サバイバル 6
カイン 30歳 異世界転移済み。コック。
アマチュアサイコメトラー メイス,くない
イナホ 狐+美女 ボクっ娘 神
ショーン きのこの精霊
モモス 聖教国ロウ行きのキャラバン隊長
ガイ ウゴの村出身、自衛団隊員
キャラバン護衛任務中
俺は色々頭ん中でぐるぐる考えながら無言で行軍を続けている。
「カインさん?どうかされましたか?思いつめた様子に見受けますが……」
「あ、モモスさん、気にしないでください。ちょっと夕飯の献立のことを考えてたんで」
「そうですか。昼食は美味しかった。今回、カインさん達がいて本当に助かっています。
今晩はテントの設営等もあるので、聖教国ロウの領地に入る前の早めに行軍を終えますので夕飯の準備の時間はある程度取れそうですからね」
「わかりました。ありがとうございます」
ワイルドドッグの調理も俺が担当するのかな……?
やっぱ気が進まない。
俺達の命を狙った魔物だ!と割り切って食材にもできるかもしれないが、さっきガイが、抱えてたのを見ると普通にイヌだった。
イナホが前に、人間は自分達の都合で命を簡単に刈り取っていくとか話してたけど、
イヌに対してだけこういう考えに到るのはエゴとか、大きな勘違いなんだろうな……。
もんもんと考えながら歩いたが考えても始まらないので今日の野営ポイントに到着する頃には気持もだいぶ落ち着いていた。
今日のポイントは川を離れ、街道っぽいところの脇にある木が集まっている林の中だ。
小さいが湧き水が出ているようで、ここで水を得れるようにこのポイントにしてるそうだ。
着いて早々だが、まずはテント設営から始める。
必要なものは各々のテントを。
共用テントを使うものは共用テントを建てることから取り掛かる。
「カインさん。今日の調理はこの辺りでいいですか?」
共用テントのすぐ脇で他のテントからも来やすい場所にモモスさんが石を重ねて網を置いた特設コンロを作ってくれた。
「モモスさん。ありがとうございます。
じゃあ、自分達のテントも建て終わったのでこれから取り掛かりますね」
まだ夕暮れだが、なれない外での料理は時間を使いそうだ。俺は早々に準備に取り掛かる。
本日我々がいただくのは……
・アリゲーターの軟骨を使ったチャーハン
・アリゲーターの骨を使ったスープ
・タロイモの煮物
・ ワイルドドックを使った何か
これでいく。
「モモスさん。
あの……俺ワイルドドックはやったことないのとアリゲーターの処理で手一杯で……
こっちの調理はお願いできますか?」
「あぁ。もちろんだ。昼の料理も美味しかったから夕食も期待しているよ」
満面の笑みでお願いされた。
イヌは料理したくないのですいません!
っと心の中で叫びながらお辞儀する。
「じゃあカイン。ボクはこの辺に生えてる使えそうな植物仕入れてくるよ」
「あ、それ嬉しいな!できるだけカラフルなやつ頼むわ!あればだけど……」
人参とか、ミニトマトとか、何か赤いのがあれば嬉しいな……。イナホだからなんとかしてくれるだろう。
よしっ!じゃあ俺の方もやるか!
昼間の調理でなんとなくアリゲーターの骨格や使えそうなところは分かるから早速取り掛かる。
ちなみに内臓は昼の時点ですべて捨ててあるから今ある肉は傷んでないと思う。
……ニオイも普通だ。
夕食の手伝いに来た有志の料理当番のおばちゃんに火で湯を沸かすようにお願いして、湧いたら皮を剝いたイモを茹でるよう任せておく。
俺はアリゲーターの肉の部分と骨を分け、骨と骨をつなぐ関節をもぎ取る。
関節は一口大にしておいてチャーハン用に、骨は多少肉がついててもいいからイモを茹でた後の鍋にほりこむ。
茹で終わって取り出した子イモは
はちみつ、醤油、酒、みりん、水と一緒にあとで弱火で煮てもらうことにする。
直火だからわかりにくいが、火の中心からちょっと外した位置に鍋を置き、焦げないようイモを転がしといてもらう。
スープの中には親イモであろう部分を小さく切って入れ、ナーラから持ってきた日持ちする野菜の玉ねぎを刻んで入れる。
味付けはシンプルに塩を振って整え、最後に昼間使った香りの高い油で食欲をそそらせるように整える。
メインのチャーハンに取り掛かろうとした時、
「カイン!お待たせ!
