入団試験2
カイン 30歳 異世界転移済み。コック。 アマチュアサイコメトラー メイス,くない
イナホ 白狐 行方不明 稲荷神
ショーン きのこの精霊
アベル 聖教国ロウ白狼騎士団 異世界転移者
デュラン 聖教国ロウ黒龍騎士団
ミレイ 聖教国ロウ黒龍騎士団
メルル 聖教国ロウ黒龍騎士団
「メルル様、あの左手から二人目が先日ご報告しました転移者です」
「さようか。なかなか面白そうなやつよの。肩口に精霊までつけておるではないか。」
「はい。お気に召して頂ければこちらまで足を運んで頂いたかいがあります。」
黒色の鎧を着た集団の最前列にいる二人の女性が闘技場を見据える。
一方、白色に輝く騎士団からも熱い眼差しを向ける騎士。
数多いる観客の中から様々な視線が投げかけられる中、騎士入団試験は始まろうとしていた。
内容は身体テストと、魔物討伐テストだ。
まず、身体テストだが白狼騎士団のアベルが合格した理由がわかる気がした。
身体テストの内容は
・握力
・反復横飛び
・40m走
・20mシャトルラン (往復持久走)
・上体起こし(連続腹筋)
・砲丸投げ
・樽投げ
・立ち幅跳び
・長座体前屈
なんか懐かしい演目に心が踊る。
にしてもこの演目は元の世界のメニューにあまりに似ているため、騎士団の関係者にも転生もしくは転移者が絡んでいると思われる。
入団希望者は順々に各テストを進めていく。
半径25m程度しかない円形のこのコロッセオでは各項目を1種ずつしかこなす事ができない。
そのため観客の目線が集中し、無駄に緊張感の走る身体テストになり、元の世界の中学・高校でやるそれとは、異なる空気感がありそうだ。
さて、俺達は一列に並ばされ
まずは握力テストからすることになる。
が、いきなり異世界の洗礼を受けた。
まず俺達に渡されたのは一本のきゅうり。
握り潰せということのようだ。
いやっ全員できるでしょ!?
ってか異世界の握力測定はそんな方法!?
と思っていたが案外難しかった。気になる人はぜひ試してほしい……。
続いてオレンジが渡された。
みかんなら余裕だったろうが、オレンジは何気に皮が厚い。
いけるかどうか不安になりつつだが、
俺は何とか握り潰せた。
この時点で昨日気になっていたオバちゃんは脱落。あと呪術師のような男もここで脱落。
元の世界でもオレンジの握りつぶしなんかやった事ないが、握り潰すくらいなら普通に皮向いて食べるべきだと感じた。
絞り出た100%オレンジジュースをなめながら、リンゴが渡された時点でもう俺の限界が目に見えた……
レベル上がりすぎ!?
ってか、ふるい分け方ザツじゃねぇ?
この時点で脱落しなさそうなのは、筋骨隆々のあの長身の兄ちゃんくらいでしょ!?
そして……
「それでは、はじめっ!」
ふんっ!バシュゥ。
え?なんだこれ?
俺なんか強くなってない!?
周りをみながら100%天然リンゴジュースを舐めていると他の入団者はやはり苦戦中だった。
さっきの筋骨隆々長身の兄ちゃんと俺だけがクリアしていた。
あれ?やっぱこれ夢じゃないよね……
「シ、ショーン?なんで俺これできたと思う?」
「宿主様ならできるッスよ。
毎日筋トレとかやってるじゃないッスか!」
確かにこっちにきてから毎日筋トレしているが食べ物がいいのか、筋肉がつく効率がいいみたいで今は腕立て100回くらいまで普通にできるようになっている……。
俺、実はアスリートの素質あった?とほくそ笑んでると……
「宿主様。自分はイナホ様から宿主様を強くするように指示受けて寄生してるッス。宿主様はきのこの力でビタミンBを無意識に補填してるッスから肉食えば筋肉がつきやすくなってるッス。
もし、今の身体を感謝したいなら、きのこを拝むべきッス。」
き、きのこすっげー。
ってか今の話だと、俺はビタミンBが自分で作れるようになったってことか……。
最近肌艶イイのもそれかな!
イナホに感謝だ!
