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デブで無能と蔑まれた俺はアンノウンスキル【バリアフリー】で全てを手に入れる ~俺を蔑み虐げた王族と勇者は地獄を見るようです~  作者: 揚羽常時


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第23話:久しぶりの再会


「おい。レイト~。お前のDランクなのにどうやってアークドラゴン倒したんだよ~?」


 ベロンベロンに酔っている冒険者が俺の周りでビールをグビグビ飲みながら絡んでくる。ジュリエットもセルフミラージュでおっさんの姿のまま酒を飲み、こっちは酔いつぶれたりしないらしい。俺とジュリアンは酒禁止。別に国の法律上飲んでも問題ないのだが、稼いだ冒険者を酔い潰してアイテムボックスをかっぱらう犯罪も多いらしい。なのでこのパーティーで酔っていいのはジュリエットだけで、そのジュリエットもさっきから冒険者と飲み比べをして連戦連勝だ。どうやらザルらしい。そうしてオレンジジュースを飲みながらへべれけの冒険者にアークドラゴンがどれだけ強かったのか。ソレをどう討伐したのか。語って聞かせろと言われて、毒で殺したとしか言えない俺。


「はー? 毒~? 冗談も大概にしろよぉ? 伝説の錬金術師でもアークドラゴンを殺せる毒なんてなぁ~ぁ」


 ああ、鬱陶しい。


「ご主人様。大丈夫ですか?」


 ジュリアンがおおよそ俺の周りを警戒してくれる。それこそ有事になれば速攻で修羅疾患ジュラシックを使ってくれるだろう。キングトロールさえ一撃で殴り殺す特Aランクの戦力。おそらくだが、ここで俺に酒をタカっている冒険者連中では束になっても敵わない。その怪物が、もう一人涼しい顔で酒を飲んでいるのだが。そうして奢りの酒でワイワイやっていると。


「なんだ。今日は景気がいいな」


 冒険者ギルドに新しい顔が現れた。別に懐に対してはダメージはないが、貧乏根性として人数が増えるのは少し心理的に微妙。まぁ白金貨三百枚貰ってるからマジでこの場の全員がアル中で死ぬまで酒飲んでもまったく問題は無いのだが。


