【07】 由利さんは、過去に誰と来たの?
4階に着き、
3人は鍵を開けて408号室に入った。
しかし尋問は終わらない。
由利「恋人なんていない」
爽香「じゃあ、元カノと?」
爽香「爽香さんは芸能リポーターか何かか?」
爽香「丹沢さんが越後屋で、あたしが芸能リポーターね!」
丹沢「ははははは!」
爽香「だって気になるじゃない! ねぇ丹沢さん?」
丹沢「うん。でも由利さんに恋人がいないのは確かだよ。聞いたことないもん」
爽香「じゃあプロの人と!? デリヘル!?」
丹沢「デリバリーヘルスってやつだな!」
由利「勝手に決めつけるな!」
爽香「ねぇ二人とも、今日絶対あたしに変なことしないでね! あたしはデリヘル嬢じゃないんだから!」
丹沢「誰がするか! 真剣なトレーニングをしに来たんだよ!」
由利「そうだ! 最下位脱出のための特訓だ!」
爽香「ホントかなぁ? だってデリヘル呼ぶような人がいるんだよ?」
由利「だから勝手に決めるなと言ってるだろ!」
爽香「なら正直に言いなさいよ! 誰と来たの!?」
由利「言えない深い訳があるんだ」
丹沢「相手とそんなに揉めたの?」
爽香「料金を値切ったの?」
丹沢「持ち合わせが無かったとか?」
爽香「無理矢理連れ込んだの!?」
由利「だから勝手に決めるな!!」
爽香「ふふふ、ムキになっちゃって」
由利「さっき『心から感謝する』って言ったのは誰だ? 逆にいじめられてる気がするぞ」
爽香「感謝とこれは別! あたしにも知る権利くらいあるでしょ?」
由利「……じゃあ一言だけ言う。だが、それ以上は絶対に追求しないでくれ」
爽香「いいわ、もう何も聞かない。言いたくないことを無理に聞くのも悪いし」
丹沢「そうだな。秘密を聞かされて、それを隠し通すのも苦しいしね」
爽香「そうそう、あたし口軽いからすぐ喋っちゃうし」
丹沢「私も隠し事はできないタイプだから」
由利「いや、聞いてくれ! たった一言だから聞いてくれ!」
爽香「聞かない」
丹沢「うん、聞かない」
由利「頼むから聞いてくれ!!」
爽香「……まぁ、どうしてもと言いたいなら?」
丹沢「聞いてあげてもいいけれど?」
由利「じゃあ話すから……二人とも耳を貸してくれ」
爽香「ここ、あたしたちしかいないのに?」
由利「盗聴器があるかもしれないだろ」
丹沢「大袈裟だなあ」
爽香と丹沢が由利に耳を近づけた。
由利「……『家屋調査』」
由利がボソッと呟いた。
丹沢「なーんだ! 以前、税務課の固定資産税担当だったとき、家屋調査でここに来たってことね!」
由利「声が大きい!」
丹沢「そう言わなきゃ爽香さんに伝わらないでしょ!」
由利「あ、そっか」
爽香「なぁんだ……つまんない。聞くんじゃなかった」
丹沢「まったく、つまらない。聞かなきゃよかった」
由利「これ以上は言えないからな。職務上知り得た秘密は死ぬまで守秘義務がある」
爽香「これ以上誰も聞かないわよ、面白くないもん」
丹沢「同感」
由利「……助かった」




