王都へ急行
ゆい達は、裏路地を案内されて、裏口から建物に入った。宿の雰囲気は全く無い。
「宿帳に署名お願いします。」
差し出された書類を鑑定すると、娼館の契約書だった。
「ここの文字がとても小さくて読めないんですけど、なんて書いてあるのかしら?」
「大した事じゃありませんよ、お気になさらずに。」
「そうなんですか、では、コチラの契約者って、娼館のオーナーさんですよね?契約ってどういった契約です?」
「畜生、お前、字が読めるのか?こうなったら!」
懐から巻物を出して、それを開いて、
「隷属!」
巻物が煙の様になって消えると、
「な、なんで奴隷紋が出ないんだ?金貨80枚もしたんだぞ!」
ゆいは、バッグから手鏡を出して、
「奴隷紋って、この事かしら?」
鏡を覗き込んで、自分の額に浮かんだ逆三角形の黒い痣を見て、
「ど、どう言う事だ!?」
ゆいはニッコリ笑顔で、
「呪術返しですよ、隷属が効いているか試してみましょうね。」
商人風の男は、ゆいの指示に従い、大型の馬車を用意して、中古の適性価格と思われる金貨100枚でゆいに販売。旅人を拉致して、不正に奴隷契約をさせていた証拠をせっせと纏めて、自警団に出頭した。
徒歩で先行する男子達を馬車で追う。15分程走った所のキャンプスペースで全員眠っていて、さっきの男の部下らしい者達が、奴隷の首輪を着けて回っていた。結界で隠れ近くで観察していると、馬車が3台連なってやって来た。
馬車から降りた奴隷商は、直ぐに商談。トントン拍子で話しは進み、
「確かに質も良い、首輪も正規品ですね。」
金貨の詰まった革袋を幾つか馬車から降ろし、支払いを済ませると。
「奴隷の闇取引きですね、現行犯ですよ。」
結界を解いて、ゆいが現れた。
奴隷商は真顔で、
「手前どもは、正式に許可を受けて商いしておりまして、首輪もキチンとしたモノしか扱う事はありません。」
眠っているミンシルの首輪を摘んで、
「ご覧ください、王国が認めた首輪です。」
そのタイミングで、目を覚ました、と言うか、狸寝入りを止めたミンシルが、
「正規品?コレでも?」
と、首輪を引き千切った。
「そ、そんな事したら・・・えっ?」
無理に外したら死亡する筈だが、ミンシルは涼しい顔。他全員も目を覚まして、首輪を引き千切った。
「・・・全ておしまいだ・・・」
青ざめる奴隷商。商業ギルドから追放、奴隷商のライセンスも剥奪、莫大な罰金と、しばらくは塀の中で暮らさなければならない。途法に暮れていると、
「貴方は正規の取引きだと騙されていた事を証言しましょうか?」
ゆいが提案すると、
「是非とも、お願いします。お礼は十分に・・・」
「その大型馬車を譲って頂ければ良いですよ。」
「こんな物でしたら差し上げます!」
そんな交渉をしていると、自警団がやって来て、
「奴隷の闇取引きで、全員逮捕、動くな!」
拘束具で部下らしい者達を捕まえた。次は奴隷商と言う所で、
「この方は、正規の取引きだと騙されていたんです、先程持ち込まれた証拠品で明らかになる筈ですよ。」
奴隷商のライセンスを確認するだけで拘束はしなかった。
馬車を手に入れ、街道を走る。途中、魔物を狩ったり、茸や山菜を採ったりして、集落で売ったり、物々交換で食糧や宿賃を賄った。
カヒサーを越え、チーラッソへ。幾つもあるエルフの里同士が、ヒューマンの侵略に対抗する為、手を結ぶ事となり、最大集落の里長の娘が、次に大きい集落の次期里長に嫁入りする。結婚祝いの準備をしている新郎の集落に立ち寄った。
「アンタが悪さする前の集落みたいね。襲って来るシルクを食い止めましょう。」
委員長の提案で、百菜達の集落に向かい、シルク襲撃の事情を説明し、防衛に協力する事となった。
襲撃の日、里長一族を非難させ、ゆいは一菜、ミンシルは十良になりすまして待機。
シルクは奇襲攻撃のつもりで乗り込んだが、前回の生島の記憶と、ギルドの報告書で、行動を把握していた為、ほぼ損害無しで、全員を捕らえる事に成功した。




