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料理男子

カイン 異世界転移済み主人公

 現在、顔面包帯男。子煩悩。

イナホ カインと仲良し神様 天狐

聖ニノ カインの最愛の娘ニイナ?

メイリン ギルド兼酒場 スタッフ

ソルデ  ギルド兼酒場 スタッフ

マスター 酒場のマスター


ジュッ!シャァァァァーー!!


俺は今、ギルド兼村営酒場で鍋を奮っている。

いつもここにいるはずのマスターは今、横で寝転んでいる。どうやら先日患ったぎっくり腰がクセになってきたらしい……。


メイリンに

「マスターがぎっくり腰になったのは、カインくんが顔面ズタボロでいきなり現れたあの日が発端なんだからね!責任とってよねっ!」

と言われた。

女性の「責任とってよね!」の、言葉に男は弱い。


先日の怪我をした目は聖ニノの治療のおかげで常にほんのり暖かく自然治癒が上がっている気がするが、まだ完治までしていない。

そのためギルドの依頼がこなせないのもあって暇を持て余していたので、言い逃れ出来ずメイリンの発言がきっかけでこうして鍋を振っている。


だが、そもそもこの世界の食生活について気になる点は多数あった。これも経験と前向きに捉え、マスターに色んなことを伝授してもらっているのだった。


この世界でよく使う調味料は、

塩、蜂蜜、しょうゆ、味噌、みりん、酒、麹、酢、しょうが、にんにく、ワサビ。あと納豆とかもあった。


料理の"さしすせそ"という代表的な調味料でないのは砂糖だけ。でも砂糖がない変わりに蜂蜜代用して料理を作っている。


酒を作る工程でみりんや麹が生まれ、麹を使って味噌と、しょうゆが生まれたような感じらしい。酢は酒の保存ミスからでた発見で開発されたそうな。

だいたいの調味料があるってことは、もとの世界のクック○ッド情報が存分に活かせそうだ。

趣味で週末クッキングしてて良かった。


これらの調味料を使ってここの酒場のメニューがつくられているがメインに来るのは煮物や焼物のようだった。

ほんとにもとの世界の居酒屋と大差がない。

誰か俺よりも前に同じように転移してきた人がいたんじゃないだろうか?


ちなみに、この前食べたラタトゥイユもどきはギースがこの店のイチオシって頼んだものだったが野菜を煮込んでブイヨン作って……とかなり手間暇かかってるようだった。


俺なら芋から片栗粉をつくって、唐揚げの甘酢あんかけくらいをイチオシ商品にして攻めたい。


なぜなら、どの料理にも共通するが、火の維持が面倒だからだ。長時間の調理は失敗のリスクと肉体的疲労もデメリットだ。


ただそのかわり直火故の遠赤外線効果で魔物の肉もキレイに火が通るのは嬉しい副産物のようにも感じた。


そうだ。この世界での発見として"魔物は食料になる!"というのがあった。


どうも、この世界の魔物と言われている存在は普通の野生動物が異能に目覚めた存在らしい。

人間も能力開花しやすいこの世界で、野生動物も能力開花した結果だそうだ。


魔物の能力開花で、人語を話す魔物も稀にいるそうだが、そういった存在に言わせると、「魔物が人間を襲う理由は総じて自然を荒らすのが人間だから。」という理由のようだった。


だから魔物を食ったからどうこうなるわけではなく、むしろ脂肪分が少なく引き締まった肉になるので、酒に漬け込んだりして柔らかくすれば魅力的な食感が楽しめるのでいい食材だ。


マスターから一通りのこの世界での料理スキルを学び取りこれから、この村を出た時の食に困らないようにしないといけない。


どうも、ぎっくり腰というのは発症から2-3日腰痛が続くらしいので、マスターが不在の今日、明日の厨房は俺がなんとかしないとな……。


ただ、前向きな思考は、客が入り出すまでのことだった……。



「カインくん!まだオーダーしたビッグボアの豚足できてないのっ!早くして。」


「カインさぁん!ポテトフライ柚子塩風味がぁー、ポテトフライにんにくしょうゆで出てきてまぁす。やり直しでぇーす」


「転移のぉー。悪いが背中かいてくれんかの?腰が痛くて手が回せんのじゃあ……」


「カインくん。今度は時間かかるオーダー来たよっ!丸々鳥の塩釜焼きよ。」


「カインさぁん。ポイズンスネークの毒抜きって終わってますかぁ?」


「カインくん!ちょっと何やってんのビッグボアの豚足が普通のボアの豚足になってるじゃないの!」

 

ってぇ!?

あぁぁぁああぁぁぁーーーっ!!


なんじゃぁーこの戦場はーー!


よっぽどギースと一緒に依頼やってた方が楽だわ!


