【08】 ラブホテルのおもちゃ
爽香が部屋の隅に置かれた
怪しげな箱を見つけた。
爽香「あたし、こういうお店初めて来たんだけど……」
丹沢「そうか、まだ若いもんね」
爽香「ねぇねぇ、なんでアロマ用のロウソクがあるの?」
丹沢「防災用だろうね。いつ地震が来るか分からないから」
爽香「ねぇ、このピンクのスティックなぁに?」
丹沢「電動マッサージ器だよ」
爽香「なんでこんなのがあるの?」
丹沢「泳ぐと肩が凝るからじゃない?」
爽香「ねぇ、なんで手錠なんてあるの?」
丹沢「警察官のカップルが来て、おまわりさんごっこをするためだろうね」
爽香「ねぇ、なんでムチがあるの?」
丹沢「競馬の騎手が練習しに来るんじゃないか?」
由利「ボートレーサーが来るくらいだから、ジョッキーが来ても不思議じゃないな」
爽香「そうよねぇ……うん、納得! 二人とも詳しいのね!」
丹沢「まぁね」
爽香「二人の関係ってやっぱり『淫乱の友』ね」
由利「ははははは!」
丹沢「なんだ、知ってたのか!?」
爽香「誤魔化し方が見事すぎてバレバレよ」
丹沢「知ってるなら聞かないでよ!」
爽香「ふふふふ!」
奥のドアを開けると、
青いライトに照らされた
7メートルほどの本格的な室内プールが現れた。
水面が美しく揺らめいている。
爽香「わあぁぁっ! すごい! 感動!」
爽香「こんな豪華だから高かったのね。いくらだっけ?」
由利「休憩で1万7千円。とりあえずカードで払っておいた」
丹沢「これ割り勘? 誰が払うの?」
爽香「3人で割れば大したことないわね。でもあたしの特訓だから、今度賞金が入ったら全額あたしが払うわ!」
丹沢「いやいや、まだ賞金ゼロの人に出させるわけにはいかないよ。全額私が出す!」
由利「言い出しっぺの私が連れてきたんだ、今回は全額私が出すよ」
爽香「そう? 悪いわねぇ」
丹沢「そう? 助かるよ」
二人が即座に甘えた。
由利「……言うんじゃなかった。完全にハメられた」
爽香「ねぇ二人にお願いがあるんだけど」
丹沢「なに?」
爽香「あたしがここに来たこと、絶対に秘密にしてね」
丹沢「どうして?」
爽香「あたしの所属する日本モーターボート選手会って風紀にすごく厳格なの。健全なスポーツの発展を謳っているから、スキャンダルは一発アウトなのよ」
丹沢「そりゃそうだ。人の目と口は怖いからね」
由利「丹沢さんは口が軽いようで大丈夫だよ。丹沢さんに話すのは壁に向かって喋るようなものだから。人間と違って誰にも言わない」
爽香「すごい例え! 丹沢さんは壁なのね」
丹沢「由利さんこそ口が堅いよ」
爽香「えっ? 丹沢さん、由利さんの唇に触れたことがあるの?」
丹沢「うん、この前キスした」
爽香「えっ!? 二人ってそういう関係!?」
由利「なわけあるか!!」




