入国
カイン 30歳 異世界転移済み。コック。 アマチュアサイコメトラー メイス,くない
イナホ 白狐(美女) ボクっ娘 神
ショーン きのこの精霊
モモス 聖教国ロウ行きのキャラバン隊長
アベル 聖教国ロウ白狼騎士団 異世界転移者
ニイナ 愛娘。高位治療術師 聖ニノ?
「ショーン。あのアベルってカッコよくねぇ?
そうだよなぁ……異世界転移したらやっぱあぁいう風にならないとだよなぁ」
「ん?宿主様、なんとなくイメージ伝わってきてますけど、どういう風っスか?」
「そりゃもぉ、異世界転移つったら騎士道じゃん?あれでお姫様も超美人とかだったら激アツキタコレですよ」
「別に宿主様でもなれるんじゃないッスか?」
「まぁ、俺もこれからだしな。ニイナと会えて安心できるようになったら騎士団に入るのもありよね」
「宿主様はえらく騎士団に入るのも簡単そうに言うッスけど、騎士団はギルドと違うッスから、そんな安易にはいかないかもッスよ」
ま、そういうもんか。
俺はテントの片付けをしながらショーンと他愛もない話をしていた。
今日、いよいよ聖教国ロウへ入国する。
アベルの話もワクワクするが、こっちの方が、期待感が高い。
やっとニイナに会えるかもしれないんだ!
10日間も会話ができていない現状に何度気が狂いそうになったことか………。
まずはせっかくお近づきになったアベルに高位治療術士という職務について色々と話を聞かないといけない。
モモスさんのいつもの朝礼を終え、いざ聖教国ロウへ向けて出発する。
モモスさんの前を白狼騎士団が先導してくれていた。
昨日のアンデット騒ぎで駆けつけてくれたのは4名の騎士。2人が前に立っているが1人はアベル、もう1人は金髪のお姉さんだ。
眼光鋭くてアベルに話しかけるのも気が引ける……。
あとアベルに話しかけづらい状況を作ってるのはあの馬だ。
8本足のスネイフニルと言うらしい。
ホント威圧感が半端ない……。
足が8本あるだけに胴体も大きくても問題ないせいかやたら図体もデカい。
戦場で槍を構えて戦っても槍が折れるんじゃねぇかな?
とにかく正面からは迎え撃ちたくない相手だ。
軍馬の中でもいわゆる戦馬だ。
きっと早さも相当なんだろうな……。
性格も荒いのかなぁ……。噛みつかれたりしそう。
人を踏みつけるのに快感を覚えるタイプなんだろうな……。
前世はきっと女王様。ちょっと勝手に嫌悪感だ。
ギロッ
え?この馬も心読めんの?
もぅこの世界反則だなぁ……。
「単純に宿主様が言葉を発せずともわかりやすいのに原因があるッスよ……」
そ、そうか……。
−−−−−−−−−−
昨夜、キャラバンの全員が寝不足になったこともあり、
聖教国ロウの手前で一度休憩を挟むことになった。
俺はこのタイミングしかアベルに声をかけれそうになかったので、意を決して話しかけることにした。
「ハハハハハ。カインさん。
そんなに固まらなくともいいですよ。
こっちの世界で数少ない同士なんですし、仲良くやりましょうよ」
「そ、そう言ってもらえるとありがたいことこの上ないな。
実は聞きたいことがあるんだ」
「ふふ。私で分かることでしたらお答えしますよ」
「ありがとう。たすかる!
えっと……まず聖教国ロウってのはアベルのとこみたいな騎士団はたくさんあるのか?」
「そうですね。騎士団は3つ存在します。
・白狼騎士団
・赤鳳騎士団
・黒龍騎士団
それぞれが公爵家のお抱えの騎士団になり、聖教国ロウは神王が治める国家です。
神王の血族からなる公爵家同士が自分たちの地位を競い合って
国を良くするように動いるんですが、
その手足となって動くのが我々のような騎士団に所属する者たちというわけです。
どうも水辺ではアンデットが発生しやすいということもあり、
この辺りの巡回は我々騎士団の使命の一つなんですよ。」
「だから、あんなすぐに対応できたのか、
あん時はホント助かったよ。合点がいった。
あと、合わせて聞きたかったことがあるんだが、
高位治療術師ってどんな人達なんだ?
俺は以前ウゴの村に治療に来てもらったことがあって、
ちょっと会いにいきたいんだが……」
「あの人たちは神王直属の部隊ですね。
神のご意思によって身体の不調を治す御業を修練した人達です。
聖教国ロウの中でも直接面会することは容易ではなく
王城でも神聖な区画へ行かないと会えないと思います。
そもそも王城ですら騎士団も選ばれたものしか入れないのが実情ですし、会うのはちょっと難しいと思いますよ」
ハ、ハードル高っ!なんつう特権階級にまで登り詰めたんだ?!
自分の娘がそこまで出世したのは嬉しいことこの上ないが会うのも難しいとか……。
「まぁそうは言いますけど、高位治療術師達は実のところ、
なぜか美男美女が異常に多いんです。
それ故に高嶺の花たるあの職責の方に近づきたがる人も多い。
かく言う私もその一人なんでなんとか、
お近づきになれるタイミングを狙うばかりですけどね。」
ふむ。美男美女揃いのところに娘が選出されるのはまた一段と嬉しい。なんか褒め殺しされてる気分だ。
「逆に近づけるタイミングは具体的に何かあるのか?」
「そうですね……お目当ての方に出会える可能性は低いものの、
騎士団同士で技を競い合う武芸大会の救護には常々高位治療術師が出てこられます。
そこから知り合いを広げるのがいいかと考えてます。
知り合ったところで文通からですが……」
「なかなかに遠回りだな。
でも、難しい恋なんていつもそんなもんだし……いいと思う。
頑張れよ!若者!」
「ふふ。ありがとうございます!
愛しの聖ニノに会うため、私はこれからも武芸に励みます」
「え?今なんて?」
「?これからも武芸に励みます。ですか?」
「いやそこじゃない。誰って言った?」
「聖ニノですか?彼女は私の推しメンなんです」
ア、アイドルみたいな言い方するなよ。
まぁ、でも歌わないこの世界のアイドルみたいなもんか。
でも、アベルと上手に付き合ってるとニイナに会えるかもしれねぇのか。いいこと聞いたな。
でももう一つ聞きたいことが出てきた。
「アベル?もう一つ聞きたいんだが、転移したアベルが騎士団に入れたのはどうやったんだ?コネとかも何もないだろ?」
「あー簡単ですよ。入団試験受けただけです」
「そ、そういうもんか。なるほど。
入団試験ってのはどうやって受けれるんだ?」
「酒場とかに張り紙出てるんで聖教国ロウに入ったら一度探してみて下さい。
身体が資本な騎士団は慢性的に人手不足なんで、おそらくいつでも貼っていると思いますよ。カインさんも騎士団に?」
「おう。ちょっとワケアリでな」
「そうですか。もしよかったら白狼騎士団へおいでくださいね。
私もいますし転移者同士仲良くやれることを願ってますよ。」
「ふっ。わかったよ。
ならまた入国したらどこかで会おうな!」
俺達はその後、休憩を終えて、
無事に聖教国ロウに入国することができた。
やっとニイナに近づいてきた……。
きっといい待遇で今生活してるだろうが、
父親である俺の事は一生会えないと思ってるんじゃないだろうか。
そんなニイナに顔見せだけでもしたい。
そして、いつでも力になるとそれだけ、
それだけを伝えることが俺の生きがいだ。
もうすぐ、もうすぐだからな……




