【09】 ラブホテルのお風呂
プールに入る前、
3人はまず広大な浴室に入った。
爽香「ねぇねぇ、お風呂もすごいの! ちょっと温まってからプールに行かない?」
丹沢「そうだね、せっかく来たんだから元を取らないと」
由利「賛成だ」
湯船にお湯を張ると、
底のLEDライトが妖しく光り始めた。
爽香「うわーっ! 浴槽が七色に輝いてる! オーロラみたい! インスタ映えするわ!」
由利「そんなの上げたら一発でラブホってバレるぞ」
爽香「あっ、そっか!」
丹沢「ははははは!」
爽香「浴室テレビまである!」
丹沢「これ最高だな」
由利「うちに欲しい」
爽香「きゃーっ! ジェットバスボタンがある!」
丹沢「押しちゃえ!」
由利「至れり尽くせりだな……」
爽香「専用の入浴剤を入れたら泡風呂にもなるんだって!」
由利「これはハマりそうだ」
爽香が水着のまま湯船に浸かった。
爽香「お先に! あ〜〜〜気持ちいい……!」
丹沢が隣に入り、
丹沢「あ〜〜〜最高!」
由利が逆隣に入り、
由利「極楽極楽……」
3人が並んで湯船に浸かる。
爽香「こうしていると、嫌なこと全部忘れられるわ」
丹沢「『両手に花』の逆バージョンだな」
由利「なんて言うんだろうな? 反対のことわざは聞いたことないが」
爽香「『両手に変態』じゃない?」
丹沢「失礼だな!」
爽香「ふふふふふ!」
由利「ははははは!」
丹沢がジェットバスのスイッチを入れた。
強烈な気泡が湧き立つ。
爽香「第1ターンマークの水面みたい!」
由利「さすがプロ!」
丹沢「潜ってみる?」
爽香「うん!」
爽香は湯船に顔を沈め、
5秒ほどでバハッと顔を上げた。
爽香「第1ターンマークで転覆したときと全く同じだわ……」
丹沢「どういう意味?」
爽香「何も見えないの」
由利「そういう時、どうするの?」
爽香「ひたすらハンドルを強く握りしめて耐えるの」
由利「『命綱』ならぬ『命ハンドル』か」
爽香「その通り! うまいこと言うわね」
丹沢「だから市役所に来たときも、テニスボール握って握力鍛えてたんだね」
爽香「そう。身体に叩き込まなきゃ、選手生命がかかってんだから」
丹沢「よーし、じゃあ特訓開始だ!」
丹沢はシャワーノズルを手に取ると、
水圧最大で爽香の顔面に直接放水した!
爽香「きゃっ!?」
そこへ由利が参戦、
湯桶でお湯を汲むと
爽香の顔へバシャバシャと浴びせかける!
爽香「うわっ! 二人とも反則よ!」
丹沢「ひるむなーっ!」
爽香「息が……息ができない……! あはははは!」
爽香は苦しみながらも笑い出した。
丹沢「ははははは!」
由利「ははははは!」
必死で泥臭い爽香の青春。
そして丹沢と由利にとっても、
疾に忘れていた「青春」の熱気が蘇っていた。




