冒険者登録
急ぎではないが、いつものように朝日と共に起きたゆいは、ミンシルを起こさない様にそっとカーテンを細く開けて天気を確かめた。
「おはよ、ゆい!お天気は?」
ミンシルも目を覚ましていた。
ミンシルは嬉しそうに荷物を広げ、
「街に着いたらって約束だったでしょ?」
エルフの集落で買ったメイク道具を鏡の前に並べて、ゆいを拘束した。化粧に興味か無かったゆいは、「街に着いたら」と逃れていた。流石に王都のど真ん中を街じゃないとは言えず、顔面を委ねている。
「おはよ!」
ミンシルは自分のメイクも済ませ、隣りを起こしに行った。カーテンを開けると、すんなり目を覚ました、
「朝ご飯の時間だよ、さぁ、早く!」
布団を剥がそうとしたが、トムが死守、
「直ぐに行くから先行っててくれよ。」
他の3人も掛け布団をガードしているので、ミンシルもやっと気が付いて、
「じゃあ、先行ってるね。」
気不味くなって部屋を出た。
ゆい達が食堂で待っていると、慌てて降りてきた男子達が、
「お、おはよう、いい天気だね?」
赤面して視線を合わせず、何故か隣りのテーブルに座った。
「一緒に食べようよ!」
ミンシルが引っ張って席に着くが、4人とも俯いて口を開かない。
「どうしたの?具合でも?」
ゆいの問いで更に固まってしまう。
「ゆいがキレイ過ぎて眩しいんでしょ?」
何故か誇らしげにミンシルが胸を張った。
4人がそれを認め、恥ずかしそうに頷くと、今度はゆいが、
「いや、あの、ミンシルが、その、えっと、オシャレトークしないと詰まんないって、なんか、えっと、やっぱ、ヘンだよね?」
湯気が出るかと思う程、赤らめて取り乱した。
「皆んなゆいに見惚れてるけど、あたしもメイクしてオシャレしてるんですけど!」
またパニクる4人を見て、ゆいが正気に戻った。丁度料理が運ばれ、何事も無かった様に、食事を始めた。
さて、目的のギルドに向かう。マンガやアニメで観たギルドのイメージで、タバコの煙や酔っぱらいのアルコール臭が蔓延したアナーキーな空間を想像していたが、実際は元の世界の役所か大きな病院の様な感じで、いきなりナンパとかカツアゲとかの心配は要らなかった。
然程混んでは居なかったが、新規登録は結構待たされた。登録済みの冒険者がバッジを見せて、カンタンなやり取りで済んでいるのに、ゆい達はほかのパーティーが捌けてようやく回って来た。
カウンターを閉めて奥の小部屋に移動。レベルとスキルを装置で確認して、名前と出身地を書いたカードを提出する。出身地は受付嬢の言う通りに書いた、後で聞いた所によると、王城の住所との事。改ざんしたレベルで無事通過出来て、パーティーランクはF。
仮登録のバッジを貰いギルドを後にする。正規のバッジは3日後との事で郊外のダンジョンを攻める。
難易度は少し高く、改ざんしたレベルでは無理な筈だが、仮登録バッジで問題無くスルー。今回は、ゆいの補助スキルがパーティーメンバーに効果が有るかを確認するのが目的。
グロウの効果は、レベルアップが加速する。元々急に上がる訳じゃないので判り辛いだろう。
サポートの効果は、魔法の発動がスムーズになったりコントロールが良くなったりする。
リザーブは魔力補充で枯渇を回避、魔力の残量は体感出来るので効果が判り易いだろう。
ブーストは魔法の出力が上がる、これも判り易そうだ。
早速現れた、小型の鬼。ミンシルが短剣に纏わせた魔力を飛ばしてみる。纏わせるまでは今までも問題無かったが、飛ばそうとしても4回に1回位しか成功しなかったが、今回は1発で成功。群れの先頭の胸を貫き、群れの真ん中に1本、死骸の列を作った。続けて3発、連続成功で死骸の列が4本に増えた。
「4発なんか続けて撃てると思わなかったわ!1発で結構しんどかったのに!」
補充スキルは効果を発揮しているようだ。




