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巣立ち

カイン 主人公30歳 異世界転移済み。

    イナホによる瞑想特訓中

イナホ 狐+美女 ボクっ娘 神

ギース ベテランハンター ランク銅

シルビア ギースの婚約者 記憶喪失復帰直後

メイリン ギルド兼酒場スタッフ


ズーーーン。


俺は今、酒場で凹んでいる。


今日に限ってギースはいない。


「カインさぁー。そんなに沈まないでよキミはいいことしたと思うよ。

遺体がないお葬式ほど悲しいモノはないと思うしさ」


このいたたまれない心をイナホに全力フォローされながらカウンターで純米酒を頂く。

なんか泣き上戸でなくとも泣けてくる。


「イナホはさぁー、死を超越してるからそうでもないかもしれないけど、俺の世界は"死"なんてゲームやラノベの世界でしか接しないからこういうの慣れてないんよ」


「ふーん。

でも考え方を変えたらそれだけ無意識化で命をいっぱい奪ってきたんだから、せっかくだからそういうことも見つめ直したら?

人は生きていくこと、食べていくことで罪を生むんだよ?」


むぅー。

今はあまり聞きたくない話だぁ……。


結局昨日の依頼の遭難者は遺体で家に返すことになり、その時の家族の悲痛な叫びが今でも耳から離れない。


「あのギルドで依頼されたものですが、残念ながらトムさんはもぅ……

これが……ご遺体です」


「へ?あ……?いや………

 パパァァァーーーッッッ!!

 イヤァーーー。あああーーーんッ!」


あのトムさんの娘さんがニイナとダブってなんかめちゃくちゃ辛かった……。


なんか、こういうことがあるとニイナに更に会いたくなる。


会いたいよぉ……。

会って"ぎゅぅタイム"したい……。


「なぁー。イナホ……。

そろそろこの村を出ようかと思ってんだけど、どう思う?」


「うーん。そうだね。ボクは交友関係が広がることはいい事だと思うから全然いいと思うよ。どこに行くの?やっぱり娘さんとこ?」 


「あぁ。聖教国ロウだったか?そこに行こうと思ってる。」


「いつ行くの?」


「これ以上長居しちまうとドンドン情が深くなるしな。出るなら早めかな」


「わかった。ギースとかはどうする?」


「シルビアさんとあんな仲だろ?もうお別れだ。残念だけど、シルビアさん居るのに連れ出すなんてこともできない。」


「そりゃそうだね。わかったよ。」


「メイリンさーん。純米酒2 追加で。メイリンさんの好きな飲み物1杯一緒に持ってきてくださーい。」


「はいっ!喜んでぇー!」


あいかわらずメイリンさんは元気がいい。

思えばたった一週間くらいだったけど怒涛の毎日だった。

元々企業戦士だった俺はこの程度でへこたれないが、精神揺さぶるようなできごとの連続でちとハードモードだったかな。


これからもハードモード続くのかな……。


「はいっ!純米酒と私の好きなテキーラちゃん頂きまっす!」


あれ?こっちの世界テキーラまであんの?


「はいっ!じゃあ、」

「「カンパーーーイ」」

「くううぅぅぅーー!美味しっ!ありがとね。で、急に奢りってどうしたの?なんか聞いてほしいことでもあったの?」


「実はですね。

俺たち、この村を出ようかと思ってるんです。」


「うーん。そっか。まぁでもまたどっかで会えるよ!」


へ?お別れ、かるっ!?


「あ、あのメイリンさん?そ、そんなに軽いですか?」


「え?いや、だってさ、私ギルドの受付もやってるんだよ?別れが怖くてなんて仕事出来ないわ。

人それぞれ人生大切にするものがあるでしょ?私達はそれを尊重するの。

これって実はギルドで1番最初に習うことなんだぁ。ギルドは色んな過去持ってる人も来るから。

それに……永遠の別れもあるし」


「そ、それは……」


「もぉー、皆まで言わさないで。殉職よ」


やっぱり。


「どんな時でも悔いの残らないように精一杯の対応をすることが私達には大切なことなのよ」


「へぇー。ギルド作った人ってなんか偉いんだろうなぁ。立派な思想ですね」


「まぁ、ギルド職員としてありがたく受け取っておくわ」


「あ!メイリンさん。1つだけ聞いていいですか?聖教国ロウってどんな国ですか?」


「うん?なんで?あんまりいいことないと思うけど」


「実は前にも言いましたが俺は娘を探しにこの世界に来てました。

その娘がその国にいるかもしれないんです」


「え?なんでそんなことがわかるの?」


「いやっ、この前のシルビアさんの治療した治癒師がニイナの可能性があって……」


「何それ?ホントなの?」


「うん?ボクに話題振っても一緒だよ。

カインがそう思って、探しに行きたいならボクはそれについていってあげるだけだからね」


イナホの発言が地味に嬉しい……。


「だから、聖教国ロウに行きたくて情報が欲しいんです」


「そう、わかったわ。

 あの国はね。寄附で成り立ってる国よ。あの国からは聖人が出続けて、神がかりな治療ができるのよ。だから、困った人はあの国に頼るの。孤児も集めているし、負傷者も集めている。食べ物は農業国家イシカから大量に仕入れてる。この世界の社会の仕組みに欠かせない国よ。」


「そうなんですか。だから、治癒師の派遣をやってるんですね。わかりました。

人を受け入れてるような仕組みに聞こえますが入国とかも問題ないんですかね?」


「そうね。カインくんギルドの登録もあるからいいと思うよ。たぶん、その輪っかがあっても大丈夫なんじゃない?」


「そうですか。わかりました。

ありがとうございます。明日、宿の精算とか色々したいのでまた指輪の換金にも来ますね」


「え?カインくんまだ指輪持ってるの?!

スゴいね。家でも買えるんじゃないの?

じゃあ明日また待ってるね。テキーラご馳走さまっ!」


今日も清々しいメイリンさんだった。

順調に情報も集まったし、明日出発しようかな。


俺の最初の異世界の村、ウゴ。

ありがとう。



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