スキル強奪
17人の解放で、金貨3000枚程を覚悟していたゆい達だったが、逆に金貨120枚と中古だが頑丈な大型馬車を手に入れた。
奴隷代表的な存在だった深平 麗美はエルフ語を理解していて、喋れない組に紛れ混んで、なんとか面倒を見ていた。初めは20人からスタート、3人が龍人マダムに売れ、深平が纒めるグループが7人、奴隷商に従順にして脱走の機会を伺う。他の10人は特にグループと言う訳では無いが、鬼人の生島が仕切っていた。
「実は、7人になっちゃったのは、生島が殺しちゃったんだ。」
「えっ?で、その生島は?」
「脱走した。」
「なんで仲間を?奴隷商を殺したんじゃ無くて?」
「うん、アイツ『スキル強奪』ってスキルがあってね・・・」
数日前の夜、街道沿いのキャンプスペース。
「フカヒレ!お前のスキル、貰ったぁー!!」
後ろの馬車に乗り込んだ生島は、深平からスキルを奪おうとしたが、
「キ、サマ、何をしやがっ・・・た・・・」
倒れてしまった。
状況把握が出来ていない深平達は、取り敢えず生島を寝かせて、前の馬車の様子を見に行った。
生島の他の9人が居たが、全員倒れていて、介抱しようと乗り込んだが、息のある者さは居なかった。
元の馬車に戻ると、ノビて居た生島の姿は無かった。騒ぎに気付いた奴隷商が見に来たが、その時既に脱走した後だった。
「深平さんは、どうして無事だったの?」
「多分、レベルが上の人からはダメらしいんだ、私、んん、俺がレベル49なんだ、チュートリアル3年やったから。」
生島は転移後、元々高かった身体能力に獣人の要素が重なり、雑魚魔物を蹴散らすパワーを身に付けており、率先して魔物を狩っていた為、10からスタートのレベルは16に、他が12前後なので群を抜いていた。同じ馬車の低レベルの者から奪い尽くして、次の強奪に至ったと考えられる。深平が格上の認識が無かったのか、格上からの強奪は出来ない事を知らなかったのかは定かでは無く、成功すると相手が死んでしまう事、失敗すると自分にダメージがある事も認識の是非は解らないが、少なくとも、1人目の強奪で相手にダメージがある事実は目にした筈、2人目以降は、傷害の認識有りの犯行となる。
「奴隷商に連れ戻される心配があるから、この馬車は安心かな?」
ミンシルは楽観論だが、
「アイツなら、魔物狩ってレベルアップして復讐に来そうだって!」
深平は警戒した。
先の事を打ち合わせ、奴隷商との再開は避けたいと言う深平達の意見で、少し滞在する事にして、ワカミカのダンジョンで、深平達の戦闘力の確認とレベルアップにトライする事になった。
宿泊の為、テントを一張追加。ゆいのアイテムバッグに有ったラスイチ。新規の7人はドワーフ1、獣人1、ヒューマン2、エルフ3。全員男性なので、ボルも含め8人、4人組でテントを分けた。
「あぁ、麗美って如何にも女の子だろ?よく誂われて呼ばれてたあだ名なんだ。」
『フカヒレ』と深平が呼び名の解説、そう呼ぶ事になった。レベル49で鍛冶スキルA、生活魔法D。
他のメンバーはレベル12で目ぼしいスキルは無し。冒険者しか選択肢がないと思っていたが、ゆい達が6人からスタートして4人が別の道を選んだことを知り、ソレに倣う事を選んだ。
翌朝、ゆい、ミンシル、ボル、フカヒレでダンジョンを攻める。フカヒレは、ゆいがチュートリアルでディーン用に鍛え上げた武装でしっかり闘える。腕力と持久力が優れていて、経験不足を補っていた。深層でツェーべ行きの転送魔法陣を見つけたが、非戦闘員を連れてくるのは危険なので、地道に歩く事を選択してボスを攻略、転送は利用せず地上に向かった。




