カヒサーにて
「護衛が減ってるな!あと馬車も。」
待ち構えていた、獣人のトムと龍人のブイヤが奴隷商を襲う。
買い取った奴隷を全て手放し、乗用の馬車と空っぽの運搬用馬車だけになり、途中から追加で雇った護衛の冒険者を解雇していた。労使で話し合いがつけば珍しいケースでは無いそうだ。
ブイヤのスキルで足止めすると、風上から飛んで来た何かで、1人しかいない護衛はノックアウト。飛んで来た何かは、身体強化SSで強化したトムの拳だった。
「もしかして、異なる世界からいらした方でしょうか?」
奴隷商は両手を上げた状態で馬車から降りた。
「おい、お前が拐った俺達の仲間はどうしたんだ!?」
ブイヤが凄むと、奴隷商はワカミカで解放するまでの経緯を話した。
2人が納得し、護衛の意識が戻ると、
「今日の件は口外致しません、ワカミカに向かえば再会出来ると思いますよ。」
と、勧めた。
正規の商人一行を、冒険者登録もしていない者が襲ったと言うのが現状なので、法的に圧倒的に不利な2人は言われた通り、馬車が来た道に進んだ。
龍人のブイヤはレベル64でスキル天候操作S、生活魔法E。虻井 弥生。獣人のトムはレベル63でスキル身体強化SS。能登 睦美。
奴隷にされた仲間を力ずくで取り戻そうとしていた2人だ。
ワカミカには夕方着いて、非戦闘組と再会。テントを張ってゆい達を待った。
ゆい達は、ダンジョンを制覇しての戻り道、
「大丈夫ですが?」
大型の魔物、牛だろうか?角のある四つ足に苦戦しているエルフのパーティーに出会う。
「済まない、我々では無理な敵だ!」
「任せろ!」
ボルが雷土であっさりと仕留めた。
ゆいのアドバイスでフカヒレがサクッと解体、瀕死のエルフ達をヒールした。
一緒に地上に戻り、報告と買取りを済ませると、
「お礼がしたいので、我々の集落に招待したいのですが。」
「実は非戦闘組もいて大所帯なんで、ご迷惑かと。」
ゆいが断わろうとしたが、
「ちょっと事情がありまして、空き家が沢山あります、20人でも30人でも大丈夫ですよ!」
断り切れずキャンプスペースへ。
トムとブイヤと再会、慌ててテントを片付け、大勢でエルフの集落に向かった。
集落では歓待され、美味しい料理、爽やかな沐浴、ふかふかのベッドでリフレッシュ。翌朝には、
「良かったらここで暮らさないか?」
里長からのオファーがあった。エルフは妖精の様に森に自生するもので生活しているイメージだが、畑を耕したり、家畜を育てたりもしている、男手が足りないとの事で、非戦闘組のエルフ3人が要請に答えた。
翌朝、9人になって出発。改めてカヒサーを目指す。手綱の扱いはチュートリアル3年以上の5人はOK、ミンシルに教えながら進んだ。
途中、狩りで食材を調達したりしながら3日でカヒサーに到着した。出張所で買い取って貰えなかった高額素材、魔石を売って宿屋に泊まる。非戦闘組の3人の働き口を探し、ヒューマンの2人は直ぐに見つかったが、都市部では獣人差別がキツく碌な仕事は無かった。
カヒサーに残る2人の借家や日用品等を用意、カヒサーで1、2を争う百貨店の様な店を訪れた。
「いらっしゃいませ!」
明るく迎えたのはヒューマンの男性、
「あっ、ゆいちゃん!」
龍人マダムがお買い上げのカレだった。
隷属の首輪がインチキで他の人達が解放された事を伝えたが、
「あぁ、もう解放されてたよ。その後から奴隷商か返金しに来たみたい。ココねマダムの店なんだ、昼間はココで働いて、夜は今まで通り。奴隷の時とおんなじだよ。」
本人達の意思でココに居るようなので気にする事はせず、必要な物を揃えて宿に帰った。
次回は3/20、春分の日の更新です!