4番の長身、筋骨隆々の男と
7番の俺にだけ、次の果物が渡された。
ドリアンみたいな果物……周りもトゲトゲしている。きっと中身は臭いんだろう。
なんだろう……騎士団への忠誠心でも見てんのかなぁ?取りあえず"本気"でやらないとまずい空気感だな。
俺は迷わず"本気"を出した。
ウゴの村でギースに見せてもらった気功を駆使した硬功をイメージしながらドリアンを握った。
フン!ザクザク
バシュッ!オオッ!
できた!硬功が、できたかはわからんが取りあえず気を集中させるイメージを使えばできた!
戦闘中とか、他にも神経を使わないといけない状況ではできないがこれならイケる!
俺は手についたドリアン100%ジュースを……舐めずに素早く拭って、潰したドリアを係員に返す。
返す時、露骨に嫌そうな顔されたがそれならこんなもん出すなよな。
どうやらこれを潰したのは俺だけだったようだ。他の参加者からも畏敬の視線を感じる。
いや、この距離を感じる視線は畏敬というよりなんか別の意味で引いた目線かもしれない……
とりあえずそんなこと意識してもしかたないのでスルー。
その後、鉄塊を渡されて俺の心も折れ、なす術もなく、ここで全員が終了した。
鉄塊持たせて何望んでたんだ……。
「メルル様、ご覧頂けましたか?
あの7番の男、今までデュランしかなし得なかったドリアン割りもやってのけました。」
「ふふ。なかなかの気の扱いにたけておる。なかなかイイ男よな。
しかもあのキノコドリアは手にした時から中身を軟化させるような何かを施しておった。
ヤツは面白い。なんとか妾の軍門へ降らせよ」
「はっ!」
黒龍騎士団 騎士団長 龍眼のメルルは配下の影に指示し、影は返事だけして音もなく姿を消した。
次は反復横飛びだ。
ここ数日やたら歩いてるからこのテストも大丈夫だろう。
俺達はまた一列に並ぶ……
さっきと同じ番号順に並べられる。
あまりに番号で呼ばれるから他のメンツの番号も覚えてしまった。
1番 狩人みたいな雰囲気をした兄ちゃん
2番 オバちゃん
3番 呪術師
4番 長身の筋骨隆々のあんちゃん
5番 ビキニアーマーガール
6番 カンフー使いっぽい兄ちゃん
7番 おれ。
8番 冴えない普通の兄ちゃん
こんなメンツが今回の入団希望者だ。
「それでは只今から20秒間で何往復できるかを測定します。
よーい、はじめっ!」
シュタタタタタタッ!
俺達は一斉に自分達の全力の敏捷性を披露する。
が一際目を引くのは番号順に並んだ最後列!冴えないお兄さん!
スタタタタタタタッ!
えっ!?俺の後ろの人が見えてないけどすごい足音立ててる!
冴えないと思ってたけど、コイツ認識阻害のアサシン特性か!?
「止めっ!」
結果。敏捷性は
8番がダントツ早く、次に1番と6番、その次が俺という結果になった。
ま、ボチボチだな。
俺もまだまだか……。
続いて40m走。
闘技場の端から端を直線で走り抜ける。
さっきからサクサクと種目が進む、こんなもん見るために観客集めるとか、この街のヤツは暇人ばっかか?
入団希望者は一列に並んだ。
「位置について、よーい、始めッ!」
ズタタタタタッ
この場合よーいドンとか、よーいスタートじゃないのに違和感を覚えつつゴール。
残念ながら一着は3番 呪術師
ヤツは走らず、飛んでいた。むちゃくちゃだな……。舞空術ってなんの修行したら見につくんだよ……。
二着は8番 アサシン。
三着は5番 筋骨隆々。
俺はくしくも四着。
「ふふふ。今年はホンにオモシロイ。」
「メルル様、ここまで粒揃いで見応えがありますね。
7番だけでなく、他のものはいかが致しましょう。」
「ミレイよ。出る杭は伸ばしがいもあるぞ。各項目で抜きん出たもの全てこの黒龍騎士団に招こう」
「かしこまりました。善処致します」
一方、白狼騎士団でも、
「カインさんもなかなかやるなぁ。ますます一緒に働きたくなってきたなぁ。
団長!7番の彼は私と同郷。必ずや我らの力になるよう導きます。
どうか、7番の彼らを白狼騎士団へお誘いください」
また赤鳳騎士団では
「3番と8番は我が赤鳳へ招け。彼らは即戦力となる」
「はっ!親方様の御意のままに!」
それぞれがそれぞれの想いのままに……。




