王都騒擾 決意
王都から出て少ししたところにある山の川にはたくさんの死体が積まれていた。
かつて神聖なものと扱われた山はいまや積まれた死体によって呪われたものとして誰も近寄ることはなくなっていた。
人が寄り付くなった山はすぐに魔物の住みかとなり、近くの町や村の脅威となる。
山の住人である彼らは太陽に弱いというその忌まわしき体質により昼間は洞窟に住み着いている。
「アイツはドコだぁぁぁぁぁ!」
一人が怒りの声を上げる。
彼らがここにいる理由だ。
好き勝手な理由で生まれさせられ好き勝手な理由で産まされるそして一回犯しては殺して捨てる。
絶対に復讐しないといけない。
「アイツをユルすなぁぁぁ!」
「ミつけたらコロせ!」
「そうだ!コロせ!」
仲間が同調し一つの声は何倍にも膨れ上がる。
今夜もまた彼らはアイツを探して王都に行くのだ。
ベロンベロンに酔ったおっさんのように人形はおぼつかない足取りで狭い道を進んでいく。
この人形は俺が合成音声のような声をした女性からもらったものだ。
これで大通りを歩いたら魔物だ何だと騒がれてしまうので人がいない裏道を選んで進んできたのだが、、、。
やべぇ迷った。
空はもう暗くなり始めている。
まずそもそも王都に来たばっかで大通りの道でさえ覚えていないのに裏道を通ろうとしたのが間違えだったのだ。
行けると思ったんだけどなぁ。
お花さんは迷路にて一人黄昏る。
どっこいしょ。
端に置いてあった木箱に人形を置き一休みする。
ここどこだろうなぁ、腹減ったなぁ、減る腹がないけど。
お花さんは植物になったことで食べ物の代わりに水分や養分が必要となった。
それも魔法やスキルで補っているので外的要因以外では死ななくなったのだ。
しかしそれでも前までは人間だった彼が気分的にでもお腹が減るのは仕方がない。
長年精神に刷り込まれたそれはなかなかとれるものではない。
まぁもっとも彼には食べ物を食べる口もそれを消化する器官もないわけだが。
そういやどこ行きゃいいんだろう。
いまや三千もルティアもどこにいるのかわからない。
それにもかかわらず後先考えず裏道歩いた結果がこれだ。
さぁ行くか。
止まっていても仕方ないと人形を操る。
その時あるはずのない心臓が突然バクバクと鳴り出す。
正確には鳴り出す感じがする。だが。
ぐぅぅぅぅぅ。
それを無理やり気合で押さえつける。
またか来るたびにどんどん強くなっていくな。
無理やり怒りを抑えた結果だ。
時間が経つたび反動が強くなっていく。
駄目だ、、、下手に動いても話は進まない。
何か、まずやることは、、、。
まずやることはランスロットと集合だ。
あの会議の時、ルティアに自分の事を三千の召喚されたものとして紹介されている。
ランスロットならより効率的に二人の捜索ができる。
じゃあまずランスロット探しだ。
目標が決まったことにより彼の操る人形の足取りがおぼつかないものから確かのものへと変わった。
二日目の夜が来る。
結局第二を襲った「何か」の対処はほとんど浮かばなかった。
それでもできる事はやるつもりだ。
今夜こそ犯人を捕まえ彼らにあの時の恩を返す時、、、。
ランスロットは前に二人に助けられている。
だから彼は困っている彼らを助けたいのだ。
自分が助けられたように。
「アンリ。」
「何でしょう?」
「これから今夜の作戦を説明するほかのやつらにも説明してやってくれ。」
わかりましたとうなずくアンリ。
それを見てランスロットは話を続ける。
「まずほぼ全滅した第二の生き残りを第一に配属させる。そして第二を襲った翼の何かに対しては第二だったやつらに対空用の装備を準備しておけ。」
「了解!」
走り去るアンリの後ろ姿を見てランスロットは不安を抱く。
うまく言葉にはできないが何かある気がするのだ。
「どうしたぁ?ランスロット、クヒヒ。」
「ストラテジー、、、俺は不安なんだよ。なんというか、こううまく言葉にはできないけどな。」
顔色の悪そうな彼はふっと顔を緩める。
「わかるよぉ。クヒヒ。部下が心配なんだろう?じゃあやっぱり俺らがあいつらをまもってやらなきゃなぁ。クヒヒ。」
「そうなのか?何か違う気がするのだが、、、いやそうなんだろうな。」
部下はもちろん大切だがそこには何か違う不安があった。
しかし、よくわからない不安に振り回されるわけにはいかない。
ランスロットはその不安をそっと胸にしまった。
「今日からは第二が第一に配属されたことによって第二が警備していたところも警備することになった。範囲はざっと二倍だが警備を緩めることは許さん!では、いくぞ!」
ランスロットの決意のこもった声により一層気が引き締まる部下たち。
騎士団に所属している者は全員団長が見極めた町を守るという決意があるものだけだ。
起こるかもしれない「何か」との戦い、、、三千を連れ去った者たちとの戦いに向け士気は最高である。
静まり返った町の中、騎士団は暗闇へと足を踏み入れた。
今回も読んでいただきありがとうございます。




