【11】 水着を脱がせて、体を
プールに浮かんだ爽香を、
由利と丹沢が丸太のようにグルグルと回転させる。
6秒ほど回して、
そのまま水中へ押し沈める。
この過酷な練習を何度も繰り返した、
その時だった。
爽香の限界を超えた。
二人が手を離しても、
爽香は両腕をダラリと水中へ垂らしたまま、
うつ伏せで水面にぷかぷかと浮かび上がり、
ピクリとも動かなくなった。
丹沢「……ねぇ、変だよ?」
由利「ん?」
丹沢「死んでるーーーっ!?」
由利「まさか! 引き揚げるぞ!」
二人は慌てて爽香をプールサイドへ引き揚げた。
由利が即座に胸骨圧迫を開始する。
30回圧迫したところで、
丹沢が爽香の気道を確保し、
口を重ねて2回人工呼吸を行った。
再び胸骨圧迫に入ろうとした瞬間、
爽香が「ウッ……」と息を吹き返した。
由利「大丈夫か!?」
爽香「あ……れ……?」
丹沢が爽香の頬をぺちぺちと叩く。
丹沢「爽香さん! 分かる!?」
爽香「う、うーん……」
重い唸り声を上げると、
爽香は再びパタリと目を閉じてしまった。
丹沢「きゃーっ! また気を失った!?」
丹沢が頬を揺さぶると、
爽香「……スーッ……スーッ……」
規則正しい寝息が聞こえてきた。
丹沢「……寝てる?」
由利「そのようだな」
丹沢「特訓で限界だったんだね……」
由利「昨日もろくに眠れていなかったんじゃないか?」
丹沢「悔しくて眠れなかったんだろうね……そっと寝かせてあげるのが一番だね」
由利「ああ。だが、濡れた水着のままベッドに寝かせるわけにはいかない」
丹沢「確実に風邪ひくね」
由利「水着を脱がせて、身体を拭かないと」
丹沢「……それしか選択肢がないね」
由利「かなり気まずいぞ」
丹沢「爽香さんの裸を見ることになるからね……」
由利「倫理的にアウトだろ」
丹沢「後で警察沙汰にされたら溜まったもんじゃないよ」
由利「だが、このままだと体が冷え切ってしまう!」
由利「よし! 部屋の電気を消そう。浴室のドアを少しだけ開けて間接照明にする。極力見ないように素早くやるぞ!」
丹沢「了解!」




