第63話:くっころ
『あ♡ あ♡ あ♡ お兄ちゃん。気持ちいい♡』
まぁハミルトニアンが気持ちいいというのはわかる。実際に俺も気持ちいいし。最高級ホテルの一室。白金貨二枚が三千枚に化けて、興奮しているジュリアンと別れて部屋に戻ると、「まだまだ夜は長いですよ♡」とジュリエットが現れた。バラの香りを纏っているのはバラの風呂に入ったからだろう。香りのする風呂はこのホテルのウリだし、そこに使えばいい匂いがして、男女の営みが捗る。
「レイト様の♡ たくましい♡」
『お兄ちゃん……すっごく興奮してる♡』
ジュリエットの身体は魅力的で、俺と俺と感覚を共有しているハミルトニアンには麻薬のように溺れてしまう。そのまま果てて、これでジュリエットが出来てしまったら責任を取る必要があるが、ライカンスロープと純霊種では子供は出来ないらしい。
「ふぅ」
写生(誤字にあらず)して一息つくと。
『お兄ちゃん。コンキスタドームを展開して?』
ハミルトニアンが珍しく俺に危機感をあおる。まぁいいがな。そうしてコンキスタドームを展開すると、だいたいホテル全体をフォローできた。
『やっぱり』
「んーと」
『賊だよ』
ハミルトニアンの言う通り、賊がホテルに入って来ていた。不自然に透明化しているのは、しかししっかりとコンキスタドームの知覚で把握できてしまう。ハミルトニアン曰くノーマルスキルであるインビジブルというらしい。まぁ言ってしまえば透明になれるわけだな。
「レイト様。ルームサービスをお持ちしましたが」
「ああ、入ってくれ」
そうして頼んでもいないルームサービスを持ってきたホテルマンが酒を提供して、扉を開けると、その扉の隙間からスルリと足音も立てずにインビジブルの女の子が入ってきた。そのままハミルトニアンの警告が無ければ気付かなかっただろうが、俺に関することだけはしっかりと全知を発揮するんだよなぁ。ハミルトニアンって。
「さて」
酒を受け取って扉を閉める。そのままジュリエットに酒を渡すと、美味しそうに彼女は飲酒を始めた。
「レイト様はお飲みになられないのですね」
「俺の世界では二十歳からだから」
異世界で適応されるかは、この際議論しない。
「で」
転がっている女の子をチョンチョンとつつく。相手は透明だし、拘束も透明なので、視覚に頼る限りではそこに何もないように見える。
「何をしていらっしゃいますの? レイト様……」
「賊が侵入したのでな。拘束した次第」
正確にはバリアフリーを使っているのはハミルトニアンだが。俺が鎖に繋がれたのを拘束フリーで解放されたように、そのミラークールエフェクトで拘束リブルを行使。賊を逮捕したのだ。転がっている女の子に俺は言う。
「どうせ捕まってんだからインビジブルも解け」
抵抗しても意味ないだろうという忠告に、しぶしぶの表情で女の子はインビジブルを解いた。
「あらあら」
酒を飲みながら侵入してきた賊に朗らかにジュリエットは笑う。コイツもコイツで大物だ。そうして拘束した女の子をベッドに運んで、ジュリエットが抱きしめる。
「何しに来たの?」
尋問と言うより、事情を聴きたいだけだろう。ジュリエットが女の子に尋ねる。羊の角が生えている魔族の女の子は、黙秘を貫く。
「殺すなら殺せ」
「あら、そんなことしないわよぉ。勿体ない」
「話すことなんてない……」
勝気というか強気というか。ただ彼女の首に付けられている首輪に目が言った。
「隷属の首輪を付けられているのね。主人の命令に従って、仮に捕まっても自供できないように条件付けをされているのかな?」
「仮にそうじゃなくても話すことなんてない……ッッッ」
強がっちゃって、まぁ。
「レイト様。隷属の首輪を外してもらえませんか?」
「構わんが」
拘束フリーを使えば難しい話じゃない。しかもハミルトニアンの推理大説もあるので鏡面効果と並列して使うのもすっごい簡単。隷属の首輪は外れて、そうして誰の命令も受け付けなくてよくなったが、それでも魔族の女の子は頑なに何も喋らない。その女の子の服をビリビリに破り裂いて全ラにすると、彼女は乙女にとって屈辱的なポーズを取らせる。ほら、身体の一部がM字になるアレ。
「こ、こんな辱めを受けても口を割ったりなんか」
「あらあら。そう」
そうしてジュリエットはM字になっている女の子に触れて侵食触診を適応させる。
「今からあなたの覚悟を少しずつ性欲に変えていくわ。どこで喋りたくなるか見物ね?」
侵食触診ってそう言うこともできるのか。そうしてM字に拘束したまま、彼女に触れ続けているジュリエット。そのジュリエットに触れられている魔族の女の子の息が荒くなっていき、汗や何やらでビチョビチョになっていく。
「話す気になったかしら?」
「くっ……殺せ……ッ!」
「あらあら。強情ね。レイト様。ラになってくれませんか?」
見苦しくないか? と言いつつ、衣擦れの音をさせる。その俺の一点を見て、血走った目で余裕が吹き飛ぶ女の子。
「レイト様のアレ……逞しいでしょう? 貫かれたいって思わない?」
覚悟の総量の七割が性欲に変質している今の彼女にとって、その言葉は麻薬だ。
「とっても凄いのよ? レイト様のアレ♡」
「はぁ……はぁ……はぁ……」
もう女の子の頭の中はピンク色だろう。血走った目で俺のアレを見て、涎を垂らして発汗する。余裕など欠片も残っておらず。ある意味で拷問よりもつらい状況にあると推測する。
「隷属の首輪はもう無いのよ? 安心して喋りなさい。誰の命令で何をしにここに来たの? 教えてくれたらレイト様に抱かせてあげるから……♡」
「ほ、本当か。私にレイトのアレを恵んでくれるのか……? でも私は初めてで……」
「羨ましいわ。最初の相手がレイト様なんて。嫉妬しちゃいそう。それで?」
「カジノの支配人のジャイルが私を奴隷にして、インビジブルのスキルを利用しているんだ。カジノでボロ勝ちしたプレイヤーから私は稼いだ金を盗むように今まで命令されてきた。その金は国庫には戻らずすべてジャイル様の脱税用の倉庫に放り込まれている。今回はお前たちは勝ち過ぎた。だから私に、その稼いだ金を丸ごと盗むように命令してきたんだ……」
「なるほどね」
ハミルトニアンは知っていたんだろ?
『まぁ知ってはいたけど。些事すぎてどうにもこうにも』
原っぱで歩くときに草を踏んで可哀想とか思う人間がいないように、ハミルトニアンにとってはどうでもいい事は知っていても果てしなくどうでもいい。
「喋った……喋ったから……レイトの……ソレを……」
「あらあら。あっちの方も準備万端ね。夜は長いわ♡ あなたに男を教えてあげる。そう言えば名前は?」
「メンテナースだ……」
「じゃあレイト様。メンテナースを分からせてあげてください。メスの喜びを……たっぷりとね?」
まぁやるのはやぶさかじゃないんだが。イケメン細マッチョになってから絶倫なんだよなぁ……俺。ジュリエットもグラディオもよくよく付き合ってはくれるんだが。




