第84話:SSランクの魔術
「で、楽しんできたと」
そう相成るか。一番テンション高かったのはハミルトニアンだったが。次元壁フリーで異世界に戻った俺は、そのワープの着地点をヘルメス聖国の王城にしていた。執務室で仕事に忙殺されているグラディオに気分転換の四方山話に付き合っていたのだが。元世界でカレンとクレナイとレディファイトしたことは、グラディオの嫉妬を呼んだ。
「というわけでちょっと出し尽くしたというかエンプティというか」
今夜は勘弁してくれ、と遠回しに言ったのだが。
「ほい」
グラディオがポーションを差し出した。というか投げ渡した。
「怪我して無いぞ」
「滋養強壮の効果もあるから」
すっぽんやマムシでもあるまいし。だが確かに、ポーションが肉体の調子を整えるなら、今夜までにコンディションが戻るのも自明の理ではあるのだろう。仕方ないのでポーションは飲んだが、なんかスポーツドリンクと栄養剤の中間の様な味なんだよな。不味いわけじゃ無いけど、形容が難しいと言うか。
「アニキ! 帰ってきたっすか!?」
「帰ってきたぞ」
グラディオの執務室に入るには門の外の警備兵の許可が必要なのだが、俺やスレイブは顔パスだ。俺はまぁ救国の英雄だし、スレイブは魔族の王。この世で唯一のSSランクの魔術師。
「スレイブもしたいですよね?」
「アニキとレディファイト? 超したいっす!」
言われて俺はスレイブを見る。スットントンの身体に身長も低い。言ってしまえばロリ。それも見た目はローティーンどころではない。
「大丈夫か?」
「大丈夫ですよ。魔王タイインスレイブと言えば三千年以上生きている魔族の王ですから」
つまりロリババアか。いやしかしそのスットントンの胸は犯罪性があまりに高く。
「拙の胸で挟んであげるっす」
挟めるほどないだろ。というのは野暮なのかもしれないが。とりあえずポーションを飲んでエンプティから回復し、むしろ性欲が充溢しているのだが。あっちの方もギンギンにギンギラギンで。さりげなくはないのだが。
「あらあら。今夜はスレイブも参加するのね」
「うっす。拙も胸でアニキに御奉仕するっす」
出来るならやってみろ。と思っていると。
「コール。バーストバスト」
何やら聞いたことのない魔術の宣言を聞くと、その魔術の術式が励起されたのだろう。術式に沿ってSSランク魔力の魔王タイインスレイブの力によってバーストバストが展開。どう言う魔術かというと。
「うわお」
バストがバーストしていた。唐突にスレイブの胸が膨れ上がり、巨乳……どころではない。ジュリエットと同じレベルの爆乳にまで大きくなってしまった。
「これで文句ないっすよね。アニキ♡」
元々文句はないんだが。ロリでババアで魔王で爆乳で無毛? 色んなものが過積載されすぎるだろう。
「胸を大きくする魔術……か?」
グラディオが聞く。
「うっす。SSランク魔術……つまり神域魔術バーストバスト。一夜だけ爆乳になる魔術っす」
SSランクなの?
「そりゃおっぱいを大きくするんですから神域魔術に決まってるっす」
決まってるんだ。それもどうよとは思うが。たしかに異世界を作るアヴァロケーションと同じかそれ以上の価値がある爆乳になる魔術ともなれば、それはSSランクかもしれないと納得している俺もいて。
「ア・ニ・キ♡ 挟まれたくないっすか?」
「じゃあ三人で挟んでくれ」
「あらあら。じゃあ失礼しまして」
「レイト様。お相手仕ります」
そうして爆乳と巨乳の圧力によって色々と撃沈。だがそれでもブリリアントカッターによって魔改造された俺のアレはまだまだ継戦能力を保有しており、三人とレディファイトしても互角に戦える程度には糸色倫だった。
「っていうか。スレイブは初めてだったんだな」
「その……知識としては知っていたんすけど。魔王として威厳があったのでお相手する魔族がいなかったというか」
まぁそりゃ王様に「してください」とお願いする不敬者もいないわけで。許諾されれば話は違ったのだろうが、不興を買ったらSランク魔術エクスカリバーが放たれる。
「じゃあ寝るか」
三人とレディファイトしたあと。心地よい倦怠感を覚えて、俺は乱れたベッドに横になった。左右にジュリエットとグラディオ。そして俺に覆いかぶさるように身長が低くて軽いスレイブが乗ってきた。バーストバストは一晩続くらしいので、俺の胸板に押し付けられている爆乳は……まぁ俺が何を思わないはずもなく。
「アニキ♡」
その爆乳を押し付けてきて、キスしてくるスレイブ。
「明日は奴隷契約をしに行こうっす」
「本当に俺の奴隷になるのか?」
「魔王タイインスレイブがアニキの奴隷っす。光栄っすよね?」
「他の魔族に殺されないか?」
「魔族を支配する魔王を……アニキが支配してほしいっす♡」
「ソレを言うなら私もだ。ヘルメス聖国を支配する私をレイト様に支配してほしい♡」
「あらあら。まぁ私はもうレイト様には逆らえませんが♡」
「あとはジュリアンか」
「男のフリをしているから言い難いのでしょうね」
「俺は気にしないんだがなー」
「男だったとしても……ですか?」
そこまで強者じゃないが。強者なんていない。俺もお前も弱者なんだ。
「スレイブのバーストバストって他人にもかけられるのか?」
「可能っすよ? 以前の拙なら一回で一人だけでしたっすけど、次元壁フリーっすか? アニキの世界とこっちを行き来することでアンノウンスキルを獲得したんで。魔術の拡張性と応用性が格段に向上したっす」
あ、そっか。世界を跨いだのだから、スレイブもスキルを……。
「どういうスキルだ?」
「パーフェクトエフェクト。あらゆる自発的行動に完全性を付与するスキルっす」
またアンノウンスキルかー。こうなると矢佐間ユウシが得たヒーロースキル千剣適合が可哀想になってくるレベル。所詮ノーマルスキルの上位のヒーロースキルだからな。その上にレジェンドスキルがあって、さらにその上にアンノウンスキルがある。
「今なら魔術の宣言だけで大陸焼き払えそうっす」
「やるなよ」
「分かってるっす。とにかくまずは四公の封印を解除しないといけないっすし」
そこは俺も手伝うが。俺だってエルフやドラゴンを見たいのだ。封印されているとかふざけるなって話である。
「とすると自然と八卿至帝とも敵対するのか」
「っすね」
簡単に言ってくれる。カウントダウンシンドロームは全員が備えていると見るべきだろう。とすると真空崩壊で世界法則そのものを崩壊させるか。あるいはマテリアルアブソーバーでダンジョン封印刑に処すか。どっちかを選ばないといけない。九種類の殺し方も無いわけじゃ無いのだが。
「えへへー。大好きっすよ♡ アニキ♡」
そうして爆乳を潰すように押し付けて笑うスレイブは朝になると貧乳に戻っていた。




