第55話:Sランク冒険者
「あーあー」
セイントブルク神殿ダンジョンの攻略者。その名は電光石火でエイテル庭国の冒険者ギルドに広まった。Sランク冒険者はダンジョンを攻略した証。つまりこれ以降俺がダークブルク夜城ダンジョンに挑戦し、攻略することに文句を付ける奴がいない……というのはわかるのだが。
「飲め飲めぃ! Sランク冒険者に乾杯!」
「おう。気前がいいぜ! さすがだな!」
「エイテル庭国の二人目のSランク冒険者だぜ!? 最高だな!」
好きにしてくれ。もう。ギルドのカウンターでミルクを飲みながら、全員分の吞み代を払わされて、仕方ないのでバーのマスターに白金貨を一枚渡していた。まぁ朝まで全員が飲んでも使いきれない額だろう。
「ダークブルク夜城ダンジョンに挑戦するのかい?」
俺がミルクを飲んで、ジュリアンがオレンジジュース。ジュリエットはおっさんの姿のまま酒をグビグビ飲んでいるが、彼女はザルだ。どれだけ飲んでも二日酔いの経験はないらしい。そこら辺はライカンスロープが関係しているのか。スレイブはスイカジュースを飲んでいた。そうしてミルクを飲んでいる俺に、その様にウォール氏が話しかける。
「まぁ暇だし」
「あそこには魔王が座しているとされている。このエイテル庭国のダンジョンでも最高位の難易度だ」
「ウォール氏も他のダンジョンは攻略したんだろ?」
「まぁ実力相応のところをね。別に自分を卑下するつもりじゃないけど、ダンジョンの攻略難度にだって固有差がある」
「普通にダンジョンを攻略しただけでも凄いと思うが」
「君にそう言われると光栄だよ。だから言う。スレイブをパーティーメンバーに入れるのは止めておきなさい。彼女は本当に君たちの足を引っ張って命を危険にさらす」
真摯に。心の底から。俺を案じて。ウォール氏はそう言った。
「アニキぃ……」
心配するスレイブに俺は苦笑した。
「大丈夫だ。最初から面倒なら断ってる」
「あくまでスレイブを百階層に連れて行く気かい?」
「まぁ。なぁ」
それでいいんだよな。ハミルトニアン?
『うんうん。面白い事になりそうだね?』
お前にそう言われると、それはそれでちょっと怖いんだが。
「じゃ、そんなわけで」
あっち行け、とヒラヒラ手を振る。
「君の触れた相手に毒を与えるスキル……ポイズンキャッチャーだったか? アレは強力だが、あくまで効くのは神経経絡を持っている相手にだけだろう?」
「まぁな」
「ゴーレムやアンデッド、植物系の敵が出てきたらどうする?」
「ジュリアンたちがなんとかしてくれるよ」
あっさりと俺は言う。一応カパカパ酒を開けているおっさん姿の彼女をジュリエットと呼ぶわけにはいかないので、「ジュリアンたち」とぼかしている。ジュリエットって呼んだら女だってバレるからな。
「そんなに強いのかい? 彼らは?」
「ライカンスロープだから冒険者ではないが、一応俺の奴隷。場合によっては俺より強い」
「Sランク冒険者の君がそれを言うのか?」
「なんなら喧嘩を売ってみるといい。後悔するから。三日くらい飯食えなくなってもいいなら、まぁ相手してくれるんじゃないか?」
「言っとくけどレイト様の発言は妄言だからな?」
ジュリアンがジト目で俺を見る。
「ですね。最強の名はレイト様にこそふさわしい」
ジュリエットも苦笑していた。酒を飲みながら、しっかり俺の言うことは聞いていたらしい。
「ちなみに君が本気を出したら、ダークブルク夜城ダンジョンの魔王を殺せるのかい?」
「物理的に存在するのなら……まぁ」
「ポイズンキャッチャーでも無理だと思うけど……」
生憎と俺の本当のスキルはバリアフリーなんだよなぁ。それこそ自殺を勘案しなければ銀河系を吹っ飛ばせる。ネオグラ〇ゾンでも相手にならんレベル。
「なわけで、スレイブのお願いに乗せられて、俺はダークブルク夜城ダンジョンを踏破しようと思う」
「それが一銭にならなくてもかい?」
「金はもう稼いでいるしな」
ヒョイとギルドを指差す。俺の金で飲めや歌えやの大騒ぎ。ソレでも俺の懐は痛まない。
「アニキぃ……一生ついていくっす!」
「一生は困るが、まぁダークブルク夜城ダンジョンくらいはついてこい」
「うっす!」
そうしてウォール氏との確執も取れて、俺はホテルに戻った。個室を用意してもらい、全員で止まる。
「全員でって、全員で?」
スレイブがオロオロしている。どう考えても王都で最大級のホテルだ。一泊で金貨一枚。ソレを四部屋とっている。俺とジュリアン、ジュリエットにスレイブ。で、四部屋。
「いいんすか? アニキ……」
「気にせず泊ってくれ。これでも稼いでいる」
そんなわけで連番で部屋を取って、互いに連絡があればいつでも可能、というのは名目で……。本当は近くの部屋の方がジュリエットと、その、な。
「レイト様♡」
で、ネグリジェ姿のジュリエットが現れて、そのバインボインの肢体を俺に見せつけてくる。活ホッキも同然の俺の股間に、垂涎でもするかのように唇を舌で舐め、性欲にぎらついた目でジュリエットが俺を見る。グラディオも巨乳だったが、ジュリエットに至っては爆乳だ。多分HとかIのレベル。アイのあるエッチだけど。
「レイト様。まずは胸でご奉仕させてもらいます♡」
「えーと。すみません……」
「何を仰います。レイト様は私の身体をあまねくご所有されるお方。私はその使用権をレイト様からお借りしているだけですわ。ですからレイト様こそが私の身体を自由にする権利を持っているのです」
「まぁ理屈上はそうなるんだろうけど」
奴隷ねぇ。奴隷かぁ。まぁライカンスロープは純霊主義において異端。人間扱いされていないのは知っているし、俺が叫んでも意味が無いのも知っている。ダンジョン攻略においてパーティーメンバーを組む以上、ジュリアンとジュリエットを奴隷扱いするのが一番スムーズだとも思っている。ただそれでも日本人としては、そういうのは……ねぇ?
「明日は日本に帰るんですよね?」
「ん、ああ、そのつもりだ」
奉仕されながら、それとは別に明日の予定も話題に上る。それにしてもジュリエットの爆乳はなんという……。
「グラディオも週に一度の息抜きは楽しみみたいですし」
「明日は田楽を食いに行くか」
「でんがく……ですか?」
「美味しいから楽しみにしていろ」
「それはレイト様のアレから出る白濁液より美味しいですか?」
飲んだことねーから知らねーよ。
『田楽! 楽しみ! あとジュリエットの爆乳は気持ちいいよー!』
ハミルトニアンはハミルトニアンでジュリエットの爆乳を楽しんでいるらしい。まぁいいけどさ。なんか口調は女だし、感性も女だし、声質も女なんだが、とにかく俺が性的に興奮するとハミルトニアンも興奮するという不思議。俺も結構性欲溜まっているけど、そうして我慢しているとハミルトニアンが「やれ」とうるさいのだ。




