入寮
王都に向かう街道は、大型の馬車でも余裕の道幅で整備されていた。のんびり移動して、ダンジョンがあれば攻略、森に寄って食材を集めたりしながら南下した。
王都の関所も、バッジでスルー。ギルド本部近くで宿をとった。
翌日、朝イチでギルドに向かった。魔石査定を依頼しようと列に並ぶと、受付嬢がカウンターから出て、
「あちらのドアから入って、左手の応接室でお待ち下さい。」
お辞儀をしてカウンターに戻った。
指定されたドアに近づくと、自動的に開いて、全員が通過、
「なんだココ開く事有るんだ!」
野次馬が入ろうとしたが、結界で弾かれていた。
応接室では少し待たされて、現れたのはギルドの制服を着た受付嬢とキレイなお姉さん。
「ギルマス、魔石の鑑定をお願いします。」
続いて振り向いて、
「ゆいさん、カヒサーにお持ち込み頂いた魔石をお願いします。」
ギルマスはルーペを取り出してスタンバイしていたが、アイテムバッグから出て来た魔石を見て、
「あら素敵ね!」
受付嬢が目配せすると、少し咳払いして、
「ちょっと世間話しをしても?」
まぁ拒否は出来ないだろう。スープの面々が軽く頷くと、
「冒険者登録でね、レベルを誤魔化す人が偶に居るそうなのよ、ホント偶ぁにね、た・ま・に。ソレが中々の重罪って知らない人も多いのよ。ま、私が知ってる限り、当ギルドでは発生していませんけどね。」
と、言いながら、順に全員と目を合わせた。
「ごめんなさい、関係の無い話しね。では、本題よ。続き頼みますね。私は魔石を見せて貰うわ。」
と、受付嬢にバトンタッチ。
「スープの皆様は、各個人のレベルの割に、高ランクの成果を出されていらっしゃいます。ギルドと致しましては、対応して頂きたい依頼を沢山抱えておりますのでパーティーランクをCに昇格させて頂きたいと考えております。皆様のメリットと致しまして・・・」
とても親切丁寧な説明だったが、要約すると、レベル詐称を黙認する代わりに、ギルドが指定する都合の良い依頼を熟して欲しいと言う事だった。3階級特進してしまえば、目立たない様にレベル詐称した意味が無くなってしまうが、条件を受け容れる他は無いだろう。面倒な話しが済むと、
「イケメン揃いの逆ハーレムパーティーって聞いてたけど、ゆいちゃんなら納得だわ!皆んな種族が違うから身籠ってもパパが判り易くて便利ね!」
中々魔石の鑑定結果に辿り着かなかった。受付嬢がランクアップの手続きを終えるまでお喋りが続き、
「コレね、Aランク相当の魔物ね!鱗はどうしたの?」
「竜巻で攻めたら傷だらけになっちゃいました。」
「竜巻はどなた?」
トムが手を挙げると、
「あら?魔法も凄いのね!」
ギルマスの視線はトムの股間を捉えていた。
魔石は高額過ぎるのと買取価格に大幅な差があるとの事で、魔石商に持ち込む事を勧められ、これからの生活等について受付嬢から説明された。
市街地の割と中心部に馬車を置ける住宅も確保してもらえたので、早速受付嬢に案内され新居に向かった。
本部から徒歩5分の好立地に建って居るのは、団地の様なアパートの様な建物が2棟。
「向かって右が女子寮です。左側はリタイアしたり大怪我でリハビリ中の冒険者や、万年Fランクの方が住んでいます。男性はそちらですね。女子寮は当然ですが男子禁制ですので、夜の営みはそちらでなさって下さい。」
ゆいは、慌てて訂正しようとしたが、
「男性は4階の5号室から8号室です、鍵をどうぞ。ゆいさんはこちらへ。」
受付嬢はサッと鍵を渡し、女子寮に歩き出した。
女子寮には、ギルドの受付嬢や、自警団の職員、城勤め等、元の世界で言う公務員の様な人達が住んでいるとの事、ゆいは5階の11号室。5階は全てギルド関係者が住んでいるそうだ。




