5 フィージリアは厄病神
更新が不定期ですいません。
ここはいったい?
気づいたら、暗闇の中に放り込まれていた。
オレとグリシンは、突然歩き出したフィージリアの後を追って、信じられない事だが、何やら壁に吸い込まれた。
で・・・気づいたら、ココだよ。
いったい、どーーーなってんだよ!
周りが暗くて、まったく見えない。
「(炎よ、闇夜を照らせ)」
魔法で出した火を、マジックアイテムのランタンにつけてだな。
ふう~やっと周りが見え出した。
側には、神官の服を着たグリシンが倒れて、おつむの悪いフィージリアもいた。ふたりとも意識がないのか、ぴくりとも動かない。
「おいーー!起きろ!!」
グリシンの身体をゆすって、顔をバシバシと叩いてやると、ようやく起きた。ふう~手がかかるぜ。
「ん??ここ、どこだよ?」
「それはオレが聞きたいセリフだよ」
フィージリアを追いかけて、気づいたらこんな暗闇に放り込まれて、
いったい何をしたんだよ。いくら貴重な「癒し手」とは言え、かんべんしてほしい。
もしかし、オレ達は厄病神を拾ったか?
辺りは静まり返って、少しじめっとしているし、左右には壁があって、
ゲームで言えば、まるで迷宮エリアのようなところか。酸素があるところで、よかったと思うべきか。
グリシンとオレは周りの壁を触ってみたが、ぴくりとも動く気配がなく、頑丈な壁があるだけ
「このまま先に進んだらなんかあるか?」
「それをオレに言われてものなあ・・・」
「だよなあ・・・」
できるならこれが夢であってほしい。だいたい超貧乏なオレたちをこんなところに放り込んで、何の得があるんだよ。身ぐるみはがされても、お宝なんて持ってないぜ。
「ん?ここは?」
ようやく厄病神のお目覚めかよ。
「ここはじゃねえよ~フィージリア、いったいオレ達をどこへ連れてきたんだ?」
「え?」
「え?じゃねえよ!話の途中でいきなり歩き出すから、グリシンとオレは後を追った。フィージリアが立ち止まったところの壁がいきなり闇に包まれて、気づいたここにいたんだ!ここはいったいどこなんだよ!」
「どこと言われても・・・私まったく覚えていなくて・・・」
「はあ?覚えていないだって!」
「一樹落ち着け」
これが落ち着いていられるか!言われた本人は「きょとん」としている。
こっちは、よく分からない場所に突然放り込まれて、混乱してるんだ。
しかも、放り込まれた原因の張本人が、そ知らぬ顔ときている。
「・・・すみません。何も覚えていなくて」
ああ~もう女の子の必殺技『泣き』を出すつもりだな。それは卑怯だ。
泣いてしまえばいいってもんじゃない。それで罪がすべて許されるとか、甘いんだ!
だいたいさー女の子が弱くて、男が強いなんて幻想は眉唾なんだよ!
実際、剣士なんかさ。男顔負けなんて女子はゴロゴロいる訳で。
「まあ、まあ一樹、フィージリアを攻めたところで、状況が変わる訳でもないし」
む、確かにグリシンの言う通りだ。
今しなければいけないのは、冷静になって、この状況を少しでも理解することだ。
でもなあ、この怒りをどこへもっていけばいいのやら。はあ・・・。
「しゃあねえなあ、とりま。グリシンの神官の服を戦士服に着替えて、アイテムの確認するか。」
マジックアイテムから、グリシンの戦士服を出して、アイテムの確認をする。
薬草は、フィージリアがいるから買い足さなかったんだ。
そうそう、一番大事な食料。
神官の女性達に、食料を分けてもらって、入れておいたやつが確かあったな。
これなら2週間分くらいなら十分ある。
まあ、味はすげえイマイチな硬い乾パンみたいなもんだけどな。何もないより、ありがたい。
「まあ何とか、2週間ぐらいならダイジョブな食料はある。」
「んーーー2週間か。」
食料がつきなきゃいいが、このまま死ぬまで、このじめっとしたところにいるなんてさ、想像したくもない。
「とりえず、じっとしていても始まらんから、少し辺りを歩くか?」
「んーーそうだな。このままここで2週間過ごして、オダブツになるよりか、ましだろ」
「一樹、『マッピング』ってやつ、たのんだ。」
「へいへい」
『マッピング』は、オレがいた世界では、ゲームに攻略本なんてなかった時代の頃。
ゲームをしながら、自分で地図を作ったって訳さ。
この世界には、ダンジョンとかの地図は一応あるけど、道具屋で売ってるものはいいかげんで、ウソばかりのデタラメなものばかり。迷宮の地図という名前で売るより、迷宮の迷い方?って変えた方がいいと思うな。うんうん。
てな訳で、ちょっとでもお金になるんじゃねえ?って考えたオレは、ダンジョンに行くときは、正確な地図を作って、小銭を稼いでいる。
ただし、まあオレ達が行ける範囲は、低レベル程度なんで、初心者用の地図になるから、売り上げはほんとに昼食1食程度にしかならねえんだよな。高レベルの奴からしたら、紙くずみたいなもんだ。
道具屋に聞いたら、初心者冒険者には、オレの地図が正確に作られて、ソコソコ評判よくて、またぜひ売ってほしいと言われている。
「じゃあここをはじまり、スタートの印を書いておくか。」
おもむろに、どこでも書けるマジックアイテムのペンを出し、アルファベットの『S』の文字をでっかく壁に書いてやった。
フィージリアは、何をしているのかと『きょとん』とした顔だ。
まあ、この世界にマッピングなんて言葉がないぐらいだし、ダンジョンの地図を正確に作ろうなんて発想はないみたいだしな。何をしているのか、検討もつかないだろうな。
「いったい何をはじめるのです?」
「マッピング、壁に印をつけておいて、自分で歩いた所を紙に描いていくんだ。そうすると、知らない場所が、少しづつどんなところか分かってくる。今書いた印は、オレ達が倒れていた場所という意味。」
「すごい・・・一樹さんって頭いいですね!!」
むむ、オツムの悪いフィージリアに誉められても、あまり嬉しくないなあ。
いや、オツムの悪いフィージリアじゃなく、厄病神フィージリアか。
グリシンを先頭に、少しづつ警戒しながら歩くと、2つの方向に分かれ道ができた。
「よし、ここにも印だ」
文字がどこにでも書けるマジックアイテムは便利で、シェルフトに頼み込んで作ってもらったかいがあった。
「そんなのどこで使う?」
と不思議そうに何度か聞いてきたが、こうゆう正体不明のところに行った時に便利なんだよ。
まあ、こんな目にこれ以上あいたくないけどな。
いくつかの分かれ道を通り、魔物に警戒していたが、出てこなくてラッキー。
こんな時に、次から次へと魔物が出現したら、どんな奴が出てくるかわからんしな。
とオレが安心していたのもつかの間、出会いたくなかった魔物が出現する。
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