打てる手は打った。
イクシーの手引きで、シルクのアジトに潜入する。前回、魔物寄せを設置していた時に出入りしていた所に侵入した。カムフラージュした出入り口で解錠の呪文を唱えるが、反応しない。
「前に使っていた時とおんなじなんだけと、作動しないの。」
焦るイクシーに、ミンシルは、
「毎回同じ呪文なのか?前は生島を登録してたから作動したんじゃないか?」
皆んなは肩を落とすが、ゆいは、
「生島の時はレベル40台だったでしょ?今は1よね?魔力不足なら、ブーストして再トライね!」
イクシーの背後に立って、肩に手を乗せた。
「あ?出来るかも!」
2度目のトライでサクッと開いた。
中には誰も居らず、どの扉も、物理的なロックだけ。一箇所だけ、厳重な結界か張られていた。ゆいは、鑑定して、術式を読み解く。魔力は強いが、簡素な術式で、数分で解除した。
「あ、ここ!絹子の部屋!」
生島の記憶が理解した。
「奥の扉、また結界ね!」
ゆいは再度鑑定。今度はかなり複雑な術式が重ね掛けしてあった。
それでも30分程で攻略、扉が開くと、ぼんやり光るものがあった。
「おやおや、優秀な冒険者さんだねぇ。でもここまでだよ。」
ほぼ同じ顔、同じ体型の女児が10人。いきなり魔力弾を放った。
「えっ?絹子がいっぱい??ウッ!」
魔力弾はゆいが打ち消したが、その余波は、イクシーの意識を奪った。
「なんだ、アレを防ぐのか?手間をとらせるな、コレでどうだ!」
女児達が更に強力な魔力を放出した、今度は弾き返すと、1人を残してバタリと倒れた。残った1人がゆいに突進を試みるがあっさり拘束されてしまった。
倒れている女児達を鑑定すると.
「絹子複写ランクC」が3人、「絹子複写ランクD」が8人で年齢は30台から50台、全員死亡していた。拘束した1人は「絹子複写ランクB 19歳」尋問しようとしたが、自爆。
ぼんやり光るものを確認すると、またまた同じ容姿の女児がバスケットボールよりも大きな魔石を抱いて座っていた。抱いていると言うより、融合している感じに見えた。鑑定すると
「絹子 271歳」で全く動かない。その横にも女児が2人、「絹子複写不適合」で61歳と10歳。おどおどして攻撃して来る様子は無かった。
「そこで、何をしてるの?」
「絹子様のお世話。」
「貴女達は?」
「出来損ないの複写、普通に働けないから、お世話係。」
お世話係との会話をミンシルに任せ、ゆいはオリジナルを詳細に鑑定した。沢山のスキルを持っていて、その中の「複写」で自身のコピーを作っていたのだろう。
全てのスキルを強奪、魔石を奪おうしたが癒着して離れない。魔石を割ると、オリジナルの絹子は塵になって飛び散った。
お世話係はそのまま残っていたので、連れ帰る事にした。付いて来る様に言うと、おとなしく従う。
奥の部屋を出ると、異変に気付いた通常は本人と名乗っている「絹子複写ランクS 58歳」が戻って鉢合わせ。下位ランク達とは格違いだったが、それでもゆいの魔力には及ばず、スキルを全て奪われて退散した。
その後も複写ランクAが1人、Bが2人現れ、相討ち覚悟の肉弾戦で挑んだが、ゆいに辿り着く事も無く切り捨てられた。
アジトを脱出すると、大きな爆発が起きた。眩く光った色調と魔力系統は、オリジナルの絹子が抱えていた魔石と同じだった。
「割れていても、こんなに凄まじいんだね!出た後で良かった!!」
アジトは壊滅だろう、慌てて馬車を走らせていると、
『漆黒の鞘が失われました、第二チュートリアル失敗です。』
と、脳内にアナウンスが流れ込んだ。




