3人の意思
では風香ちゃんは――? そんな未来のことを想像していただろうか?
「風香ちゃんもね、気にしてたよ」
海くんはしっかりと、自分の言葉で話し始めた。
「貧乏だったから、ママは嫌がってたしみんなから心配されてたけど、ママがいたから幸せでね。でもねママがいなくなっちゃったから。ママがいないのはいや、悲しいのって」
前にも思ったけど、海くんが大きくなって成長しているのは身体だけじゃなく頭もだろうか。当然知識と経験は足りないけれど。
「それでね……、自分だけじゃなくてお兄ちゃん――空お兄ちゃんもそんなには泣かないけど悲しそうにしてるから、それもいやだから笑っておこうって。それにおじいちゃんも空お兄ちゃんも、あんまりよく分かってなかったけど将来の話とか元に戻って学校に言った方がいいって話とかも聞いてて、いつか戻りたいなって思ってたんだって」
「ありがとね。すごく参考になったよ。さすが海くん!」
「へへー」
海くんのちょっとはにかんだ嬉しそうな笑顔は、心どころか魂まで癒される。
「なので先ほどの続きですが、風香ちゃんもこのままではいけないとの考えを持っていました。そして最終的には風香ちゃんはママとおじいさんの期待に応えて安心させたいと、空くんにも笑っていてほしいと。空くんもママとおじいさんの期待に応えようとする気持ちと、それに風香ちゃんが幸せになってほしいと。おじいさんはおじいさんで、真野さんに伝えてくれたように二人の将来のことを考えて――恐らく死期が近くなっているのを悟って私たちが来る直前に、せめて二人だけでも屋敷の外に出してあげたいとの気持ちがとても大きくなったのだと思います」
つまり――あの3人は自分のために逃避し、他人のために向き合おうとした。