パプリカみたいなのがあったから取ってきたよ!」
ナイス!
最高に良い食材をイナホから貰い受け、パプリカと玉ねぎを切って、
まずは軟骨を炒めて、野菜を加える。
その後もう固くなったナーラで炊いていた白メシを中華鍋に入れて、
酒とみりんと、骨のスープを少しだけ入れて味をつけつつ白メシをほぐし、醤油をさっと流し入れて完成だ。
チャーハンは中華鍋に入る分量の関係で、
2回作った。
何気に筋トレにもなった。
右手がぷるぷるしてる……
「モモスさーん!俺達の方はできましたよ!」
「おっ!そうか。こっちも出来上がったところだよ。キャラバンの皆を集めてきてくれるかい?」
皆を集めるように言われたものの、テント内にいた人はごく僅かで殆どの人が、この料理の香りにつられて、特設コンロの近くに集まっていた。
「皆さん集まりましたかな?本日も無事に予定のポイントに到着しました。まずは夕食を頂きましょう!
本日の夕食も豪華ですっ!カインさんに感謝を。」
パチパチパチパチッ
盛大に拍手されながら、今日整えた夕食を改めて眺める。
チャーハンはパプリカの色もあって色も鮮やかにもられ、香ばしい香りが食欲をそそる。
スープはイモの粘性で少しとろみがつき、香油の香りと暖かいぬくもりが疲れた身体を癒やすことだろう。
イモの煮っころがしも、どこで作っても素朴な旨さを放つ一品として付け合わせとして整った。
(火加減もバッチリ。おばちゃんナイス!)
そして、ワイルドドックは……
丸焼きだった。
俺はなるべくワイルドドックの方を見ないようにしながらそれぞれの料理を頂くことにした。
やっぱりイヌを食べるのはわかっているが俺には辛い……と思っていると
「カインさん。今晩もありがとう。
これはただの丸焼きですけどスパイスも塗り込みましたのでどうぞ。」
モモスさんが笑顔で切り分けた丸焼きを俺の前に置いていってくれた。
食べないわけにはいかないので……食べる。
スペアリブみたいで美味しかった。
でも心はいたたまれなかった。
「カイン?思い詰めてるね?」
………。
「イナホ様!宿主様ってば、イヌのこと考えるといつもこんなッス。」
「ショーン。
彼も色々思うところがあるんだよ。今はそっとしておいたげて。
カイン。
もうボクが言いたいことはわかってると思うけど1つだけ伝えておくね。
あのね、メンタルブロックって知ってる?
心の中で、"ダメだ。"、"できない"って思っている固定観念にとらわれて前に進めないことだよ。
色んな地域で育まれる文化は人生を彩ったりする素敵なものだと思う。
けれど、逆に固定観念というもので生むこともあると思うんだ。
固定観念というものに囚われないで自分の選択を取っていくのは本当に悪いことなのかはわからない。
その固定観念が間違っている可能性もあるんだ。
もし、キミが食べることを悔いて生きることを諦めるくらいなら、キミがたべることで背負う罪のそれを凌駕できるような徳を積むべきだとボクは思うな。
人の生というのは、飢餓で死ぬためにあるわけじゃないと思うんだよ……。
命を紡ぐために命を狩るなら、その狩った命の分まで誇れるような生き方をすればいい。そう思うよ」
「……イナホ、ありがとう」
俺はそれを言うのが精いっぱいだった。
アォォォォーーーン!
気持ちがぐちゃぐちゃになっている中で遠くで遠吠えが聞こえる……。
まるでこのワイルドドックの弔いに来たようなタイミングだ。
キャラバンの人達がソワソワしている……
モモスさんは食事に使った火をもっと強くするように薪を焚べる。
ガイは自分の武具に手をかけ辺りを警戒している。
俺は倒れた丸太に座り込んで、食い物の皿を見たまま魂が抜けたように座っている。
「大丈夫。すぐ襲ってくるわけじゃないよ。
あと、弔いと思うかもしれないけれど、キミにはキミがやるべきことがあるんじゃないの?
キミが死ねば悲しむ人もいるんだよ?
キミは生きなくちゃいけない。
カイン。一度考えることをやめて、
ゆっくり深呼吸して1分間だけ瞑想してみて。」
……俺はイナホに言われるがまま、深呼吸して瞑想に入った。
一度考えを停止しよう。
そしてやるべきことを考えよう……。
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