第83話:闖入者
「レイト様! 戻っていらっしゃるって本当ですか!?」
「本当だが……」
カレンとのデート中。カフェでお茶をしているとスマホが震え、そうして通話すると開口一番にクレナイが焦った声で聴いてきた。
「ちょっと待ってください! GPSで特定するので」
つまり俺に会いたいと。
「当たり前じゃないですか!」
当たり前なのか。そうしてカフェでグダグダと水星と相対性理論の関係について話しているとクレナイが現れた。
「お待たせしました。レイト様」
いや、そもそも待ってはいないからソレはいいのだが。
「クレナイさん。ちょっとぉ。今日は私がお兄さんとデートなんですけど」
「わたくしはレイト様に身も心も捧げました。レイト様が日本に帰ってきたのなら尽くす義務がありますわ」
「いれるの? お兄さん?」
「まぁ三人でデートするくらいならそこまで抵抗も感じない男心」
ジュリエットやグラディオとは普通にイチャイチャしているしな。
「では夕餉はホテルのレストランで取りましょう。最高級のコース料理を堪能してもらいますわ♡」
ルン、と嬉しそうにクレナイはそう言った。
「それって私も含まれる?」
「もちろん。カレンさんもレイト様の女ですもの。わたくしは歓迎しますわよ?」
百八財閥の御令嬢は懐が広いらしい。ニコニコと笑顔でクレナイはカレンを肯定した。そうして三人でお茶をして、それからモールを歩く。俺は両手に花で、カレンとクレナイが両腕に抱き着いてきており、そのままイチャイチャしてモールを回っている。もちろん人目は引くのでなんだかなぁという話ではあるのだが。
「ちょいちょい~。お兄さんモテるね~」
モールでカレンとクレナイとデート。面白く思わない人間もまぁいないわけではなく。
「募金のご協力を願いまーす。財布出してー」
鍛え抜かれた身体でニヤニヤと笑っている。カツアゲ……というより俺から金を巻き上げることでカレンとクレナイに俺を情けない男と認識させたいのだろう。
「生憎と金は持っていなくてな」
全部クレナイが出してくれるのでアイテムボックスから出す必要もないし。
「あれー? 世界の貧困層のためにも募金は必須ですよー? 社会に違反する気かなー?」
「ぷっ」
カレンが笑った。クスクスとクレナイも笑う。
「あ、何笑ってんの?」
明らかに機嫌を崩しているチンピラ。
「いえね。やってることが三流過ぎて……」
「今時カツアゲする男って。ダサいにもほどがありますわ」
言われた瞬間、カレンとクレナイの胸ぐらを掴もうとチンピラが手を伸ばした。その手……の手首を俺が掴んで、握力で握りつぶす。
「レディに手を出すな」
両腕はちょっと前に開けておいた。チンピラに対応するためにカレンとクレナイも俺の腕から離れたのだ。
「テメッ! これくらいで勝ったと……ッ」
「思ってないから安心しろ。ただ二人に触れるな。こいつらは俺の女だ」
ギリギリメシメシと相手の手首を掴んで捻る。手首の骨程度は折れても生活にあまり支障はないだろう。正当防衛でもあるし、そもそもカツアゲをしてきたコイツが警察に訴える理由がない。
「わかったか? わからなかったか? それとも整形外科にお世話になるか」
さらに手首をありえない方向に曲げようとすると。
「わかった! 俺が悪かった! 見逃してくれ!」
言われて手首を離す。しかしグラディオのブリリアントカッターは流石だな。脂肪をそぎ落として、ソレを全て筋肉に変えている。おかげで力比べなら大抵の人間には負けない。まぁそうじゃなくてもスキルがあるんだけど。去っていくチンピラに、満足したカレンとクレナイがまたしても腕に抱き着いてきた。どっちも美少女で体付きも恵まれているので彼女連れの男ですら二人を見て鼻の下を伸ばし、隣を歩く彼女を不機嫌にさせてしまうほどだ。
「かっこよかったよ。お兄さん♡」
「さすがですわ♡ レイト様♡」
言うほどのことをしているだろうか。そうしてモールでショッピングをした後、ちょうど腹が減ったということで予約したホテルの最上階で食事をすることに。ドレスコードがあるはずなのだが、そんなもの関係ないとばかりにクレナイは個室を取った。前菜。スープ。サブにメイン。美味しいの連続で、驚きの一時だった。そりゃ高級ホテルの最上階レストランだ。下手なモノが出てくるはずもないが……それにしてもこうまで美味しいと魔法か何かと疑ってしまう。
「ふい」
最後にデザートのフルーツを食べて、満足すると、ニコッとクレナイが微笑んだ。
「レイト様。また明日から海外ですか?」
海外というか世界外というか。
「まぁそうなるな」
「では今夜だけはお付き合いください♡」
付き合うって……何に?
「このホテルで一部屋とっておりますわ♡」
ああ、そういう。
「ちょ。クレナイさん……ズルくない?」
「もちろんカレンさんもご一緒ですわ。二人でレイト様を楽しませましょう♡」
「え。いいの?」
「カレンさんはおっぱいも大きいですし。オスを刺激するかなと。それに下にエッチな下着を着ているでしょう?」
「…………なんでバレてる?」
「わたくしも着ていますから」
えーと、つまり最初からそれが目的だったと?
『やっほーい! カレンとクレナイとセクロスー! 気持ちいいんだろうなぁ!』
俺の脳内のハミルトニアンが大騒ぎしていた。そうして取った部屋に入室すると、スルリと衣擦れの音がした。何をしているかって。ラになっているんだよ。カレンとクレナイがな。カレンはもとよりグラビアアイドルだ。ボインも大きいし腰つきも細い。しかも今は超エロい下着を着ている。ソレを見るだけで男が理性を無くしそうな。というか俺の理性も破壊された。クレナイは胸の大きさではカレンに劣るが、それでも立派なモノをお持ちで、腰のくびれはカレン以上。なにより肌超人で髪がシルクのようにサラサラ。そんな彼女がエッチな下着を着ていれば、やっぱり男の理性は破壊され。
「お兄さん♡」
「レイト様♡」
二人がセクシーポーズで俺を誘い。情熱吹っ切れた俺はレディとレディファイトしてしまった。一回や二回で収まるはずもなく。貪るようにカレンとクレナイを味わう。二人ともまた抱き心地が違って、どちらともを味比べすると女体の不思議に触れてしまう。まぁソレは言ってしまえばジュリエットとグラディオの身体の違いでも認識した不思議ではあるのだが。
「あ♡ あ♡ お兄さん♡」
「レイト様の♡ とても逞しいですわ♡」
一泊で何万取られるのか。夜景の見える豪奢な高級ホテルのスイートルームで、グラビアアイドルと財閥令嬢を同時に抱くという暴挙を、俺は朝まで楽しんだ。
「はぁ♡ さすがに腰砕けですわ」
「私も。お兄さんって糸色倫なんだね」
「ちょっと理由があってな」
グラディオのブリリアントカッターについて言うわけにもいかないし。脂肪を切り捨てて細マッチョのイケメン絶倫ベッドヤクザってどういう出世?
「レイト様に抱かれて幸せでしたわ♡」
「私はもうお兄さんの女だから♡ ……ね♡」




