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デブで無能と蔑まれた俺はアンノウンスキル【バリアフリー】で全てを手に入れる ~俺を蔑み虐げた王族と勇者は地獄を見るようです~  作者: 揚羽常時


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第10話:魔王討伐税【矢佐間ユウシ視点】


「お帰りなさいませ。勇者様。冒険者ギルドはどうでしたか?」


 俺様が不機嫌に城に帰ると、ルシア・フェイクリストが出迎えてくれた。完全に恋する目をしており、俺様の征服欲が疼いてしまう。


「話にならんな。どいつもこいつも成功報酬の話ばかりだ。この俺様とパーティーを組めるだけでありがたく思えっての」


「所詮はがめつい無教養の者どもですので。勇者様の崇高な目的は理解できないのでしょう」


 燕雀安くんぞ鴻鵠の志を知らんや、か。それよりも話がある。


「ルシア。俺様は勇者だよな?」


「もちろんですとも。ユウシ様こそ真の勇者。ダンジョンに封印されている魔王を倒す英雄にあらせられます」


「にしては俺様に一銭も払っていないのは不敬じゃないか? 俺様は勇者だ。この国の全ての民が俺様に金を貢ぐべきだと思わないか」


「ああぁ……申し訳ありませんわ。勇者様。まさに仰る通りにございます。では大金を勇者様に捧げますわ」


「この城の……か?」


「いえ、この国と植民地の人間から税金を搾り取りましょう。勇者様召喚による、魔王討伐税とでも銘打って。国民一人につき銀貨一枚。植民地を含めると二百万人程度はいるので勇者様がご満足されるお金は集まると思いますわよ?」


「銀貨一枚がどれだけの値段になるのか分からないのだが」


「庶民の服一着。あるいは少し高価な食事程度ですわね」


 低く見積もって銀貨一枚を二千円と設定しても、二百万人から徴収すれば四十億。くくく、それは笑えるな。勇者として魔王を倒すだけで毎年四十億円に相当する金が俺様に入ってくるのだ。異世界に召喚されてつくづくよかったぜ。人生イージーモードすぎるだろ。聖剣を抜いた俺様は真の勇者。つまり俺様はこの世界の全てを握っているのだ。


「じゃあ早速広布しろ。魔王討伐税で国民から金を搾り取れ。俺様は豪遊したいんだ」


「承りましたわ。勇者様。それで。その。今日もお慈悲をくれませんか?」


 トロンと蕩けたような目で俺を見て頬を上気させるルシア。まったくコイツも王女というのに好き者だぜ。ま、都合よく抱くにはちょうどいいしな。なんたって俺様は勇者だ。この国民の美女は全員俺様が抱いてやる。人妻だろうが関係ないね。


「勇者様ぁ♡」


「可愛い奴だな。ルシアは」


 情熱的にキスをして、そうして肌を重ね合う。


「デブリアンの方はどうなった?」


「まだ捕捉できておりませんわ。ノーマルスキルとはいえピッキングのスキルホルダー。地下牢を抜けるのは念頭に置いておくべきでした」


「にしても兵士に見つからず城外に逃げられるか? 普通。ピッキングだけで」


 あのデブにそんな器用なことを求めるのは、セル討伐にサタンを採用するほどの無理ゲーだ。


「依然捕捉できず。申し訳ありません。見つけ次第処刑……ということでよろしいですか?」


「いや、アイツは元の世界では無法の限りを尽くしていてな」


「まぁ、あのデブがそんな悪いことを」


「だから思い知らせてやらないといけないんだよ。身柄を押さえたら俺に報告しろ。公開処刑して、その死体を晒してやらなければならないんだ」


「勇者様のお怒りを買うなんて、なんて愚かな豚なのでしょう……」


「まったくだ。頭を低くして生きていれば死ぬことはなかったのにな」


 今の俺様は年俸四十億の世界の救世主。対するアイツは親の会社の庇護も受けられない落ち武者だ。ブタらしく逃げ回っていればいい。それでも捕まえるけどな。命乞いするブタをギロチンで殺すまで俺様は決して満足しない。


