感情の発露
自分たちの事は自分で伝えにくいだろうから、助かった。
「ええと……、まずおじいさんはかつて奥さんや、若くして亡くなった子供さんと暮らしたあの家から離れたくなかった。そして風香ちゃんと空くんはお母さんが亡くなってから、疎遠だったおじさんの家に引き取られたけど、もとのお母さんとの3人の生活が忘れられなくて家出した。それで……、一応はおじさんの所に戻るつもりはあった。けど帰るのにためらってさまよう間にあの場所に迷い込んだ。つまり――、おじいさんはあの屋敷への思いからそのままそこにいたかった、2人は今の現実からの逃避でそこに行った……と思います」
「ふむ。置かれた状況からも自然な感情の発露だと理解できる」
「そうだよね。ずっとあそこにいたくなるかも」
そう会話に入ってきた海くん。いつの間にか大人化していた、屋敷から出た時以来だ。
成長したかっこいい海くんと目線が同じになるので、隣にいるとちょっとドキッとする。
上はそこまで派手じゃないボーダー柄で、暑さの影響もあって半ズボンの格好もハーフパンツのようでそこまで違和感はなかった。
「この子にも思考力を上げてもらって協力を仰ぎたい。肉体を成長させると精神もそれにより高度化する」
私も海くんもこの姿の変化にはあまり動じなくなってきた。
「それで……あのー、そこでの生活はみんな楽しい部分とか癒される部分もあって良かったようですけど、でも年長者であるおじいさんがこのままではいけない、子供たちを学校に行かせて社会に触れさせければと後悔し始めて、それで空くんは――」
話しながら伝えようとしていた内容が整理されていく感じがする。
「結果的に家出してしまったことへの反省と、それにおじいさんの考えと同じような思いも出てきたと思います。しっかりした子でしたし、今だけでなく将来的なことも考えていてもおかしくないです」




