シルク捜索
スープ一行は、リュタオに入って鬼人とエルフのペアを探して、盗難馬車から魔力の残滓を辿る。アチコチ探し周り、港に辿り着いた。
「そんな珍しい組み合わせだったら、絶対覚えてるよな?きっと別の種族に偽装してんじゃねぇか?しっかりしろよ、新米さん!」
貨物船に荷物を担ぎ込んでいた筋肉隆々のお爺さんがゆいを嗜めた。
「それもそうですね!魔力の残滓を頼りにしていたもので。」
「如何にもワケアリの獣人のカップルならその頃、ヤウーソ行きの船に乗ってったぞ。途中イモールに寄る便だから、どっちかに行った筈だ。」
「有難うございます、ギルドに報告出来ます!」
慌てて王都に戻った。
王都に戻り、早速ギルドに報告すると、
「やはりシルク絡みか?実はな・・・って、場所を変えましょう。」
ギルマスは、カウンターから自身の執務室に移動して、チーラッソ地方のエルフの里の襲撃事件とその後の事件についての説明を始めた。
元々、チーラッソには幾つものエルフ集落があり、それぞれ独立して付かず離れずで安定していたが、闇ギルドがその土地に目を付けて侵略、アチコチで小競り合いが起きていた。エルフ達は、集落同士協力して里を護る事になり、里長の子女の縁組みでその結束を強めている。
闇ギルドの『シルク』は、2大集落同士の縁組みを阻止する為、最大集落を襲い、里長の子供6人中、4人を殺し、1人行方不明。かなりの混乱を与える事に成功した。
行方不明の娘が、鬼人の男と共に帰って来たので『シルク』との繋がりが無いか調査して欲しいと依頼が入っているそうだ。
「私達、その『シルク』って解らないので、その調査は無理じゃないですか?」
ゆいは断わろうとしたが、
「いや、他の者達も似たようなもんさ、追いかけていた魔力の残滓が、戻って来た娘と、連れの鬼人のモノなのか確認するの、君達しか居ないでしょ?」
ほぼほぼ強制的に調査依頼を請けてギルドを後にしたスープ一行は、馬車屋に向かった。
「長い事この仕事で喰ってるけど、カッコ悪くしてくれって言われたの初めだぞ。まぁ、中身を買ってくれたからな、いい感じにボロくしてみたぞ。」
馬車屋の主は、不機嫌そうな口調だが、満面の笑み。スープがオーダーしていたのは、高機能の最新型に矢弾を弾く防弾シールドや防御魔法の魔法陣を見えない様に描き込んでそれを維持する魔石をセットしたりのスペシャルモデルだが、見た目は駆け出し冒険者がやっと手に入れた年代モノの中古車。
「有難うございます、ボロじゃ無くて、年季が入ってるんですよ。イメージ通りです!」
「ハハハ、ギルマスが態々一緒に来て紹介する新人って言う割ににはフツーかと思ったが、面白そうなヤツ等だな。レベルだけじゃ無く、馬車と擬装か!」
「えっ?あの?えっと・・・」
ゆいが会話に詰まると、
「魔石をセットする小箱な、あんなデカい魔石扱うのは10や20のレベルじゃ無理なんだよ、コレならどこ行っても盗賊達の的になる事、間違いなし!いっぱい襲われて、いっぱい返り討ちして。いっぱい稼いでくれよ!そんで、カッコイイ馬車も買ってくれよ。」
新しい、古馬車で北へ向かった。
前回宿泊した、ラビーカーに今回は5人でやって来た。襲撃現場とは別の宿屋を選んだ。
特に何もせず、いつもの様に振る舞い、居酒屋風の店で夕食。
宿屋に戻って、ゆいは部屋でアイテムバッグの整理、男子達は浴場へ。
粗方片付けたゆいは、風呂には行かずに浄化魔法でスッキリ。湯に浸かってのリラックス効果は無いが、冒険者向けの宿屋は女性客が珍しいので、女湯はショボかったり、覗きのビューポイントだったりするので、然程の未練は無い。
のんびり星空を眺めていると、無人の筈の隣室に人の気配を感じた。




