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デブで無能と蔑まれた俺はアンノウンスキル【バリアフリー】で全てを手に入れる ~俺を蔑み虐げた王族と勇者は地獄を見るようです~  作者: 揚羽常時


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第65話:楽しかったですか?


「楽しかったですか?」


 ジュリエットがジト目で俺を見つめていた。


「楽しかったぞ。懐石料理も美味しかったし」


 ホテルで食事を取り、安穏と俺たちは過ごしていた。


「アニキぃ。ダンジョン攻略いかないっすか?」


「今日はお休み」


 そんなわけでエイテル庭国の王都を散策する。金に上限はない。ジュリアンとジュリエットとスレイブと一緒に王都を見て回っていた。


「うーん。紅茶が美味しい」


 そんなわけで喫茶店でまったりする俺たちだった。


「アニキたちって何でそんなに強いんすか?」


「努力の結果」


 妄言も大概にしろよと言われそうだが。


「そういうスレイブも魔族なんだから魔術は使えるんだろ?」


「まぁEランクならっすけど」


 苦い顔になったのは実力の不足を自覚しているためか。紅茶の渋み故、ではないだろう。


「じゃあ魔族としては弱い?」


「今のところは……と注釈は付くっす」


 どう思う? ハミルトニアン。


『え、エッチなことですか?』


 いや、スレイブについて。


『面白い事になると思うなぁ』


 面白い事?


『それは秘密だよー』


 意地悪め。


『決して損はさせないからさ』


 ハミルトニアンがそう言うなら信じざるを得ないんだが。


「さて、じゃあ、適当にブラブラするか」


 紅茶を飲み終えて、ジュリアンたちと王都の散策に戻る。市場では果実や干し肉などを売っていた。こういうのも異世界ファンタジーの醍醐味だろう。


「うーん。美味い」


 俺はハムを買って口に入れていた。大体銅貨二枚で削ったハムを譲ってくれる。そうして市場を冷やかしていると。


「やぁ。レイト」


 Sランク冒険者のウォール氏が俺たちとばったり出会った。


「うげ」


「そんな嫌な顔をしなくていいじゃないか。もう君に決闘を挑んだりしないからさ」


「ならいいんだが」


「それより君は相変わらずスレイブを連れているんだね」


「ダークブルク夜城ダンジョンに潜りたいらしいからな」


「なんでもダークブルク夜城ダンジョンの最深部には魔王がいるらしい。殺されてもいいと仰る?」


「ねじ伏せるだけだ」


「凄い自信だね」


 その程度は把握している。


「なんでも過去にSランク冒険者が挑んで帰ってこなかった……とか」


「それだけ強いって事なんだろうな」


「まさに。ダンジョンマスターに相応しい強さだと思うよ。それでも挑む?」


「臆することはないかな」


 これは本当じゃなかった。実際のところダークブルク夜城ダンジョンのダンジョンマスターがどれほどの強さを持っているか。それは冒険者ギルドも把握していないのだ。


「…………ボソボソ(拙が知っているっす)」


 スレイブが俺に耳打ちした。


「足手まといを連れて、それでもダークブルク夜城ダンジョンに挑むのかい?」


 他にすることもないしなぁ。俺はハムを食べながらそんなことを思った。


「なんなら飯でも食わないかい? 奢るよ?」


 ウォール氏がそう提案してきた。


 ハミルトニアン?


『純粋な好意からだよー』


 なら問題ないか。


「じゃあゴチってことで」


 ちなみにウォール氏って稼いでいるのか?


「まぁ別のダンジョンでは今八十階層にいるかな」


 そりゃガッポガッポだな。まぁ一晩で白金貨三千枚稼いだジュリアンには勝てないだろう。


「じゃあ飯屋に行くか。オススメとかあるか?」


「ちょっと歴史ある定食屋の唐揚げ定食がボクの好物でね」


 唐揚げか。アリだな。


「じゃあそこにしよう」


「レイト様。唐揚げ食えるのか?」


「あらあら」


「うっす。拙も鶏肉は好きっす」


 じゃあウォール氏に奢ってもらおう。


「そっちのパーティーメンバーは?」


「そこら辺ブラブラしてるんじゃないかな? 別にいつも一緒にいるわけじゃないよ。君たちはいつも一緒にいそうだけど」


「ま、仲がいいと思ってくれ」


「俺はレイト様のためなら何でもするぜ」


「殺人も?」


「それは……ちょっと……」


 いきなり論破されるな。


「別にそんなこと望まないから安心しろ」


 というわけで定食屋に。お爺さんとお婆さんが経営している簡素な店の内部だった。


「唐揚げ定食。五つね」


「いつもはいいものを食べているんだろ?」


「そりゃ金はあるし。でも値段と味が正比例するというわけでもないんじゃない?」


 ソレは確かに。


「値段を気にしなければ高級料理って青天井だけど、ここの唐揚げ定食の百倍の値段のレストランの食事が百倍美味しいわけじゃないしね」


 それも確かに。


「じゃあ今度は俺がウォール氏に奢るから」


「楽しみにしているよ」


 ニコッと微笑んで、彼はご馳走してくれた。


「おお、美味ッ」


 さすがエイテル庭国を活動場所にしている冒険者。美味しい定食を見つけるのもシステム外スキルってことだろう。スキルと呼んでいいのかはよくわからんのだが。


「スレイブもレイトに甘えてばっかりじゃなダメだからね?」


「でも拙戦えませんし……」


「いいんだよ。スレイブはそのままで」


「レイト。そういうのはどうなんだい?」


「俺が潜りたくてやってるだけだ」


「スレイブに誑かされたり?」


「次言ったら、塵も残さず消すぞ」


「君の言っていることも優しくて好きだけど人情だけで命をかけるのはどうかと思う」


「そんなくだらないことで命を懸けるか」


 スレイブの意志が那辺に有ろうと、俺は魔王というものを見てみたい。それでスレイブが何を思って魔王を欲するのかも。その上で最悪の事態になったら、その時はその時。


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