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デブで無能と蔑まれた俺はアンノウンスキル【バリアフリー】で全てを手に入れる ~俺を蔑み虐げた王族と勇者は地獄を見るようです~  作者: 揚羽常時


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第16話:いざダンジョンへ


「というわけで」


 ダンジョンに挑むことになった。聖女が失踪したというセイントブルク神殿ダンジョン。そこで生きているはずの聖女を探すのが最重要ミッション。まぁダンジョンと言っても世界ではあるし。コンキスタドームで調べれば何処かにはいるのだろうが。


「本当に三人で行くのですか?」


 俺とジュリアンとジュリエット。ただし俺とジュリエットはセルフミラージュで姿を変えているが。


「ええ、まぁ、無茶はしませんので」


 受付嬢の心配も妥当だったが、俺はニッコリ笑顔で肯定してダンジョンへの侵入の許可を貰っていた。冒険者は何処まで行っても自己責任。なのでダンジョンで死亡してもギルドは責任を取らない。


「ではこちらに」


 と、ダンジョンの入り口まで案内される。見ればそこそこ大きな結晶が部屋の中央に安置されていた。


 ハミルトニアン。アレって。


『巨大なマテリアルアブソーバーだよー。元々マテリアルアブソーバーは異界とつなげるための触媒だからね』


 なるほど。それで希少な結晶なわけだ。受付嬢がマテリアルアブソーバーを励起させて、空間に歪みを作る。アイテムボックスとまったく同じ空間の歪み。


「この先がセイントブルク神殿ダンジョンになります。お気をつけて」


 丁寧に頭を下げて受付嬢が送り出してくれた。そうしてダンジョン内部へ。そこに広がっているのは神殿だった。そうだな。ギリシャ神話のミノタウロスを封じ込めるための地下迷宮。アレを想起されたら八割五分くらいは当たっている。豪奢な意匠で彫られている柱とか、真っ白の天井や床や壁。なのに彫り物によって荘厳な絵画が壁に刻まれている。


「ほー」


 俺が関心というか、その豪奢な神殿のダンジョンを眺めていると。


「GIII……」


 いきなりモンスターが現れた。神殿に出てくるモンスターって何だろうと思っていると、普通にアンデッドだった。人骨。つまりスケルトン。試験官も言っていたが、俺のエレクトキシンはアンデッドやゴーレム系には効かない。さて、どうするか。と思っていると。


「ここはお任せください。レイト様」


 ジュリアンが前に出た。そう言えば普通に連れてきたが、ジュリアンとジュリエットってどれくらい戦えるんだ? 俺がそう思っていると。


「風ッ!」


 呼気一つ。一瞬で風になったジュリアンは、そのままスケルトンに向かって踏み込み。異常とも言える膂力でスケルトンを破壊した。拳一発。それだけだ。


「えーと」


「私たち親子はハイブラッドという特殊個体でして、血在魔法を使えるんです」


「はぁ。血在魔法……」


 なぁハミルトニアン。


『え、エッチなことですか?』


 違います。血在魔法って?


『えーと。亜霊種が持つ一種の魔法だね。そう言う固有種が持つ魔法を血在魔法って呼ぶことがあるのよー』


『魔術とは違うのか?』


『魔術は世界に刻まれている術式を励起させることで起こす奇跡。魔法は世界の法則を改変することで起こす奇跡。つまり魔術には種も仕掛けもあるけど魔法にないの』


 なるほどな。


「それでジュリアンの血在魔法って?」


「私もですけど……修羅疾患ジュラシックという血在魔法を覚えております。魔法を適合させるとその間だけ修羅になる……というような魔法ですね」


 いまいちよくわからんのだが。


「戦いのプロになる……と言えば通じるでしょうか?」


 それはわかりやすいな。


「なので修羅疾患を発動している時の私とジュリアンは特Aランクの実力を手にできます」


 ハミルトニアン。特Aランクって?


『実質Sランクだけど都合によってAランクに留まってる冒険者のことだよー』


 そうすっとジュリアンとジュリエットって……。


『まぁ実質Sランクの実力だねー』


 マジかよ。


「なのでレイト様は後方で安心していてください。血路は私たち親子が引き受けます」


 ダンジョンでは食事も睡眠も排泄も必要ないので、体力と集中力だけ気を付ければいいとは言うが。


「恣意!」


「渇!」


 拳一つで血路を切り開いていく親子には何と申したものか。


「とりあえず俺は何もしなくていいのか?」


「ええ、その通りです」


 あっさりとまぁ言ってくださるのは嬉しいのだが。


「罠に気を付けてな」


 神殿とはいえダンジョン。階層を深くするごとにエグい罠が待ち受けている。とは言っても俺のコンキスタドームの前では意味が無いのだが。フロアの罠は全部把握しているし、それがどういう罠かもハミルトニアンが解説してくれる。


「なんでレイト様は罠の有無を判別できるのですか?」


「秘密だ」


 クオリアの拡張とかこっちでどう説明すればいいんだ。別に説明するのはいいんだが、そこから得られる技術的な知識がどうにもこうにも。


「GUOOOO!」


 今度現れたのはドラゴン。とはいえ圧倒的と言えるほどの圧力はない。


「恣意!」


 ジュリアンの拳一発でのけぞるドラゴン。その頭部を空気を蹴って跳躍したジュリエットが蹴りつける。叩きつけられるように、ドラゴンの頭部が神殿の床に突撃する。


「わーお」


 俺には他に言えることがない。そうして五階層のボスモンスター……レッサードラゴンを倒してドロップアイテムを回収する。もちろん俺のアイテムボックスに、だ。


「っていうかジュリアンとジュリエットだけでダンジョン攻略できるのでは?」


「否定はしないぜ」


「ただヘルメス聖国では純霊種しかギルド登録できないので、どうしてもご主人様が必要になりますが」


 なるほどね。それで俺を選んだってわけだ。


「聖女を探さないと、アリフレム王国に未来はありませんから」


「それだよなー」


 とりあえず彼女を探すことが俺たちにとっての使命というか、何というか。


「このフロアにはいないみたいだな」


 まだ浅層だ。こんなところに聖女がいたら、既に見つかっているだろう。


「本当に何なんですか? レイト様のその感覚の拡張は……」


「黙秘でお願いします」


 俺としても、そう言えることではない。


「さて、そうすると……」


 さらに深く潜るだけだが。


「あら、トロールが」


 既に死亡していた。俺がコンキスタドームで把握してエレクトキシンを適応させた結果だ。筋肉が痙攣して、心不全などなど。そうしてドロップアイテムを手に入れる。このままだとあっさりと深層まで達しそうだな。


『お兄ちゃん。お兄ちゃん。じゃあミラークールエフェクトを覚えよう』


 ミラークールエフェクト? 何ソレ?


『バリアフリーのもう一つの使い方。スキルの反転作用だよー』


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