「げ」


 で、現れた人物を見て、俺が悲鳴を上げる。今の俺はセルフミラージュを解いている。ギルドは国法の外だから、油断していた。コイツがギルドに来るのかよ。


「よう! 勇者様! そのあと御機嫌はどうだ!」


 勇者。ユウシ・ヤサマ。つまり矢佐間だ。


「あ? バカにしてる? ドラゴン特攻系の装備も手に入れたし、アークドラゴンなんて問題じゃねーんだよ」


 たしかスキルは……なんだっけか? ハミルトニアン。


『千剣適合だねー。英雄級の剣までなら自在に操れるヒーロースキル』


 ああ、それだ。確か持っていた聖剣は斬鉄剣アイアンカッター。


「鉄より硬い鱗を持つアークドラゴンを聖剣で切れなかったんだろ? 諦めた方がよくね?」


「今度は勝つって言ってるだろ。なんなら切れ味を試してみるか?」


「ああ、やめとくやめとく。アークドラゴンね?」


 ぶはははは、とギルド全体が笑う。


「何がおかしい!?」


 憤慨する矢佐間に、さらに笑い転げる冒険者たち。


「いやいや、リベンジはいいんだが。ちょっとタイミングが悪くてな。既にアークドラゴンを倒した猛者がいるんだわ。今ソイツに酒を奢って貰ってるところで……」


「アークドラゴンを倒した……だと? どいつだ! ソレは!」


 目の色を変えて矢佐間が飛びつく。


「新進気鋭のニュービー! レイト・ペネト氏だぜ!」


 そうして矢佐間に絡んだ冒険者が堂々とした振る舞いで俺を矢佐間に紹介する。


「は?」


 そうして気まずい思いをしている俺と、それからそんな俺を見て目を点にしている矢佐間。で、今度は矢佐間が爆笑した。


「バカかお前ら! あんなデブリアンがアークドラゴンを倒せるわけないだろ! ノーマルスキル持ちの雑魚だぜ!?」


 バカにする笑い。まぁ別に俺も信じてもらう必要は無いわけだが。


「あ? ギルドの英雄をバカにすんのか? 場合によって殺すぞ?」


 一人の冒険者が冷えた声でそう言った。さっきまでベロベロに酔っていたのに、俺をバカにされて怒りを覚えてくれたらしい。


「な、なぁ。ジュリエット……」


 すまし顔で酒を飲んでいるジュリエットに解説を求める。


「ギルドで酒を奢っている主催者をバカにするのは冒険者にとってタブーなんですよ」


 なるほど。


「そんな雑魚がアークドラゴンを!? 浅層ですら突破できない雑魚だぜ?」


 それでも矢佐間の挑発は終わらない。怒り沸騰の冒険者たちのヘイトに、だが矢佐間は気付かない。


「なぁ? デブリアン。デブで無能のお前が、どうやってアークドラゴンを倒したんだ?」


「知恵と勇気」


 他に無い。


「ほらな。実際に語れもしない。こんな雑魚を持ち上げるお前らも雑魚だな!」


 ゲラゲラと矢佐間がブサイクに笑う。


「「殺していいですか?」」


 ジュリアンとジュリエットがニッコリ笑顔で俺に許可を求める。まぁキングトロールを一撃も拳だ。まともに受ければ矢佐間も即死だろう。


「デブリアン。お前が八十階層を突破したってことは、それだけ優秀なパーティーを組んで荷物係をしたんだろ? そいつらを俺様に寄こせ。勇者の俺様がもっと有効に使ってやるからよ」


 ジュリアンとジュリエットのヘイトが青天井になっていく。俺が殺れと言えば、そのままそれが矢佐間の寿命だろう。


「パーティーは組んだが、アークドラゴンを倒したのは俺だ」


「そもそもテメエは指名手配犯だろうが。ここで軍警察を呼んでもいいんだぜ? 公開処刑は国の決定だからな」


 既に俺がそんなレベルじゃないんだが。


「それとも俺様がここで斬り殺してやろうか。墓碑銘は童貞無様に散る、でどうだ?」


 まぁ童貞じゃないんですけど。おっさんのセルフミラージュをかけているジュリエットが隣にいるので何となく悲しい気持ちにはなるが。


「お前のパーティーメンバーを俺様に寄こせ。お前みたいなゴミよりよほど俺様に相応しい。そもそもデブで無能のお前が調子こいて荷物持ちをしているのが既に不敬なんだよ。俺様に逆らうならこの場で叩き切るぞ?」


『ねえ。お兄ちゃん。やっぱりアイツ殺そう?』


 ハミルトニアンまでもがヘイトを持っているらしい。お前は自称大日如来じゃないんかい、とツッコみたい。嘆息。


「まぁやれるもんならやってみろってところだな」


「上等だ!」


 何の躊躇もなく抜剣する矢佐間の沸点の低さに、俺も溜息。そしてコンキスタドームを広げてスキルの適応距離を拡大。矢佐間の脚を捉えて、そこにエレクトキシンを適応させる。毒と違って効果に時間は必要ない。一瞬で脚の筋肉が痙攣して、間合いを潰すどころか立ってさえいられなくなる。


「な? なん……ッッ? 何をした!? デブリアン!」


 俺のエレクトキシンで筋肉が痺れている、など想像の埒外だろう。ジュースを飲む。


「このスキルでアークドラゴンを殺したんだよ」


「テメエみたいな雑魚野郎にそんなことできるわけねーだろ! もう一度言うぞ! テメェのパーティーメンバーを俺様に献上しろ! そうしたら公開処刑を取り下げてやってもいいんだぜ?」


「その前に自分の心配をしろ」


 既に矢佐間は脚が動かない。そしてヘイトを高めた冒険者たちが矢佐間を放っておかない。立つこともできない矢佐間は……サッカーしようぜ! お前ボールな! の刑に。


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