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デブで無能と蔑まれた俺はアンノウンスキル【バリアフリー】で全てを手に入れる ~俺を蔑み虐げた王族と勇者は地獄を見るようです~  作者: 揚羽常時


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第27話:想定の外【矢佐間ユウシ視点】


「はぁ!? あのブタの国家反逆罪を取り消すぅ!?」


 最初、王様から言われた言葉を俺様は受け入れられなかった。謁見の間。そこで俺様が罵倒すると、王様は困った顔をした。


「しかしアヤツは怪物だ。敵対するのは国家としても不利益が大きすぎる」


 国王……ラシア・フェイクリストはすっかり怯えてしまったらしい。


「勇者の俺様の命令でもか?」


「勘弁してくれ。勇者様のご意向は最大限叶えて差し上げたいが、相手は王城の警備をものとしないのだ。あんな奴と敵対するのは御免だ」


「お父様。それは勇者様に対する最大限の侮辱ですわよ?」


 ルシアは俺様の味方をしてくれる。デブリアンなんて国家反逆罪でテロリスト扱いされるのが最も理にかなっている。そのことを理解しているらしい。


「もしも殺したいなら、騎士団でも何でも引き連れて、自分たちだけで討伐に行ってくれ。余はあの者と敵対したくない……」


 すっかり怯えているらしい。あんな雑魚のブタにだ。スキルはノーマル級のピッキング。魔力はEランク。あんな雑魚にいったい何ができるだろう。俺に言わせれば、怯えている王様そのものが雑魚だ。あんなクソザコナメクジに怯えるとか玉無しにもほどがある。ちょっと不可解な毒は使うが、それだってヒールで治せる程度だし、恐ろしいかと言われると別にって感じ。


「わかったよ。俺様たちで殺す。異論はないな?」


「出来ればルシアは大人しくしていてくれ。我が娘をあの怪物にぶつけたくはない」


「お父様。お父様の矜持はその程度ですか? わたくしたちは勇者様に全てを委ねました。であれば勇者様のお望みは全て叶えて差し上げるべきかと」


「お前がそう言うならあえて止めはすまい。そこまで覚悟が決まっているなら好きにしろ」


 ほぼ投げやりで、王様はそう言った。俺様たちがあのクソザコに勝てないと、そう言っているかのようだ。


「じゃあな」


 そうして俺様は騎士団を引き連れて犯罪者レイトの討伐に向かう。そこにはルシアも同行しており、城を攻められた兵士たちの憤慨もあるらしい。城の一割の警備兵たちが、俺様の号令一家、レイト討伐にくり出した。既に国家反逆罪は取り下げられている。賞金もまたしかり。なので奴を討伐するには城の戦力を借りるしかない。あのレイトに付き従っていたライカンスロープどもも俺様がいい様に利用してやるからな。


 おそらくあのレイトの奴隷どもは逸材だ。俺様が使ってこそ価値がある。どっちも男ってのが残念だが、この際文句も言わないでおこう。


「レイトはいるか?」


 冒険者ギルドのホームで、俺様は受付嬢にそう聞いた。


「今日はまだ来ていませんが……」


 ホテルにでも泊まっているのか? 国家反逆罪を取り下げられたのだ。ホテルの利用も可能ではあるだろう。チッ。不愉快な。ブタはブタらしく豚小屋にでも泊まっていればいいものを。


「じゃあブタが来るまで待たせてもらうぞ」


 そう言って騎士団を冒険者ギルドの前に待機させて、俺様は酒を飲んだ。最近アルコールをよくとっている気がする。あのフワフワした感覚が最高なんだよな。こっちの世界では未成年も酒を飲めるし。そうして酒を飲みながらレイトを待つと。


「勇者様! あのデブリアンが来ました!」


 騎士団の一人が俺様にそう報告してきた。俺は酒でベロンベロンになっていた。だが根拠のない自信がアルコールで膨れ上がり、そうしてギルドホームの外に出る。


「おい! デブリアン!」


 アルコールの回っている頭でレイトを見て、抜剣する。


「今からテメェを殺してやる!」


「無理だと思うぞ」


 俺様の実力を知らないのか。困った顔でレイトはそう言った。


「この聖剣アイアンカッターでお前のなます切りにしてやる!」


 そうして俺様はレイトに切りかかった。だが。


「フォースシールド」


 レイトは生意気にも防御魔術を展開した。それも詠唱無しで。


「お前! 魔力Eランクじゃ……ッ!」


「Eランクだぞ」


 だから何だと言わんばかりに。


「いいからどけ。俺はギルドに用があるんだよ」


「ああ? テメエ如き雑魚にギルドに所属する資格があると思ってんのか?」


「一応試験の合格も受け取っているしな」


 俺様は斬鉄剣アイアンカッターを振り回す。だがそれはフォースシールドを破れなかった。


「テメェ! 正々堂々剣で勝負しろ!」


「嫌に決まってるだろ。千剣適合を持っているお前に剣で勝負なんて……」


「つまり俺様の方が上ってことだな!」


「そーですねー」


 相手をするのもバカらしい。そう目に書いてあった。さらに剣を振ろうとして、


「???」


 腕と脚が痺れる。この前受けたアレだ。毒。


「ヒール!」


 一瞬で治癒する。


「は! テメェの毒なんて効かねえんだよ! 騎士団ども! やっちまえ!」


 それで城の一割の防衛戦力がレイトに向かって襲い掛かる。ははっ。これでレイトも終わりだ。そう思っていたのだが。


「ご主人様に逆らうバカがこの世界にいるとはな」


「不敬が過ぎますよ?」


 レイトの隣にいたライカンスロープの親子が大立ち回りをした。叩きのめし。蹴り。投げ。王様直属の騎士団が相手にならない。


「テメッ! レイト! 卑怯だぞ!」


「騎士団引き連れて俺を潰そうとしているお前に言われたくないんだが」


「俺様はいいんだよ! なんたって勇者だからな!」


「バカじゃねーの?」


 バカ? バカと言ったか? デブリアンが? 俺様を?


「覚悟できてんだろうな……。デブリアン」


「ジュリアン。やっちゃっていいぞ」


「承知しました。ご主人様」


 そう言った瞬間、ライカンスロープの少年が、俺様の懐に入ってきた。反応は出来ない。その俺様の腹部に恐ろしい衝撃が走った。殴られた、というより破城槌を撃ち込まれたようなソレ。


「が……ぁ……は……ッ!」


 腹部を押さえて悶絶する。


「ご主人様を貶めた罪。今ここであがなってもらおう」


 さらに蹴りが俺様を襲う。サッカーのボールの如く俺様が蹴られる。それで二転三転して地面に倒れ伏す。既に騎士団ももう一人のライカンスロープによって壊滅されており。なんでだ。どうしてこうなった? なんで選ばれし俺様が地面に倒れ伏している? どこで俺様は間違った?


「レイト……テメェ……ッ!」


 憎悪でレイトを睨みやる。


「まだやる気か?」


 コキッと指を鳴らしてライカンスロープの少年が聞く。やるなら徹底的にやるぞ、とその目が言っている。


「殺すなよ」


「承知しました。ご主人様」


 クソが! なんでそんな奴の言うことを聞くんだよ。お前らは俺様の命令に従えばいいんだ。どうせレイトなんて足手纏いだろ。俺様ならお前らライカンスロープとも肩を並べて戦える。そう思った瞬間、少年の蹴りが俺の腹部に突き刺さって俺は嘔吐してしまった。


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