第44話:グラディオの悩み【グラディオ視点】
「はぁ」
溜息を一つ。仕事は山積しているが、最終決定権が私にある以上、判を押すのは私の仕事だ。宰相が仕事の無駄を省いてくれるが、それでも目を通す書類が多すぎる。
「お疲れ様です。グラディオ様」
「ああ、ジュリエット嬢か」
「お茶を淹れました。少しお休みください」
「そのー。政治上の意味合いはあるが、国民の目のないところでは砕けた口調でいいと言っているだろう。ジュリエット嬢は私の恩人だ。むしろ敬意を表すべきはこっちの方……」
「いえ、私はグラディオ様……えっと……グラディオに救われましたから」
「何もしてないと思うが……」
「順転エネルギーを潤沢に封入したポーションを城に残してくれたでしょう? それをちょっぱったレイト様が、そのポーションを私に使ってくれました。おかげで全盛期まで若返って、ついでに持病も治ったんです。つまり私がグラディオを助けたのは恩返しですよ。なによりアリフレム王国の未来のために聖女グラディオ・トリスメギストスが必要でしたしね」
「済まない事をしたとは思っている。もしも許しがたいというのなら首を刎ねてくれ。それくらいでは死なないが」
「大丈夫です。アリフレム王国の開放をしてくれただけでも賢王と言えますよ。グラディオ陛下が玉座に座ってくれたおかげで、私たちアリフレム王国の民は救われたんですから」
「私を非難する声も大きいらしいが」
「一部の過激派です。グラディオが返り咲いたことを私たちは祝福します。それからですけど。ヘルメス聖国の経済の方は大丈夫でしょうか?」
「大丈夫……とは言い難いな。アリフレム王国への賠償金だけども頭痛のする額だ。まさか国民に重税を課すわけにもいかんし。できれば王侯貴族だけで支払ってしまいたい」
「機を察した商人が国外逃亡しているらしいですが」
「大商会の財産は丸ごと没収している。さすがに小売商まで手を伸ばすと経済ルートがな」
そう言って私は苦笑した。そうしてジュリエットの淹れてくれたお茶を飲む。
「なにより聖女の復活だ。私の順転エネルギーを欲している民は大陸中に無数に存在する。治癒の異能を用いれば、金を稼ぐのは難しい事じゃない。にしてもお茶が美味い」
「光栄です。もしもお忙しいようなら、私やジュリアンをお呼びください。慰み程度にはなります故」
苦笑して、ジュリエットもお茶を飲んだ。
「あー、その」
ちょっと間が空いて、私は魔が差した。
「ジュリエット嬢は……その……レイト様と……」
「やってますよ」
「産経婦に聞くのが一番いいのだろうが……気持ちいいのか?」
「ええ、とても。レイト様に求められると、心が温かくなります」
「そ、そうか。……………………そうか」
「ご興味が御有りで?」
ジュリエット嬢が苦笑した。見透かされている。
「その……。もう数百年くらい処女拗らせていて……。魅力的と思える男性に出会ったのはレイト様が初めてで……。だから……その……お相手してほしいのだが……ババアの私が抱いてと言ってもレイト様を困らせるだけじゃないかと……」
「あらあら」
クスクスとジュリエット嬢は笑った。
「そんなことありませんよ。グラディオは魅力的な美少女ですし。エッチな下着を着てレイト様を誘惑すれば一発ですよ」
「ほ、本当か!?」
「ええ、おっぱいも大きいですし、きっとレイト様は満足してくださるはずです」
「ジュリエット嬢の方が大きいじゃないか……」
彼女は巨乳どころか爆乳の域。いつもはセルフミラージュでおっさんに偽装しているけれど。
「自信を持ってください。グラディオは魅力的な女の子ですよ」
「えっと、じゃあ、今日……お誘いしてみよーかなー……とか」
「じゃあ私と一緒に誘惑しますか?」
「ジュリエット嬢と一緒に!?」
「私が相手する時はレイト様は一回では終わらせてくれませんから。グラディオを追加しても何の問題もありませんわ。四回戦くらいは普通ですから」
「そ、そうなのか。その。レイト様は……絶倫という奴で?」
「とっても素敵ですわよ」
顔を赤らめて頷くジュリエット嬢。
「そうと決まれば勝負下着を選びましょう。持っていますか?」
「その。実はお忍びで王都に出向いて買っていたりはするのだが……恥ずかしいな。痴女ですよね?」
「いいえぇ。私もレイト様のお相手をする時は勝負下着ですよ?」
「喜んで……くれるだろうか? それが怖い……」
「まぁまぁ。案ずるより産むが易し、ですよ」
そうして有言実行。思い立ったが吉日。仕事を宰相に押し付けて、私は密かに買った勝負下着をジュリエット嬢と一緒に選んでいた。
「紫と黒と赤ならどれがいいだろう?」
「あら、殿方のお好きな色はコンプリートしているのね?」
からかうようにジュリエット嬢が言う。
「聞いた話だ。こういうのが殿方が興奮する色だと。店員が」
「正しい判断です。じゃあ今日は黒にしましょうか」
「レイト様は黒が好きなのか?」
「というか私が白のネグリジェを着ますから白と黒の対比でレイト様のアレを大きくしましょう。きっとギンギンになりますよ♡」
「その、殿方のアレって……」
「レイト様のは特に素敵ですから」
未亡人とは思えない美少女の笑顔で、うっとりとジュリエット嬢は言う。そうして勝負下着を着て……夜。ジュリエット嬢がお相手をするとレイト様に伝えて、私はサプライズで登場しようということになった。
「レイト様♡ 今日は二人でご奉仕しますわ♡」
まるであっさりとジュリエット嬢が言って、白いベビードールのジュリエット嬢に、黒いランジェリーの私。白と黒の下着コンビだ。
「あう。その。レイト様……無理ならいいのだが……私も混ぜてくれないだろうか?」
教会の屋根から飛び降りるような気持ちで私は言った。はしたない女と思われたか?
「ええと……いいのか? 一国の王様が……」
困惑しているのはレイト様も同じらしい。
「当然だ! レイト様こそヘルメス聖国の救国の英雄。私はレイト様にこそこの身を……いや、そうじゃないな。私はレイト様の慰み者になりたいだけの……はしたない女だ。レイト様のモノが欲しくてしょうがない……」
引かれた……だろうか? と思っていると、レイト様のアレがギンギンになっていた。殿方のは初めて見るが、あんなものが私の中に入るのか?
「いいですよね? レイト様。私とグラディオで奉仕しますわ。一国を差配する女性を性的に支配する。その悦楽を味わってください。国民の尊敬の的の聖女グラディオ陛下が今夜は全てレイト様のモノですわ♡」
「あ、ああ、そうだ。私を支配してくれ♡ レイト様に奉仕させてくれ♡」
「じゃあジュリエットとグラディオの谷間で左右から挟むとか……できるか?」
「仰せのままに♡」
「ジュリエット嬢と二人で……か?」
「すまん。興味が尽きない。仮に引かれたとしても……」
いや、いやいや、引いたりしないぞ。ジュリエット嬢と一緒に左右から谷間で挟めばいいんだな。だ、大丈夫だ。出来るはず。レイト様のアレは逞しいし。
「その、数百年処女だったんだが……大丈夫……だろうか?」
「むしろ興奮する。聖女グラディオの処女を俺が頂けるなんて」
そ、そうか。心がほっこりする。レイト様は私の処女が嬉しいのか♡ これが女の幸せ♡




