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絆のトレーニングノート:始まりの春、強さの種  作者: たまに何かを書く人
【第10章】新しいページの始まりへ

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第六節 未来へ、つながる水しぶき

2月に入り、朝の空気は一段と冷たさを増し、吐く息は白く空へと溶けていった。


小学校最後の体力テストに向けた準備が順調に進む中、4人は本番に向けて集中を高めていた。そんなある日、午後からは進学予定の中学校で見学と説明会が予定されていた。


給食を終えたあと、6年生たちはクラスごとに整列し、近隣の2つの小学校の児童とともに中学校へ向かった。校内には、普段の小学校では感じられない活気と緊張感が漂っていた。


体育館では、中学校生活や校則、行事などについての説明が行われ、6年生たちは真剣に耳を傾けていた。


その後、配布されたパンフレットを開いていたハルが、あるページで目を輝かせた。


「部活動の一覧、ここにあった!」


運動部と文化部の紹介が、写真付きで掲載されている。


「女子水泳部……あるね!」ユキの声が弾む。


「活動場所は……中学の近くにある市営の温水プールを使ってるんだって」さちが読み上げる。


「えっ、市のプール使えるの? いいなー!」


3人が盛り上がる中、リンの表情が曇っていた。


「リン、どうかしたの?」ユキが気づいて声をかける。


「ううん……ただ、体操部が……ないんだね」


リンは静かにページをめくった。


「そっか……」ハルが言葉を選びながらも、前向きな笑顔を見せる。


「でもさ、リンが活かせる場所、きっと他にもあるよ! 新しい挑戦って、案外楽しいかも!」


「うん、何か発見があるかもしれないよ」ユキも優しく背中を押した。


「ありがとう。Maybe…そうだよね」リンがふっと笑顔を浮かべたとき、部活動の見学時間が始まった。


4人はまず女子水泳部の活動を見に、中学校から数分の場所にある市営の温水プールへ向かった。


建物に入ると、湿った空気とほのかな塩素のにおいが漂っていた。水面では、部員たちが整ったフォームでテンポよく泳ぎ、シャープな水しぶきを上げている。


「すごい……」

「フォームがきれい……」

「この雰囲気、小学校とはぜんぜん違う……」


プールサイドで指導していたのは女子生徒――おそらく部長だろう。コーチとはまた違った、距離の近い温かさを感じさせる。


「この部で、上を目指したい」ハルがつぶやいた。


「うん。私も……記録を残したい」ユキがまっすぐに答える。


「私も……いつか2人に追いついて、追い抜けるように頑張りたい」さちも真剣な眼差しで言った。


そのとき、静かに。


「……わたしも、水泳、やってみたい」


リンの声だった。


3人が振り返ると、リンは少し潤んだ目で、向こう側のコースを泳ぐ部員たちを見つめていた。


「今までベンチからフォームばっかり見てたけど……実際に泳ぐのって、すごくきれいなんだね。私も、あんなふうに泳いでみたい」


「やったー!」

「チームトレノ、また全員そろったね!」

「うん、中学でもこのまま走り続けよう!」


4人は自然と肩を寄せ合い、笑顔でうなずき合った。


――挑戦は、まだ終わらない。


新しい環境、新しい仲間、そして新しい夢が、彼女たちの前に広がっていた。


挿絵(By みてみん)

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