「ではあのデブリアンの捜索を王都全域に広げますわ。軍警察にも号令をかけて探し出してみせます」


「ああ、頼むぞ」


 とりあえずは王族にいい顔をしておいた方がいいだろう。ルシアは積極的に俺様に抱かれたがるので扱いやすい事この上ないが。王様も公認しているらしい。


「ねぇ。勇者様。わたくしと婚約しますわよね?」


「まぁ……そうだな」


「わたくしがお父様から王位を授かったら、同位の地位まで勇者様を押し上げて差し上げますわよ」


「ほう?」


「この国も。植民地も。税金も。全て勇者様に捧げますわ。この国は富んでいますし、悪い話ではないと思いますが……」


「ああ、そうだな。それもいいな」


 この国の王か。王都を見る限りでは発展しているし。中世欧州的なイメージから言えば栄えている方だろう。となれば、そこの女王候補に婿入りすれば成功は約束されたようなモノ。


「いいぞ。ただし条件が一つ」


「なんでしょうか?」


「側室を大量に用意しろ。この城を俺様のハーレムにしてやる」


「わたくしを正室にしてくれるのですよね?」


「もちろんだ。お前を一番愛している」


 心にもないことを俺は言った。お前本人には欠片も興味が無い。俺が用があるのはフェイクリストという家名。王名にだけだ。ルシアが王女じゃなかったらヤリ捨てて終わりだ。少なくともそれが許されるだけの権利が俺様にはある。世界を救う勇者。魔王を討伐する勇者。誰も俺様に逆らえない。王様であろうと、魔王を討伐するためには俺様の御機嫌を窺う必要があるのだ。


 魔王討伐税。甘美な響きだ。まさに俺様に貢がれる金に相応しい税名と言えるだろう。


「勇者様ぁ♡」


 裸のまま俺様を抱きしめて、甘い息を吐くルシア。仕方ない相手してやるか。城のメイドたちも俺様が声をかければ断ることもできないし。結構可愛い女は居たんだよな。まずは城の美少女を食いまくって。英雄になったら国中の美女を食いまくってやる。俺様だけがそれを許される立場にあるのだから。英雄色を好むって奴だ。


 一つ不快があるとすればデブリアン……レイトの居場所が掴めないことだ。あんなデブが街中歩いていればすぐ見つかりそうなものだが。何か変装でもしているのか。でもデブを見かけたらとりあえず牢獄に入れろと入ってあるしな。ま、時間の問題か。元の世界の俺様の恋人を地獄に堕としたのだ。サラ金業社の息子なんて死ねばいいんだよ。何の生産性もない社会に貢献できない仕事だ。反社といっても過言ではない。


「あ♡ あ♡ あ♡ 勇者様ぁ♡ 気持ちいいです」


「ルシアの中も気持ちいいぞ」


 王女すらも俺様に媚びを売ってご機嫌伺いをしてくる。そのことに征服欲を覚えてしまう。この国は既に俺様のモノ。誰が抗議しようと俺様のモノだ。ルシアが王権を継承して、俺様と結婚すれば、俺様は一国の王になれる。しかも魔王を討伐した英雄として。


 この世界の全てを掴むのももしかしたら可能かもしれないな。国の軍すら俺様のモノだから、そこに魔王を倒せる俺様が指揮を取れば隣国も隷属させられるだろう。植民地を増やす絶好の機会だ。そうして大陸を征服して、この世界に俺様の名を刻んでやる。英雄ユウシ・ヤサマという名をな!


「ルシアッ! いくぞ!」


「はい♡ 来てください勇者様♡ この国を支配するわたくしを支配するのが勇者様ですわ」


「くくっ。そうだな。もうこの国でも俺様に逆らえる奴はいないよな」


 そこでチラリと冒険者ギルドを思い出す。こっちの命令に従わなかった奴ら。いずれ後悔させてやる。俺様が厳選したパーティーで魔王を討伐した暁にはギルドマスターは縛り首だな。俺様を不快にさせた人間は全員死ねばいい。


「勇者様。もう少しお待ちを。勇者様に大金を差し上げますので」


「俺様はあまり気の長い方じゃないぞ。早めに魔王討伐税を交付するんだな。金だ。金が欲しいんだよ」


 そうして女を犯して、美食を楽しんで、酒を飲む。ここではそれが叶う。もう俺様より上なんて存在しないのだから。


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