【12】 布団の代わりにカーテン
バスタオルを手にした二人は
部屋の照明を消した。
暗闇の中、急いで爽香の水着を脱がせ、
素早く身体をバスタオルで拭き上げた。
由利「これ、完全に介護だな……」
丹沢「うん、介護以外の何物でもないよ」
由利「よし、布団をかけるぞ」
隙間風が入らないよう、
布団の端を爽香の体の下にしっかり押し込んだ。
爽香は何も気づかず、
気持ちよさそうに爆爆睡している。
丹沢「……寝顔見るとホッとするね」
由利「ああ、良かった……」
丹沢「さて……ベッドを彼女に譲ったわけだが、どこで寝る?」
由利「床だな」
丹沢「ソファは?」
由利「寝返り打ったら落ちる」
丹沢「じゃあ床だね。掛け布団は?」
由利「ないな。我慢するしかない」
丹沢「風邪ひいちゃうよ」
丹沢が暗闇の中で部屋を見回した。
丹沢「ねぇ、あれ外せないかな?」
窓の大きな遮光カーテンを指差す。
由利「やってみよう」
二人は協力してカーテンを取り外した。
丹沢「両開きで良かった〜。二人分ある」
由利「これを巻きつけて寝よう」
体に分厚いカーテンをぐるぐる巻きにし、
二人は床に横たわった。
暗闇の中、
爽香の静かな寝息だけが響いている。
由利(『暗闇』という漢字は、両方に『音』という字が入っているが……本当だな。今は音しか聴こえない。だから暗闇か……)
そんな哲学的なことを考えているうちに、
由利も深い眠りに落ちていった。




