第二チュートリアル失敗
戦局は、王国軍が星砦城を陥すのが先か、帝国軍の援軍が到着するのが先か、微妙な状況で、日和見の貴族は判断を躊躇っていた。各地で睨み合って、たまには小競り合いも発生していた。
そんな中、カヒサー領主は帝国派に寝返る事を選んだ。主力を南部に集めた王国軍の背後を襲う算段だ。
「申し訳ございません、私は、王国の騎士です。主君に向ける刃は、持ち合わせておりません。」
カヒサーの騎士団長は、領主と対立する。
「団長よ、貴殿の孫娘は王都攻めを望んでおるようだが?」
領主が顎をしゃくると、団長が孫に贈ったドレスと髪飾りを纏う娘が運ばれて来た。
愕然とする団長に、娘は微笑みながら、
「カトレア嬢にドレスをお借りしたんですよ。」
孫娘カトレアに見えていた娘は、サッと杖を振ると、耳が伸び、エルフの姿になった。
「シルクの連中に襲われた時、お世話になった冒険者に頼まれていましてね!」
澄んだ声で呪文を唱えると、領主は身動き出来なくなり、あっさりと拘束されてしまった。
シッツーマの拠点を攻めたスープがクーデターの情報をキャッチ、エルフの里に協力を要請していた。
クーデターを阻止したカヒサー騎士団は、一緒に反旗を翻す予定だった2つの領主を制圧した。背後の憂いが無くなった王国軍は、攻勢を強めた。
スープは、テダコッパ海岸のバリスタの奪還に成功、発射の向きを元に戻すと、帝国軍の艦船を次々と沈めていった。
カヒサーとの挟撃と、帝国の援軍が頼みの綱だった絹子は、星砦城を諦め、僅かな手勢と共に帝国に渡った。
長年、手を焼いていたシルクに大打撃を与え、残存兵は絹子と共に帝国に逃げ出したので、王国の治安は格段に向上した。帝国軍に靡いていた貴族達も一掃。王国派貴族の次男達が後釜に座った。
内戦によるインフラ被害も少なく無いが、1番の激戦地だった星砦城エリアでも、橋を幾つか破壊した程度なので、直ぐに復興出来るだろう。
「さぁて、今回の依頼は、帝国軍の上陸阻止だったから、ミッションクリアだね!」
早速、ティダコッパのギルドを訪れたが、ギルドは閉鎖されていた。宿屋や、商店街の一部は営業していたので、居酒屋で祝盃、宿も何とか確保した。
ゆいは、いつもの様に、浄化魔法で入浴はパス。男子達は露天風呂に繰り出した。
横目で他の入浴客を観察しながらのんびりと温泉を堪能、
『だいたい隠していて、ハッキリ見えないけど、どうやら、俺達のってデカい方みたいだな。』
ボルが念話で呼び掛けた。
『らしいな!自分のがどのくらいなのかって女の子に聞く事じゃ無いしさ、アッチの世界じゃ唯一が小さいって虐められてただろ?絶対ゆいには聞けないよな。ま、どうでも良いっちゃ良いんだけど、なんか落ち着いた気がするよ。』
ブイヤが答えると、
『ぶら下がった状態でデカいって事は、上向きに膨張した時もデカいって事で良いのかな?』
と、トム。
『そりゃ、確認は難しいな。風呂場でそんなだったらヘンタイだろ?』
フカヒレは笑いながら答えた。
『ん?そのヘンタイさん、アレ違うか?』
女湯との壁に貼り付く3人のオッサンを発見。そっと近付いて腰に巻いたタオルを奪った。
「ソッチに何か用でも?」
「な、何でも有りません、あ、ソロソロ上がるか?」
タオルを取り戻そうともせずに逃げて行った。
『今のヤツ等、上向いてアレだったら、やっぱ、俺等のってデカいみたいだな。』
しっかり確認したボルは、観察の結果に確信を持った。
のんびりと王都に帰るスープ一行は、景色を眺めたりり、温泉、グルメを楽しむ予定でいたが、
『漆黒の剣が帝都に持ち込まれました、第二チュートリアル失敗です。』
と、脳内にアナウンスが流れ込んだ。




