4 城にもぐりこむ
もぐりこんだはいいのだが・・・
フィージリアのお蔭で、城に入りこめたのはいいが。
さあ、ここからが問題だ。この広い城の中のどこに愛しの『紫の君』がいるのか。
そう、それが問題だ。
1つ、1つの扉を開けて確認していたら、夜が明けてしまう。
そこはやはり、城の者に聞くのが早いだろう。しかし、忍び込んでおいて、誰に聞けというのだ。
やれやれ、オレとした事が、『紫の君』に会いたいという思いが先走って、すっかりその辺の事を忘れていた。フィージリアの影響で、おつむが悪くなったのか?
『フィージリア効果で頭のよさが10さがった!』
恐るべしフィージリア効果!
フィージリア効果は、置いといて。うーん~どうしたものやら。
「なにをやってるのじゃ?」
うおーーーいきなり城のおかかえ魔法使いのゴトボルクに会っちゃったよ!
まだ忍び込んで10分ぐらいですけど。早くねえか?
「ほー何やら少したくましくなったようじゃな。」
「しーーしーー師匠!城にいるという事は、どうか、内密に!」
はあ、いきなりでくわしまったなあ。心臓に悪い。こんな調子じゃあ、これから何人に出くわすやら。
ゴトボルクは、城から出る前に魔法を教えてくれた言わば『師匠』だ。城のおかかえ魔法使いだけあって、豊富な知識や経験を持ち合わせたすげえ老人。
そうだ!
「あ!師匠!ひとつだけ教えてほしい事が!」
「なんじゃ?」
「あ。あのその、お披露目の優華と一緒に馬車に乗っていた美女はどこにいるか知りませんか?」
「美女?」
「ええ。美女です。」
「はて?すまんがわしは、お披露目には行ってないで、しらんのじゃ」
がっくし、頼みの綱が・・・。
これは『紫の君』を探し当てるのは、かなり難航しそうだ。
ゴトボルクは、あまり城から出ないし、聞いたオレがバカだった。
「ようわからんが、まあ元気でやってるようじゃな!」
撃沈したオレは、ゴトボルク師匠を見送り、相変わらず隠れながら、良い案はないものかと、頭を悩ませて、あーでもない。こーでもないと考えていた。
「一樹さん、探しました!ここにいたのですか?まだ精霊姫様は会場に来られてませんよ」
フィージリアは、大きな胸をたぷたぷさせて走りよってきた。それと、グリシンは似合わない神官見習いの服で、後からピッタリとついてきている。
服に服を着せられてるなあ。ガタイのいい神官って、似合わなすぎだろ。
精霊姫=優華にはまったく興味がないから、心配無用だ。会場に来ようと、来ないとどうでもいい。
それより『紫の君』だよ!
「えっと・・・唐突なんですが、何か、嫌な予感がするのですが、大司祭様は王様とおられますし、いったい城のどなたに伝えたらよいのか」
「はあ?予感っ?」
またおかしな事を言い始めたよ。本当に大司祭の付き人かよ。城にまで来て、変な事を言い出すとは。
「えっと、なんだか、よく分からないですけど、嫌な予感がするんです。私はこうゆうときは、すごく当たるんですよ!」
理由が、悪い予感がするという。不審者を見たとかならまだしもだ。そんな事言ったところで、城の誰が信じるというのだろうか。言ったところで、変人扱いされるのがオチだろう。
「うーん、嫌な予感だけで、城の奴に言ったところで、信じてもらえるかどうか」
「そんな場合じゃないんです!これはきっとよく分かりませんが、よくな・・・」
「おいおいーーーフィージリア!どこいくんだよーー」
オレとグリシンは顔を見合わせて、ふたりともため息をついた。
会話の途中で、突然歩き出して、何を考えているのやら。
彼女の思考についていけねえわ~。まじで。
「一樹、フィージリアの後を追うぞ」
まあ、ほっとく訳にいかないしさ。貴重な「癒し手」だしな。
しかし、オレは城のやつにみつかると、色々とややこしいからな。
『守り人』のシェルフトからもらった『姿を隠せる』マジックアイテムのマントをゴソゴソと出した。
『守り人』は4人いるが、唯一気の合ったシェルフト。おもしろい人物だ。
普段は、古の資料をあさって、色んな魔法の実験なんかを城でよくししている。実験で失敗したマジックアイテムを大量にかかえていた。大量にあった失敗作を捨てるって言うから、マジックバックに詰めてもらったのさ。
いくら失敗作と言えども、金を積んでも、手に入らない物がまじっている。それをタダで頂けるなんて、棚からボタモチ。ありがたく頂くことにした。
しかし~、このマジックアイテム、失敗作だからと、タダでもらっておいて、文句は言えないけどさ。
1日10分っていう制限つきで、しかもアイテムをつけると、半端ない足の臭い匂いを嗅ぎつづけなければいけないという副作用付き!
まじ、あんま使いたくないだなコレ。
姿は隠せるけど、副作用がでかすぎて、切羽詰まった場面でしか使いたくない代物。
仕方なく、オレとグリシンは、マントをかぶってフィージリアの後を追った。
「うう、一樹、この匂いだけはどうにかならんか?」
「話すな、余計匂いが鼻につく。」
強烈な匂いに耐えながら、わき目もふらずにずんずんと歩くフィージリアに急いでついていく。
いつもの『ぽわーん』とした雰囲気じゃない。まるで何かに引っ張られているような歩き方だな。
ああ~臭い!あとで、フィージリアにも、この匂いをかがしてやる!
フィージリアは、あるところで突然立ち止まった。
オレの方は、マジックアイテムの効果が10分が過ぎたため、効力は消えていた。
こんな時に、城の兵とかにみつかるなんて事はやめてほしいぜ。
ほんと、手のかかるフィージリア様だよ。
「おい!フィージリア、まずいって、いくら大司祭の付き人いえども、城の中を勝手に歩き回るなんてさ」
フィージリアは、壁をみつめていた。おいおい~~オレの話聞いてるのかよ。
「もしもし~フィージリさん?フィージリア??」
フィージリアがみつめている壁が、目の前で突然黒いものに覆われて、オレ達は吸い込まれるように、壁の中へと吸い込まれた。
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