第6話:勇者の役目【矢佐間ユウシ視点】
「ダンジョン攻略?」
レイトが地下牢から失踪してこっち。どうあっても探し出せ、と命令を下し、だが見つからないところで。俺様は王様から直々に呼ばれて、勇者の務めを果たしてほしいと言われていた。
「魔王を倒すことか?」
と言われて、イエスと答えられたのは事実だが、魔界に攻め入って魔族を鏖殺しろとかそういう無茶な話ではなく。ダンジョンを攻略しろと言う話だった。
「ダンジョンって……ダンジョンだよな?」
他の意味を俺様は知らない。けれどダンジョンがあるのか。それはちょっとロマンがあるな。
「魔王はそのダンジョンに封印されているのです。是非とも勇者様にはダンジョンの最深部まで潜って魔王の討伐をお願いしたく」
「いいぜ」
だから俺様は容易くOKした。斬鉄剣アイアンカッターを手にした俺様に敵はいない。で、あればダンジョンのモンスターなんて恐れるに足りないだろう。
「それで、そのダンジョンってのは?」
「ダンジョンの入り口を管理しているのは冒険者ギルドです。しかし勇者様には優先的に入れるようにこちらから手配しておきます」
「当然だな」
ダンジョンに魔王が封印されている。だから英雄である俺様を呼んで、ダンジョンを攻略してもらおうって魂胆なわけだ。計算高いというかなんというか。そうして謁見の間を辞すると。
「勇者様♡」
ルシアが俺様を追いかけてきた。ルシア・フェイクリスト。さっきの王様の娘。つまり王女殿下だ。
「ルシアか。どうした?」
「もう。わかっていらっしゃるくせに♡」
「お前の口からちゃんと聞かないことにはわからないぞ?」
だから俺様はあえて意地悪を言う。そうするとルシアはドレスのスカートを持ち上げて言う。
「わたくし、もう我慢できませんの。勇者様のお慈悲を賜りたいですわ」
「ククッ。まぁいいがな。可愛がってやるよ」
そうして俺様とルシアは肌を重ねた。王女を好き勝手に出来る快感。ソレを味わってしまうともう元には戻れない。そうして一勝負終わって、俺様はルシアに聞く。
「なぁ、レイトがどこに行ったのか。マジで分からないのか?」
「警備は厳重にしていますわ。その上で見つからないとなると……」
「既に城外に出ている可能性……か」
「そういうことになりますわ」
「じゃあ王都全域にお触れを出せ。レイトに賞金をかけろ」
「ええ、ではその様に。でもぉ♡ 勇者様♡ 今はそんなことよりぃ♡」
「あぁ、そうだな」
ルシアを抱く方が先か。まさか王女様を抱ける日が来るなんてな。いや、待てよ。俺様は勇者なんだ。王都の綺麗どころを侍らせることもできるんじゃないか? 王様に命令を下してもらってこの国の美女を食い放題じゃないか?
「ククッ」
それはそれで面白そうだ。まさか勇者に逆らうバカがいるとは思えないし。そうして一晩ルシアを使って楽しんだ。
「勇者様ぁ♡」
その幸せそうなルシアの顔に、俺様も満足を覚える。やっぱり英雄ってのはこうじゃないと。それに比べてレイトは可哀想だよな。こそこそドブネズミみたいに逃げだすことしか出来なくて。俺様に追われる恐怖で夜も眠れていないんじゃないか? 安心しろよ。お前が何処に逃げようが、俺様が捕まえて公開処刑にしてやるから。
「さて」
一晩楽しんで、それから朝を迎える。まずは仲間探しだな。有力なパーティーが組めればいいが。城からも幾人か出すとは言われているが、俺様の希望は美女や美少女の冒険者だ。ムサい男をパーティーに入れるなんて冗談じゃない。
「ってわけで、美しい有能なメンバーを探すか」
俺様の隣で裸で寝ているルシアの頭を撫でながら、俺様はそんなことを思う。
「じゃあまずは冒険者ギルドだな」
そうして城内の職人に最高の装備を見繕ってもらい、俺様は城の外に出る。流石にルシアは連れていけない。王女様が外に出るわけにもいかないだろう。さて、じゃ後は。
「~♪」
周囲の俺様を見る目が心地よい。
「おい。あれって」
「陛下が呼んだ勇者」
「聖剣を抜いたらしいぞ」
そうだよ。これこれ。聖剣に選ばれた勇者。そのことをもっと褒めたたえろ。そうして憧憬の眼差しを受けながら、俺様は王都の冒険者ギルドに顔を出す。老若男女。いろんな冒険者がいる。彼らが冒険者か。ということは俺様が徴収していいんだよな?
「すまん。ダンジョンに潜りたいんだが……」
受付にそう説明する。
「承りました。冒険者カードはお持ちですか?」
いや、ないな。
「王様から命令は届いていないか?」
「勇者をダンジョンに入れる件ですね。承っております。もしかして……?」
「ああ、俺様が勇者ユウシだ」
「これは失礼しました。ご命令は承っております。とあるダンジョンを攻略してほしいとのことで」
「そうだ。俺様が魔王を倒してやる」
他の連中には無理だからな。
「ではこちらにサインを」
文字の形態は違うが、意味は不思議と分かった。俺様がダンジョンで死んでもギルドは責任を取らない。言ってしまえばそういう責任逃れの契約書だ。不愉快だが相手の立場も分からないじゃない。そう言う意味ではこの不条理な書面にも意味はあるというわけだ。
「書いたぞ」
こっちの文字が書ける。それも不思議だが、今はいいだろう。それにしてもこうまで俺様に万が一があると危惧するのも不敬じゃないか?
「パーティーはお組みにならないのですか?」
「そうだな。このギルドから見繕ってもいいか?」
「構いはしませんが……」
「じゃあその後でダンジョンに潜るってことで」
「承知しました」
さて、そうすると後は一緒にダンジョンに潜る相手を探すだけだ。美女は入れたいよな。後は適当に強そうな男メンバーを勇者権限で徴収して。そいつらに露払いを頼んで、俺様は魔王だけ倒してチヤホヤされればいいわけだ。いやー。楽だわー。栄光ってこんな簡単に手に入るのか?
「とすると、まずは美女と美少女だよな」
それっぽいのを見繕おうとする。ざっとギルドを見回して、お気に入りになりそうな美女を探す。ルシアも身体は気持ちいいんだが、たまには別の女を抱くのも英雄の特権だろ? そうして美女を探してギルドを見て回り。
「おいおい。いい女がいるじゃないか」
そんなわけで美女に声をかける。
「よう。そこのお前。俺様とパーティー組んでくれねぇ?」
「は? 寝言は寝て言いなさいよ」
美女の冒険者は俺を蔑ろにすることを言った。
「あ? 俺様が誰か分かってないのか?」
「まずは名乗りなさいよ」
「ユウシ・ヤサマだ。この国で勇者をしている……」
これで俺の誘いを断れないだろう。俺様は勇者だからな。




