スープ2
店を出た2人は真っすぐに下町に移動した。
「ミンシル様、有難うございます。」
「いや、もう自由の身なんだから、『様』は止めてくれよ。」
「いえいえ、ご主人様ですから!」
「でもな、じゃあ、飯より先に奴隷商だな!」
奴隷商に直行、奴隷の首輪を解除して貰った。
食事をして麻衣の宿を探そうと、宿屋に向かうが、
「ミンシル様のお部屋に泊めて頂けないのですか?私を捨てるのでしょうか?」
「いや、捨てるだなんて!」
麻衣のおねだり視線に負け、
「様、無しでミンシルって呼ぶなら良いぞ、あと敬語も無しだ。」
「解ったミンシル!ずっと一緒だよ!」
『ずっと』とは言っていなかった筈だが、気にせず寮に向かった。
ギルドの寮は2棟あって、片方は女子寮でしっかり管理されているが、ミンシルが住む方はリタイアしたり大怪我でリハビリ中の冒険者に取り敢えず住処を提供している感じで面倒なルールはない。女性を連れ込んでもお咎めなし。勿論麻衣もOK。
狭い部屋にシングルベッド。ミンシルがソファーに寝ようとしたが、
「くっついて寝れば、そんなに狭く無いわ。」
麻衣と主張で一緒に寝る事にした。
昨日とは立場が違うので、手を出す事は出来ないと、緊張したミンシルだったが、
「今夜は嘘は吐きませんよ、素のままの私を抱いて下さいね。」
麻衣はミンシルの腕の中に滑り込み、それを受け入れたミンシルは、結界で防音して夜を楽しんだ。
翌日、ミンシルと麻衣はギルドへ行って、麻衣の冒険者登録と2人でパーティー『スープ2』を結成した。受付嬢は、麻衣に女子寮を提案したが、
「ずっと一緒が良いので。」
と顔を赤らめて答えると、受付嬢はそれ以上に真っ赤になっていた。
Fランクからスタートなので、定番の採取系を請ける。雑魚魔物が出ることもあるが、2度目のチュートリアルで実力を付けたミンシルに不安は無かった。実際に魔物が出ても瞬殺、着実に依頼を熟していった。
いつもの様に薬草の採取をしていると、
「魔物かしら?」
麻衣が採取の手を止めて立ち上がった。
「みたいだね、結界張るね!」
「じゃあ、少し待ってて!」
「ちょっと待って、数が多いわ。」
麻衣はアイテムバッグから弓を出して空に向かって矢を射た。
天空でキラリと輝くと無数の矢になって地面に振り注ぐ、遠くで魔物の叫び、もう一矢放ちまた魔物の叫び。
「雑魚は片付いたわ、ボスを待ちましょう!」
「麻衣、そんな技持っていたの?」
「ええ、弓の技はもうひとつあるから、ボスが来たらご披露するわ。」
麻衣の見立て通り、二足歩行の豚系魔物が一体現れた。確かにボスっぽい。麻衣の弓から矢が放たれると、魔物はピタリと止まった。
「動きを止めるだけで、ダメージはちょっとしか無いの、今のうちにトドメをお願い!」·
「OK!動けないなら一気に行ける!」
ミンシルは飛び上がって、袈裟懸けで肩を捉えたが傷は浅く、動き出した事を考慮して脚を斬った。
麻衣は、魔物の拘束が切れる前に追加の矢を射込んだ。固まったまま片脚を失って倒れミンシルの剣が首を胴体から離して戦闘を終えた。
ボスを解体、魔石と牙、持っていたマサカリを回収。肉は高級食材の筈だが、大量に持ち帰れないし、どこが食べられるか解らないので廃棄。矢の遠隔攻撃で倒した子分達をチェック、ボスより2回り位小さい個体が20体程、小さいと言っても立ったら2メートルは超すだろう。コチラも魔石と牙と武器を回収した。
依頼の薬草を納品、追加で魔石と牙と武器の買取りを依頼した。
「ミンシルさん、コレ買い取れますけど、パーティーランクD、もしかしたらCにされちゃいますよ。」
受付嬢が小声でアドバイス、魔石は魔石商、牙と武器は鍛冶屋に持っていくように伝えられた。




