第六節 未来へ、つながる水しぶき
2月に入り、朝の空気は一段と冷たさを増し、吐く息は白く空へと溶けていった。
小学校最後の体力テストに向けた準備が順調に進む中、4人は本番に向けて集中を高めていた。そんなある日、午後からは進学予定の中学校で見学と説明会が予定されていた。
給食を終えたあと、6年生たちはクラスごとに整列し、近隣の2つの小学校の児童とともに中学校へ向かった。校内には、普段の小学校では感じられない活気と緊張感が漂っていた。
体育館では、中学校生活や校則、行事などについての説明が行われ、6年生たちは真剣に耳を傾けていた。
その後、配布されたパンフレットを開いていたハルが、あるページで目を輝かせた。
「部活動の一覧、ここにあった!」
運動部と文化部の紹介が、写真付きで掲載されている。
「女子水泳部……あるね!」ユキの声が弾む。
「活動場所は……中学の近くにある市営の温水プールを使ってるんだって」さちが読み上げる。
「えっ、市のプール使えるの? いいなー!」
3人が盛り上がる中、リンの表情が曇っていた。
「リン、どうかしたの?」ユキが気づいて声をかける。
「ううん……ただ、体操部が……ないんだね」
リンは静かにページをめくった。
「そっか……」ハルが言葉を選びながらも、前向きな笑顔を見せる。
「でもさ、リンが活かせる場所、きっと他にもあるよ! 新しい挑戦って、案外楽しいかも!」
「うん、何か発見があるかもしれないよ」ユキも優しく背中を押した。
「ありがとう。Maybe…そうだよね」リンがふっと笑顔を浮かべたとき、部活動の見学時間が始まった。
4人はまず女子水泳部の活動を見に、中学校から数分の場所にある市営の温水プールへ向かった。
建物に入ると、湿った空気とほのかな塩素のにおいが漂っていた。水面では、部員たちが整ったフォームでテンポよく泳ぎ、シャープな水しぶきを上げている。
「すごい……」
「フォームがきれい……」
「この雰囲気、小学校とはぜんぜん違う……」
プールサイドで指導していたのは女子生徒――おそらく部長だろう。コーチとはまた違った、距離の近い温かさを感じさせる。
「この部で、上を目指したい」ハルがつぶやいた。
「うん。私も……記録を残したい」ユキがまっすぐに答える。
「私も……いつか2人に追いついて、追い抜けるように頑張りたい」さちも真剣な眼差しで言った。
そのとき、静かに。
「……わたしも、水泳、やってみたい」
リンの声だった。
3人が振り返ると、リンは少し潤んだ目で、向こう側のコースを泳ぐ部員たちを見つめていた。
「今までベンチからフォームばっかり見てたけど……実際に泳ぐのって、すごくきれいなんだね。私も、あんなふうに泳いでみたい」
「やったー!」
「チームトレノ、また全員そろったね!」
「うん、中学でもこのまま走り続けよう!」
4人は自然と肩を寄せ合い、笑顔でうなずき合った。
――挑戦は、まだ終わらない。
新しい環境、新しい仲間、そして新しい夢が、彼女たちの前に広がっていた。




