【02】 丹沢と由利は『淫乱の友』?
数日後、悩んだあげく爽香は、
美浦市役所に電話をかけた。
そこで、丹沢純也・30歳に繋いでもらった。
丹沢は爽香が転入届を出した時に
受付した職員で、これをきっかけに
二人は親しくなった。
爽香にとって丹沢は美浦市で
唯一の知り合いだ。
爽香「ボートレースのことで、ちょっと相談があるんだけど……乗ってくれないかな?」
丹沢「もちろん! いつでもいいよ。ただ、私自身はボートレースに詳しくないから、詳しい友人を誘っていくね」
丹沢は知識不足を補うため、
同期の由利源吾30歳を誘って
爽香のアパートを訪れた。
◇
由利が挨拶をすると、
爽香は素朴な疑問を口にした。
爽香「由利さんと丹沢さんって、どんなご関係なんですか?」
由利「丹沢さんと私は、市役所に入庁した同期で『きんらんのとも(金蘭の友)』なんですよ」
爽香「『インラン(淫乱)の友』……?」
由利「いえ、『きんらん(金蘭)の友』です」
爽香「?? よくわかんない……」
丹沢「私にもよく分からん。『淫乱の友』のほうが、しっくりくるけれど」
由利「『金蘭の友』とは、『互いに深く理解し合い、固く信じ合っている親友』のことです」
爽香「へぇ〜! 由利さんって、難しい言葉知ってるのね」
丹沢「由利さんは教養があるんだね。いつから?」
由利「今日よう(・・)(教養)!」
爽香「あはははは! バカねぇ!」
丹沢「ウケたウケた!」
爽香「……でね、相談っていうのは他でもないの。お二人も知っての通り、あたし何度走っても最下位ばかりで。何がいけないのか、どうしたら勝てるのか、どんな練習をすればいいのか……どんなことでも良いから意見を聞かせてほしいの」
丹沢「そうだったんだ……。何も知らなくてごめんね。私はボートレースに関してはまったくの素人だから役に立つアドバイスは言えないけれど、由利さんなら何か気づくことがあるんじゃないかな?」
由利「そうだな……。レースを見ていて思うのは、第1ターンマークまでトップで来ているのに、旋回が終わると5着か6着まで下がっている。せっかくの直線スピードがすごく勿体ない気がするな」
爽香「そうなの! あたしもそう思う!」
由利「ターンの練習はしてる?」
爽香「いっぱいしてるわ」
由利「全速ターンは?」
(※『全速ターン』とは、
旋回時にスピードを落とさず、
一番外側を全速力で回る技術である)
爽香「相当練習したから、できていると思う」




