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王都騒擾 竜

「さぁ!今日もやって来ました!この時間、この演技をここで披露できるのもあと僅か!」

 歓声が上がる。

 公演に出るとこの歓声がいつもアリスを熱くするのだ。

 それに伴い彼女の髪の色も赤くなっていく。

(色が変わる髪、、、きっと今まで辛い思いもしたでしょうね。)

 人とは違う、人から美しいと思わせるそんな体を持つ事がどれだけ危険なことかルティアはよく知っていた。

 妬み、嫉妬、悪意のない単純な好奇心、珍しい物の収集欲、、、そんな危険な感情を集中的に受けてしまう。

(かつて私も父の研究欲で角を、、、。)

「、、、何やってるんでしょう、私。」

 ルティアは公演から背を向けその場を離れる。

 早くお花さんさんのところに戻らないといけない。

 毒のせいでまだ気怠い身体を無理矢理動かす。

 この状態で人混みの中を進むのは少々骨が折れる。

(ああ、なんでこんなに人は増えるのかしら? )

 やっとの思いで人混みから脱出。

 アリスという子には感謝している。

 あの子がいなければ無駄な魔力を消費して地下室から抜け出せなかったかもしれない。

 お礼として捕まった時に奪われていなかった魔石を数個渡した。

(まぁ彼女にとっては扉を開けただけでなぜこんなに感謝されているのかわからないでしょう。)

「夫には損する性格って言われるけど性分なのよね、、、。まぁあの子みたいに損する体質ってよりかはマシでしょう。」

 正直下着集めが趣味のオーガに言われても腹たつだけなのだが、、、夫

 ──レイファスの言う事も間違えではない事に腹が立つ。

「さぁそろそろ行かないと、、、。」

 一応面倒を避けるため人に見られないよう物陰に移動。

 誰にも見られていない事を確認し、少なくなった魔石の中の一つを手に取る。

 昔、友人と共に作ったものだ。

 手のひらに置かれた石は小さな熱を放ちながら淡い光を点滅させる。

「儀式魔法 転移 !」

 石が灰になると同時にルティアの体は光に包まれ消える。








「、、、ここですか。」

 ルティアが転移の魔法で着いたのは裏路地のちょっとした広場。

 そこらじゅうに爆発した痕跡があり、その上に馬車が走った跡がある。

「あらかじめお花さんさんに印をつけていたからここに彼がいるはずなのだけど──」

(もしかして手遅れ?)

 一瞬焦るがすぐにそんなことはないと気づく。

 彼が死んでいた場合印も一緒に消えるはずだ。

 その場合転移は発動しない。

 ただ魔石が不発に終わり灰が残るだけだ。

 しかし転移は発動した。

(じゃあまた赤いフードの力で別世界に?)

 馬車には三千ちゃんがいたとする。

 それをお花さんさんが助けようと突撃。

 そこで赤いフードの男のスキルが発動。

 足止めされ、馬車は逃げた。

「こう考えるのが妥当かしら?」

 だがそこで次の問題が出てくる。

(今、私の手には 解除 の魔石がある。近くで発動している魔法、スキルを全て解除する魔法だ。)

 そこまではいい。

 本当の問題は──

(それを使いここでお花さんさんを助ける?それともまだ出発したばかりと考えて馬車を追う?)

 手元の魔石を確認する。

 残っているのは 「解除」「召喚」「帰還」

 解除は近くのスキル、魔法を解除。

 召喚は使い魔を召喚する。

 帰還は自分が家と決めたところに瞬時に帰ることができる。

 転移との違いは移動する場所を変更できるかできないかにある。

 転移は一度印をつけたら変えられない。

 一方、帰還は意識の問題だ。

 自分が帰る場所と決めたとこに移動する。

 だが結局残った魔石じゃどれも追うのには向いていない。

 召喚で呼び出す使い魔は一度契約したものだけ。

「使い魔なんて必要無いって思ってたから、、、。」

 ルティアには使い魔はいない。

 だから使え無いのだ。

 そもそも使い魔を呼び出すだけだったらほぼ魔力無しで出来る。

 なぜなら使い魔の移動には使い魔の魔力を使うから。

 それをわざわざ魔石にしたのは時間短縮のため。

 呼び出すには少々時間がかかる。

 ルティアは要らないと言ったのだがもしものためと、友人が持たせてくれたものだ。

 ともかく今の手札じゃ追いつくのは難しい。

 体力のないルティアが走ったところで追いつく前に息切れするだろう。

 それに追いついたところで赤フード並みに戦える者がいたら魔力のないルティアでは逆に殺されるかもう一度商品にされるか。

「なんで必要な時にあの人はいないんですか。」

 今この場にはいない夫を恨む。

 だがいないものは仕方ない。

 ルティアの手にある「解除」の魔石を発動させる。

 魔石が灰になると同時に空間にヒビが入る。

 前に赤フードのスキルを解除した時と同じものだ。


 突如ヒビが割れガラスのように弾け飛ぶ。


 衝撃波だ。


「ッ! 何!?」

 割れた穴から何かが無理矢理這い出ようとしている。

「これは、、、大きな木?」

 その少しザラザラした独特な表面は確かに森などで見かける木そのものだ。

 だがそれは生き物のようにウネリウネリと動いている。

 まるでお花さんさんと同じように。

「まさか彼?」

 その生き物は穴から完全に這い出て全体像を現す。


  竜


 これは竜だ。

 ルティアが昔、母に聞かされていた昔話に出てきた竜。

 いくつも木が絡み合い一体の竜を作り出していた。







「アンリ殿、王がお呼びだ。」

「王が?」

「アンリ、行ってきなさい。」

「騎士長、、、わかりました。」







「それでは今から 議会 を始める。議題は、、、この城に裏切り者がいる可能性がある。」

 皆がざわつく。

「容疑者には現在ここに向かって来てもらっているが、、、情報漏洩を防ぐ為これから1日、誰の出入りも禁止する!」

今回も読んでいただきありがとうございます。


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