この美人ウェイトレス二人組も、おれが経験値少ないのとか考慮なしか!?

赤鬼、青鬼にしか見えねぇーわっ!


しかもマスターじじぃ邪魔するなら厨房から出てけ!

しかも、しかもっ、自衛団の奴ら食い過ぎなんだよっ!

さっきからオーダー何個さばいたと思ってんだぁーー!


ぬぅぉおおおぉぉーー!!


−−−−−−−−−−


………閉店時間。


「お、終わった。」


「転移のぉ。今日はよくやったなぁ。閉店間際は注文がこないからって明日の仕込みも仕出しおってなかなか見込みがあるやつだのぉ」


「カインくんお疲れぇ。そうね。初めてにしては良かったんじゃない?ちゃんとさばけてたし」


「そぉですねぇー。私もいつものマスターがいる時と同じテンションでできましたよ」


「いやいや、メイリンさん、ソルデさん。ちょっと扱い雑すぎません?まぁ趣味で色々作ったことあるので調理方法はイメージできますけど、食材の名前も保管場所もよくわからない僕によくここ任せましたねぇ。」


「え?だってマスターいたでしょ?マスターも見てるなら大丈夫って思うわよ」


「いやいや、このじ……マスターは途中からうたた寝してましたからね」


「フォフォフォ。お主があんまりできるもんで任せてしもうたわ」


とんでもない1日だったがなんとかやってのけれた。ただこの地獄の厨房折檻は明日も続く、マスターが早く復帰することを願うばかりだ。


ちなみに今日間違えて受けたオーダー分で出した損失は俺の稼ぎから天引きになるが、この前の治療費と重なってかなりマイナスになってる気がする。

残念ながら、自称"宝石商"の肩書は早々になくなってしまいそうだ。


−−−−−−−−−−


怒涛な厨房業務を経て、

やっとの思いで自室に戻ったとき、

俺の疲れも吹っ飛ぶようなことが起こった。


ガチャッ


「ただいまぁー。…………え?ニ、ニイナ?」


「パパおかえり。お疲れ様。」


なんとっ!

昨日数分しか一緒に過ごせなかったが俺の世界で誰よりも大切な娘が目の前にいる!


昨日見た服装とそのままだが16歳とは思えない少し大人びた顔に真っ白なローブ。ある意味危険な身体へと成長してしまったニイナが今、目の前に!?


しかも、笑顔でおかえりって……泣ける。




ん?


……でも、本来ここにいるはずのもう一人。いや、もう一匹がこの部屋にいない。


「イナホ。お前だな。」


「あれ?ボク、今日の出来は完ぺきだと思ってたんだけどなぁ?」


「おまえっ!やっていいことと悪いことがあるわっ!ニイナに化けるのはやめてくれ。」


「えー。せっかく疲れて帰ってくるカインを元気づけたげようと思ったのにぃー。」


「あぁ。わかるよ。気持ちも痛いほどわかる。けど、おまえのニイナは完ぺきすぎだ。この村の連中がこぞっておまえを頼ってきても困るだろう。

それに、イナホがニイナと同じ治療ができなかったらニイナの評判も下がる。

気持ちは嬉しいが化けるにしても他のにしてくれ。」


「うーん。まぁそうだね。人化は得意だから他のにでもするよ」


「あぁ、ありがとう。でもなんでそんないきなり人化しだしたんだ?」


「うーん、ボクはさっきも言ったけど人化は得意だ。徳を積むにしても自分の得意を活かしつつ、いいことできないか?って思ってさ。人になりきって人の世を良くしていくのもいいかなって。

それに、今のこの白狐の姿だと、この前みたいな戦闘でキミの役にも立てない。

言っただろう?もう少し協力するって」


「え?そ、そんなこと思ってたのか。なんか、頭ごなしに否定して悪かったな」


「ううんー。いいんだよ。ボクも考えが浅かった。今この世にいる人に化けても誤解を、招く危険性もあるしね。今日の夜にカインの頭覗いてこっちにいないタイプの人になりきってみるよ」


「また大胆な。まぁ、俺は寝るけど勝手に覗いてくれんだよな?」


「うん。それでいいよ。明日楽しみにしておいて」


「ふふ。ほんとイナホ面白いこと思いつくな。期待しとくよ」


俺はそう言って就寝の準備に入った。

たぶん明日も日の出に起きるからさっさと寝たい。


明日はできたら、ギースやシルビアさんとも少し話しがしたいな。




砂糖の変わりに蜂蜜を使うとカロリーが低くなるそうです。

ただ、蜂蜜の方が甘さが強く、砂糖の分量割る1.3が目安だそうです。


蜂蜜は1歳未満の子供は食中毒になる恐れがありますので子育て中の方ご認識ください。

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