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デブで無能と蔑まれた俺はアンノウンスキル【バリアフリー】で全てを手に入れる ~俺を蔑み虐げた王族と勇者は地獄を見るようです~  作者: 揚羽常時


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第51話:とりあえずウナギを食おう


 というわけで。


「うな重四つ」


 都市部に居を構えている資産家御用達のウナギ屋に俺たちは来ていた。俺とジュリアン、ジュリエットとグラディオで全員だ。


「ウナギって……ウナギか?」


 異世界にもウナギはいるらしい。ちなみに固有名詞もウナギ。


「うな重とは?」


 ジュリアンが聞いてくる。


「ウナギのかば焼きを飯に乗せたものだ」


「かばやき……」


 さすがにファンタジー世界にかば焼きはないらしい。わかっていたことだが。


「ま、じっくり待とうぜ」


 とある文豪も言っていた。ウナギは酒でも飲んでゆったり待つのも旨さの内だと。俺は酒を飲めないが、ジュリエットとグラディオは呑めるので、ちょっと試してみた。二人分の日本酒を頼んで、飲ませてみる。もちろん大吟醸。


「う、美味いですね」


「あらあら。これは」


 グラディオもジュリエットも驚いていた。


「これは?」


「日本酒。つまりウチの国の酒。ちなみに原材料は米な」


 その米を削って作る酒を吟醸酒という。別に酒が飲めないから酒がわからないわけでもない。俺とジュリアンはジュースを飲んでいた。甘味も発達していない異世界出身のジュリアンにはこの世界のジュースは特攻攻撃らしく。酒を堪能しているジュリエットたち以上に飲むペースが速い。とはいえ、この後うな重も待っているので胃の隙間は空けてもらうのだが。


「へい。お待ち!」


 ウナギ屋がうな重を出してきた。この店は客の注文があってから生きているウナギをさばくので、出来上がるのに時間がかかる。酒を飲んで待つという楽しみも、本場のウナギ屋でこそできる楽しみ方だ。


「「「ッッッ!」」」


 そうしてウナギを一口食べて、戦慄する三人。俺も久しぶりに食ったので舌を楽しませている。


『はー。美味しい♪』


 もちろん俺の味覚を通じて、ハミルトニアンもウナギを堪能していた。そもそもコイツがウナギを食いたいと言ってきたのだ。いつもお世話になっているし、これくらいはいいだろう。そうして四人でガツガツとうな重を食って、肝吸いで胃を満たし、満足してみせの外に出ると、スマホが鳴った。受信相手は一理カレン。一応電話番号は交換していたが。


「お兄さん! 帰ってきたんですね!」


「ああ、まぁな」


 まさかファンタジー世界に言っているとか言えないので、いつもは外国にいると説明している。ハルカは事実を知っているが、俺の身を置いている状況のバカさ加減を他人に説明する労力を嫌って、可憐には外国に行っていると口裏を合わせていた。


「会いたいです! お腹空いていませんか!?」


「悪いがさっき飯食ったばかりだ」


 うな重は旨かった。


「じゃあデートしましょう」


「もう何時もの四人でデートする予定だが……」


「私も入れてください!」


「仕事は?」


「日曜日は基本入れていません。どうしてもという時も午前で終わらせまして」


 俺に会うため……か。


「じゃあ庵宿駅で合流するか」


「何分くらいかかります?」


「もうついてる」


 もちろん大いに嘘だが、距離バリアフリーを換算すれば誤謬とも言えず。


「どこで待ち合わせます?」


「じゃあ駅前の銅像アートがあるところで」


 そして通話を切って。


「ってことでいいか?」


 他三人に聞く。


「大丈夫だぜ!」


「もちろんですわ」


「私も大丈夫です」


 全員受け入れてくれた。そうしてワープ。一瞬で駅前ロータリー。騒ぎは起きなかった。いきなり現れはしたが、人混みが多すぎて誰も俺たちを注視していない。


「さて、どうしたものか」


「アニキ」


「お兄さん!」


 そうしてカレンが現れたのはいいのだが、ハルカも一緒に現れた。


「お前もか」


「まぁ生きているなら顔見たいし」


 プイッとそっぽを向きながら妹は俺に憎まれ口を叩く。


「最近ミハルカちゃんとはお兄さんの話ばっかりしているんですよ」


 さいですか。


「じゃあショッピングをしましょう。レイトお兄さんを着せ替え人形にしていいですか?」


「構いはしないが……」


 アイドルのファッションセンスなら問題ないだろうし。


「アイドルと言ってもグラビアですけどね」


 とは言ってもカレンはアマプロのドル箱だし、ファッションモデルもしている。


「ジュリアンちゃんとジュリエットさんとグラディオさんも選んであげますからね」


「それはいいんだが……」


「こっちの世界の服は質がいいですけどお金が」


 世界とか言うな。国と言え。


「大丈夫。全部奢ってあげるから」


 国庫を預かる身としてはグラディオは微妙な顔をしているが、さすがに日本銀行券は持っていないので、こっちの世界では無一文だ。


「それじゃ行きましょう」


 そうしてファッションやトレンドの発信地である庵宿区のブランド店で、相応の服を見繕う。着せ替えをされて、トレンドを意識した服装に全員が着替え終わり、全ての支払いをカレンがするのだが。


「大丈夫か? 財布?」


「むしろ嬉しい。レイトお兄さんに貢ぎたい……」


 マジで言っているらしい。


「そう言えば社長から出来れば勧誘するようにって言われているんだけど」


「俺も忙しいからなぁ」


「外国で何してるんですか?」


「レアメタルの採掘」


 嘘八百をほざく。


「ジャパニーズサラリーマン?」


 二十四時間は戦えないぞ。


「夜飯も奢りますから。何が食べたいですか?」


 どう思う? ハミルトニアン。


『え、エッチなことですか?』


 いや、お前が何を食いたいのか聞いてるんだが。


『じゃあフレンチ!』


「フレンチとかありか?」


「もちろん大丈夫ですよお兄さん。ホテルを予約しましょう。高階層のレストランでワイングラスをカチンですね」


 言っとくが俺は酒を飲めんぞ。まぁワインねぇ。それはファンタジー世界にもあったが、ジュリエットとグラディオにはこっちの世界のワインも味わってもらうか。


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