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地下迷宮.6

「はっ!」

「よっ!」

「そりゃ!」

短い掛け声と共に、エメラルドと、ガーネットの矢がコウモリガサを射抜くと、エレンが疾風の如く駆け抜けて、モサモサネズミを切り裂く。二回攻撃、はやっ!

後、あのネズミ。見た目かわいいから、倒しづらいな。

サポートの三人の素早さで仕留めていくので、私たちは楽に進める。

倒した獲物は三人に分けて貰うことにして私たち、地下を進む。

「うー、臭いよー」

「そうだね。地下だもんね」

サーナちゃんが、鼻を押さえてる。

あんずも、どこか苦手そうだけど、仕切りとなにかを探している?なんだろ。

まだ、出現した地下迷宮の入り口にたどり着いていないとは言え早く行ってしまいたい。

前方と後方を照らすライトの呪文は、サーナちゃんがら唱えた。覚えたての光魔法。みんなの前で使って大丈夫かと思ったけど、特に指摘されなかったよう。


「それにしても、最近は揺れなかったね」

「そうだな。きっと俺が揺れないでと念じたからかな」

「貴様、冗談を言うな」

エメラルドが静かに怒ってるよ。まあ、怒るよね。私は大分慣れたけど。慣れって怖いね。ドロンは怒られて、肩をすくめてるよ。


「にゃん」

「フフ」

あんずが私の肩の上で一声鳴くと、エメラルドの表情が緩む。

「お兄さんたら、だらしない」

「猫は、素敵なんだ。森のケットシーたちが懐かしい」

どこか、遠くを見るような悲しい表情を浮かべる。

そう言えば、トパーズが言ってたっけ。森が人間に燃やされたって。

その時にエメラルドたちは、森を出てて帰って来なかったから恨まれたんだよね。

和菓子屋に唆されてあんなことしたのだけど、トパーズの罪はまだ、許されないから、エルフの兄妹は悲しいだろうね。


「ふにゃあん」

「あ、待ってあんず!」

しばらく進んだ後、あんずが肩から飛び降りて駆けて行くと、大きなネズミが、小さなネズミを襲っている。そして、そこには若い女性も!?

小さなネズミ。それは、ハリィで若い娘を守っていたようだよ。偉いね!

「ハリィ!」

「あ、待ちなさい、かりんちゃん!」

駆けるかりんに下水道の中に隠れていた魚の魔物が汚い水を吐き出す。

「きゃあ!」

よけきれずにその水を浴びるも、駆け抜けてハリィの前に出る。

「ドロン、マナ!」

「魚は、任せろ!」

「失せろ!焼き魚にすんぞ!サンダーアロー!」

マナがロッドを構え雷の矢が二、三本生み出され放たれると魚たちを穿つ!

ドロンはその隙にかりんをかばう。そして私は、踏み込んでモサモサネズミたちを蹴る!良心が痛むが魔物だから、ごめん!

モサモサネズミは、吹っ飛んで転がってダウン。


「ハリィ、ハリィ!」

「にゃにゃん」

あんずとすりすりした後、近づいてきたかりんに飛びつく。

「もう……ハリィ、心配したよー!」

ハグして喜んでる。うん、良かったのは良いけどこちらの綺麗な人は冒険者には見えない。

私よりは年上だけど、綺麗な人。服装から見ても庶民ではないよね。もしかして、地下アイドル……な訳ないかー、ここ、異世界だもんね。

いや、もうゲームとは思ってないよ。証拠はないけど。


「……あなた、大丈夫?」

「はい、助けてくれてありがとうございます」

その割には、あまり嬉しそうではない。なんだか、途方に暮れているようだ。このままほっとくわけにもいかないよね。


「え?なに?」

「ハリ、ハリィ!」

「にゃにゃん」

ティマーだから言葉が分かるのか、かりんがしきりに頷いてる。

あの、びしょ濡れだけど、大丈夫かな。

「なんて?」

「ハリィが、ここに来たのはそこの方が、地下にふらふらと入るのを見かけたからだって言ってます」

「あなた、なんでそんなことを?」

「……私は」

その女性はうつ向いて泣き出してしまう。ええ~?どうしよう。

「にゃん」

「ハリィ~?」

あんずがハリィと一緒に慰めている。

それを苦虫を噛み潰したようにエメラルドが見ている。こらこら。

「大丈夫ですかー?葉ノ雫!」

サーナちゃんの植物魔法。まあ、ヒールは使えるけどね。隠してないといけないから。



しばらくして、落ち着いて来たのかポツポツと語り出したよ、地下で。

「私の名前は、ソナタ。ロナン様の愛人です」

「ええ~!?」

思わず大きな声が出る。エルフがこちらを睨む。

「うるさいぞ、マキ。地下は声が響くんだからな!」

「お兄さんこそ、うるさい」

どっちがうるさいのか分からないな。

「あなたがあいじん?」

サーナちゃんは、愛人をさも珍しげに眺めている。ピロピロのとこで見たと思うんだけど。

「私は、王都で孤児でした。でも、冬の寒い日。路地で震えていたら手を差しのべていただいて……それから、何年もメイドとして働かせていただきました」

「あいつ、いいとこあるじゃん」

ドロンが、泥団子でお手玉しながら呟く。聞く気なし?

「私は、感謝していたのです。そして、成長した私を好きだと言ってくれました」

「あの人、やっぱり下心あるですの」

マナは、ぷんぷんしている。ま、男だもんね。

下心持ってない人の方が希だよねー。

それで、なんとなく愛人を何年も続けていたら大変なことになったと。


「……その。ロナン様の奥様にバレてしまい。鬼女のような表情で追いかけられてしまって」

「……ここに逃げ込んだと?」

「……はい。さ迷っていたら、ハリィさんに出会い助けてもらいました」

「ハ~リィ!」

ハリィが、自慢気に胸を張る。いや、かわいいんだけど。



つづく

ハリィはとっても優しいんだよ


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